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魔王さまのおしごと…迂闊な魔王はどこへ行く  作者: 溶ける男
第三章 広がる世界

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27/56

11月17日

13:00

今日は休みなので、昼からログインをすることにした。

あれから、5台のススムくんを作り終えたので露店を開こうと思うのだ。

マシリアでは、アインさんが乗り回していることもあって其れなりに話題になっているので売ることが出来るのではと期待している。

大通から少し外れた場所にフリーマーケット会場のような感じにいろんなプレイヤーが露店を開いている。

残念ながらいい場所は取られてしまっていたので隅の方に露店を開き、刀と革製品そしてススムくんをセットする。

シートの真ん中にドン!と置かれたススムくんはかなり異様な雰囲気を醸し出しているのか、単に場所が悪いのか一瞬見るプレイヤーは居るが買うまでに至ってない。

そんな感じで、10分が経過した頃やっと第1お客様の登場である。

「すいません、このススムくん弐号ってのを売ってもらえませんか?」

見るとどう見てもプレイヤーでは無い見た目の男性が立っていた。

確かにNPCも買い物をすることがあることは知っていたが、まさかススムくんに目を付けるとは思わなかった。

「はい、構いませんけど運転方法などは分かりますか?」

「大丈夫です、一度乗せてもらったことがありますので」

彼の名前は、マステルと言うそうでこんな話し方の割にはマシリアの商業ギルドのトップだそうだ。

なんでも、アインさんと知り合いらしく仕事で乗せてもらった時に気に入ったそうで、今日から販売することは、教えていたのでそこから伝わったらしい。

「それでは、此方をお納めください」

そう言って60万Lの入った袋を渡してきたので、そのまま仕舞おうとするが何故か袋だけが手元に残った。

袋に違和感が有ったので開けてみると1枚の封筒が入っていた。

「あの、これは?」

「後でお読みください、それでは失礼いたします」

そう言って去っていくマステルさんを見送り次のお客を待つことにする。

何か厄介ごとでも持ち込まれたりするんだろうか?

結局2時間でススムくん3台と刀が一本売れたところで閉めることにした。

結局ススムくんを買っていったのは、ガルムさんのパーティーと来る途中で助けたほかの生産者の2人だった。

客が来ない間に、中に入っていた封筒を確認すると商業ギルドへ来てほしいと言うことが書いてあった。


 今日の売り上げで、商業ランクをDまで上げることもできるのでついでに行ってみようと思う。

因みにDランクより上を目指そうと思ったらクエストをクリアする必要があるのだが、店を持つことが出来るCランクにする予定は、今の所無いので問題ない。

ギルドへ入り、ランクアップの手続きをしたところで先ほどの手紙を受付に渡すと慌てたように立ち上がり、奥の部屋へと案内された。

コレはますます厄介ごとに巻き込まれそうな予感がする。

受付の人がノックをすると先ほど聞いた声がする。

扉が開き「どうぞ」と言われたので中に入るとマステルさんが座っていた。

「どうも、お招きいただいたみたいで」

「案外早く来られたのですね、もう少しかかるかと思っていました。」

「思ったより売れなくてね、早めに切り上げてきたんだ」

「そうでしたか、では長話も何なんで本題に移らせていただきますね」

そうして、話された内容はススムくんの技術を売ってほしいと言うモノだった。

「えーっと、それは此方にどういったメリットがあるのかな?」

「そうですね、ヨウさんは冒険者と言う事でよろしかったと思いますが、この乗り物を継続して作っていくことは出来ないと伺っています。」

冒険者ギルドに登録を断られたので厳密には冒険者ではないのだが、ここはあえてスルーすることにして話を続ける。

「それは、アインさんから聞いたのかな?」

「ええ、初めて乗せていただいた際に伺いました。

 そこで、マシリアの商業ギルドがこの技術を買い取り、町の生産者で量産することで新たな産業を起こそうという計画が有りまして相談させていただいたというわけです。」

「なるほど、それで私にメリットはあるのかな?」

「そうですね、量産することにより販売価格は半分の30万Lになると思いますが、そこから売り上げの5%を貴方に支払うと言うのはいかがでしょうか?」

えーっと、1台売れると15000Lが懐に入ってくる計算でいいのかな?

「技術を売った場合、此方が勝手に造ることは出来なくなると言うことは無いんですか?」

「はい、それは大丈夫です。

 ただ、出来ればそれを販売する際の価格は相談していただけるとありがたいです」

「そこまでする、そちらのメリットは?」

「はい、まずマシリアでの新たな産業による収入の増加、移動手段の確保による輸送の安定性などを考えています。」

「輸送の安定性って、転移門が有れば関係ないんじゃないの?」

「いえ、転移門はあくまでも5つの都市を結ぶ為のものであり、それ以外に点在する村からの商品の運搬は街道を移動する必要がございます。」

あれ?村なんかあったの?

今までやって来て、初めて知ったんですけど…

「なるほど、じゃぁ契約しちゃおうかな。因みに、私は≪魔王≫ですけどそのへんは大丈夫なの?」

「あぁ、そのことでしたら大丈夫です。

 我々商業ギルドは、冒険者ギルドとは違いたとえモンスターで有ろうとも利益が有れば取引をするのがモットーですので安心してください」

「それは、安心していいの…まぁいいや」

「それでは、此方に記入をお願いいたします。」

そう言って取り出された、契約書を読み特に問題がないことを確認して記入をすましてマステルさんへと渡す。

「ありがとうございます。それでは契約完了と言うことで今後ともよろしくお願いいたします。」

そう言って右手を差し出すマステルさんと握手を交わして部屋を出た。

受付に行きランクアップの手続きが済んでいることを確認した後、受付に口座の開設を申請する。

各ギルドには、銀行の様な機能が有りランクがDになってから利用することが出来る。

今回、開設した口座に今後ススムくんの売り上げからのお金が入金されるようになるので必要だとマステルさんに言われたためだ。

取りあえずススムくんの売り上げ約300万Lを預けてギルドを後にした。


 広場へ向かい転移門の完成度を確認すると如何やら素材は集まり後は組み立てるだけと言うことで、そのためのクエストを発行しているとのことだ。

早速クエストを受けて、建設現場へと向かう。

以前見た作りかけのモニュメントがやはり転移門だったようで最終の組上げがまさに行われていた。

言われたとおりに組み上げて、大きく透明な高さ結晶が中心に浮び、それを囲むようにリングが浮かぶモニュメントが完成した。

最後に、起動の為の魔力が必要と言うことで作業していたNPCとプレイヤーがソレを囲むようにして手をつなぐと作成を指揮していた人が何やら詠唱を始めた。

すると、隣の人から魔力が右手へ入ってくる感覚と左手から次の人に流れて行く感覚があり、徐々にその流れる速度が上がっていく。

流れる速さに合わせるように、中心に浮かぶ結晶に幾何学模様の様なものが入り光を帯びて行く。

流れはどんどん早くなり、モニュメントを中心とした大きな竜巻が発生してソレに巻き上げられるかのように中心の結晶が空へと舞い上がる。

空を見上げると、結晶から光が伸びて行く、ほかの場所からも伸びてきていて最終的に〇と+を合わせたような形になり更に回転を始める。

詠唱が佳境を迎えたのか一際大きな声で何かを叫んだ瞬間、結晶は大きく弾けてキラキラとした結晶のかけらが降り注いだ。

「これにて、全ての転移門の設置と開通が完了いたしました。」

先程まで詠唱をしていたNPCがそう呟くと一斉に歓声が上がった。

その後は、宴会になり広場では様々な出店が並び、プレイヤー・NPC関係なく大いに飲んで騒いで盛り上がった。


気が付くと4時間ほど宴会をしていたようで現実では、20時と言った所だ一旦食事をとる為にログアウトすることにした。


ベットから出ると、台所へ行き今日はカップラーメン済ませることにした。

ゲームの中とはいえ、4時間も飲み食いをしていた為に此方でも満腹なのか空腹なのかが分からなくなってしまっている。

コレもある意味VRの弊害とでもいうのか、ダイエット中の人にはいいのかもしれないが、今後はゲーム内で食事するときは気を付けようと思う。

お湯を注いで2分30秒待ってふたを開けてかき混ぜる、少し硬めがこのカップラーメンでは、最高のポテンシャルを発揮すると思っている。

ずずっと一気に食べてスープ飲み干してカップをすすいでゴミ箱へ入れる。

シャワーで汗を流して再度ログインをした。


 広場は、すっかり片付いていて何人かの酔っ払いが隅で寝ている以外は宴会の名残は無かった。

転移門は結晶がなくなった為。リングだけが浮かんでいて中に入るとすっと足元に降りてきた。

目の前に手に先候補が表示されたのでアイリスを選択するとリングが体をスキャンする様な光を放ちながら浮き上がり頭を通り過ぎる時に眩しさで目をつむった。

目を開けると、そこはもうアイリスの広場だった。

どんな感じに転移されるんだろうと眺めていると突然光が上から下へと光ったかと思うとそこに人が現れた。


 今回のクエストで見た限りだと領地への転移門の設置は、設置する場所複数で同時に詠唱が必要なうえに一人分の魔力では足りないというか、複数人で手をつなぎ魔力の流れを起こす必要がある様だった。

作成や複数で囲むことはモンスター達を使えば何とかなりそうだが詠唱内容が分からなければどうにもならない。

リーダーに依頼をかけてやってもらう手もあるがいくらかかるか分からない上、多分各町との繋がりに割り込むことは出来そうもない。

まぁうちの領地にわざわざ転移したい人が大量にいるとは思えないんで必要ないのかもしれないが少し残念だ。

自分用には、転移クリスタルが有るので必要なかったるするのはまた別の話だ。


気を取り直して遂に、他の町へと行く時が来たのだ。

先ずは、東の【自由都市ダリア】へ行ってみよう。

砂漠でススムくんが使えるのかも気になります。

道具屋で水などの砂漠越え用アイテムを購入して東門から出る。

アイリス周辺のフィールドはどの門から出ても同じ【始まりの草原】に出るそこから次のフィールドへ移動するまではたいしたモンスターは居ない上、魔王対策なのか主も居ないようなのだ。

20分ほど走りようやく砂漠へとたどり着く。

始めてきたこの砂漠フィールドは、2mを超えるサソリやヘビにトカゲなど毒を持ったモンスターが多いようだ。

硬い敵はハンマーで殴り、関節を刀で切り解体をしながら進む。

砂にタイヤを取られて立ち往生し最初は押していたが、アイテムボックスにしまって取り出せばいいことに気がついてからはスムーズに進むことが出来た。

何度目かの大きなこぶを超えたところでオアシスを囲むように壁がそびえる町が見えてきた多分あれが【自由都市ダリア】だろう。

大きな門を超えて中に入る、ここの第一印象は騒がしい街だ。

とにかく、人が多いのとじゃべり声が大きい街中どこへ行ってもしゃべり声が聞こえてきそうな雰囲気だ。


 そして、この町の目玉ともいえるカジノの存在感が半端ない。

町の中心の大通の突当りに城のように立っている建物がそうらしい。

中に入ってみるとさらに騒がしくすぐ隣での話し声すらまともに聞こえないのではと思うほどだ。

取りあえず、スキルの設定を運特化にしてコイン換金場所へと向かい1万L分のコインを受け取る。

次に、景品交換所へ行きリストを確認するとスキルリングの文字が飛び込んできた。

スキルリングを交換するためには500万枚必要らしい。

コイン一枚が20Lと言う事なので約1億Lあれば交換できるのだが、そんなに持ち合わせてはいないし溜まるとも思えない。

商業ギルドからの収入で考えると7000台くらい売れたら1億入ってくるんじゃないかと思うんですがそれもかなり先の事だろう。

まずは、手元にある500枚のコインを1万倍に増やすことを考えてみよう。

カジノの中は、フロアごとに様々なゲームが展開されていておなじみのスロットやカードにルーレットもあるが、それ以外にも中に入ってひたすら飛び出してくる玉を避け続ける「アボイダー」と言うのが有った。

これは、5m四方の透明な箱の中で自分が何秒以上避け続けることが出来るかを賭けて中に入る人と何秒避けれるかを賭ける人がおり、中の人が自身の賭けた秒数を超えた上賭けている人すべての予想より長い場合は総取りできると言うモノのようだ。

中に入る場合は、長ければ長いほど倍率は上がるが申請した時間より前に当たってしまった場合はコインを失うし、長く入っていても賭けた時間を超えた倍率で貰えることはないそうだ。

あくまで、自分の実力に合った時間を申請しないと負けることになってしまうのだ。

そして、このゲームの1時間の報酬が掛け金の1万倍と言うモノだった。

飛びつきそうになったが、今までの最高記録が12分25秒となっていた。

様子を見ていると、スーパーボールのようにゴム製の5つの玉が射出され形が歪な為に跳ねる方向を予測しづらくなっているが、まだ何とかよけることが出来そうではある。

しかし、5分ごとに玉の数が1つずつ増えて跳ねる速度も上がっる為よけきれなくなったプレイヤーの後頭部に玉が激しくぶつかり、車にはねられたような勢いでルーム内から叩き出された。

HPへのダメージなどはないが失敗したときは、必ずあんな感じになるそうなのだ。

取りあえず、5分の申請をして中に入ってみることにする。

5分の倍率は、1.1倍だ。

10分で1.5倍、15分で2倍、20分で5倍、25分で10倍と増えて行くようだ。

最初の5発が打ち出されてただひたすら避ける。

時間なんか気にする余裕もないが、箱の壁はマジックミラーのようになっているようで中からは、白い壁のようにしか見えないので外で賭けているプレイヤーが気になるようなことはない。

ひたすら避けて、気が付くと玉が1つ増えていることに気が付く如何やら5分は経過したようだ、これ以上頑張っても倍率が上がることはないが自分がどこまでやれるかも気になるのでそのまま続けることにした。

7個目の玉が飛び出したところで、他の玉とぶつかり予測していた軌道からそれたので慌てて大きく避けたところで、左頬に強い衝撃が走る。

そのまま、ルームから飛び出るような形で排出されてタイムを確認すると、10分1秒となっていた。

一応全額賭けていたので、550枚と300枚のコインを獲得した。

如何やら、外の人たちは10分超える予想はしていなかったようで少し暗めしそうな顔でこっちを見ている人がいた。

取りあえず850枚に増えたことだし次のゲームに行ってみよう。

その後、定番のトランプなんかをしてみたが運に見放されたのか全部スってしまいコインは0枚になったので今日の所はログアウトすることにした。

_______________________________________

ヨウ

ライフスタイル コスト7

 ≪魔王15≫

装備スキル 3/3

 ≪孤軍奮闘43≫≪武運15≫≪属性付加55≫

控えスキル

 ≪刻印魔法29≫≪上級採掘5≫≪上級鍛冶8≫≪上級革加工5≫≪福運49≫≪上級錬金術5≫

商業ランク D

称号

 【グラッジ草原の覇者】

 【ヘイゼン沼地の覇者】


誤字脱字感想などありましたらよろしくお願いします。

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YouTubeにて主題歌配信中「魔王様はじめました」
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