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魔王さまのおしごと…迂闊な魔王はどこへ行く  作者: 溶ける男
第二章 領地を得よう!

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23/56

10月9日

1:00

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今日は昨日取ってきた銀鉱石をミスリルにするために工房に引き籠っています。

取りあえず炉の中に銀鉱石を放り込みインゴットに仕上げて行く。

2時間かけて200個の銀鉱石から40個のインゴットを造り後は錬金でミスリルに錬成するだけと言うところで、クレアさんからフレンド通信が入る。

「あの~今いいですか?」

「ああ、ちょうど作業が一段落したとこだ」

「それはよかった。今から会えますか?」

「大丈夫だ、場所は昨日会ったところでいいかな?」

「はい、それでは待ってますね」

そう言って通信を切り広場へ向かう。

「どうもクレアさん、待たせたかな」

「いえ、私も今来たところです」

「それじゃあ立ち話も何なんでそこのお店にでも入ります?」

「ん~ん、ちょっとついて来てもらってもいいですか?」

そういって歩き出すクレアさんの後についていくと町の外に出た。

「どこに連れて行かれるのかな?」

「ちょっと私の戦闘を見て貰いたいのですが」

そう言って森の方へ歩いていく。

試し切りの相手として選ばれたのはグレーベアのようだ。

クレアさんは刀を構えて駆けだすと上段から振り降ろして熊を切りつけた。

刀は、毛皮で止まり切り裂くには至らなかったようだ。

そのあとは、突きをメインに切り替えて熊を倒した。

「えっとですね、グレーウルフくらいなら切り裂けるんですがグレーベアだとダメなんですよね、同じくらいの攻撃力の両手剣だと切り裂けるんですけど何故かこの刀ではダメなんですよね」

なるほど、これは根本的な使い方の違いからくるのかな。

「口で説明するのもあれなんで一度戦って見せた方が良いかな?」

そう言って、新たにグレーベアを探す。

渡した刀と同じレベルのモノを装備しなおして上段に構え、クレアさんがしたように振り下ろすとスパッと熊を両断することに成功する。

光になって消える熊を確認して刀を振るい鞘に納めてクレアさんに振り返ると

「えぇぇ!なにそれぇぇぇぇ!!」

「クレアさん声が大きいですって」

「すいません」

なんか昨日も同じやり取りををした気がする。

「でも、どうしてなんですか?」

「簡単に言うと、剣と刀の構造的違いと言いますか私もそこまで詳しくは無いんですけど」

そう言って説明を始める。

このゲームでは、両手剣は重量によって叩き切ることと突き刺すことがメインになるが、刀は突き刺すに関しては同じだが切るに関しては少し違ってくるのだ。

イメージとしては包丁で肉を切るときなんかを想像してもらうと分かりやすいのではないだろうか?

少し手前へ引くもしくは奥へ押すようにすることで斬ることが出来るのだ。

防御力も低く素早く動くウルフ系なんかではあまり意図せず斬ることが出来るのだが、熊になると少し話は変わってくる分厚い毛皮で防御されると多々振り下ろしただけでは切り裂くことは出来ない。

まして、スキルアシストのない武器なんでそのあたりは自分の感覚で処理する必要がある。

「なるほど、やってみますね」

そう言って何度か素振りをした後に熊を見付けて切り付ける。

今度はうまく斬れたようで熊の片腕が落ちた。

流石に一撃で倒すことは出来なかったが片腕を失った熊を危なげなく倒すクレアさん。

嬉しそうに振り返り此方へ駆けてくると手を握られてピョンピョン跳ね大きく振り回しながら

「やりました、ありがとうございます」

「ちょっとクレアさん、少し落ち着いてください」

「あ、すいません」

そう言って手を離される。

ゲーム内とはいえ少しもったいない気がしたのは気のせいだろう。

「それでどうします?このまま作る方向でいいのかな?」

「はい!お願いします」

「そうですか、それでは使ってみての感想とかあればそれに合わせて作ろうかと思うんですがどうですか?」

そう言っていくつかの要望を聞いた後、試作品を作ると言ったら作っているところを見てみたいと言ってきたので工房へ案内するために一緒に領地へ飛ぶと

「あれ?ここは何処ですか、アイビスにこんな所ありました?」

「ああ、そう言えば言ってなかったか、ここは俺の領地だ」

「領地?」

「そう、魔王の領地へようこそ」

「あれ?ヨウさんって魔王さんだったんですか?てっきり生産がメインの人だとばかり思ってました」

雑談しながら領地を歩く生産作業の前に腹ごしらえをするため食堂へ向かうと先客が居たようだ。

「お久し振りですね、ヨウさん」

「おお!カルくん久しぶり~」

「あれ?ヨウさんもしかして彼女ですか?」

「え?え?」

「あ~カルくん、違うから刀の注文があってねその依頼主のクレアさんだ」

「えっと、はじめましてクレアです」

「どうもカルです。刀の注文ってことは新しい刀仲間ですね。」

「そうなのですね、私は第2陣のプレイヤーなのでそのあたりについては詳しくないのですが」

第2陣と言うのは、サーバー負荷軽減のために新規登録が出来ない時期がありその後イベント終了後の9月に解禁された為、それ以降に登録したプレイヤーをそう呼んでいたりする。

「よろしくおねがいしますね。あっそうだ。ヨウさんよかったら僕にも二振り作ってもらえませんか?」

「この間のじゃもう力不足になってきたかな」

「そうですね、鉄製では斬り裂けないモンスターが増えてきて困ってます。」

「属性は前と同じのでいいかな?」

「実は、僕も≪属性付加≫を取りまして【永続化】が出来るようになったんで片方の素材には光属性を付加したいんです。」

「ほう、光属性ってことは聖職者持ってたんだ」

たしか光属性の魔法はライフスタイルの聖職者でしか覚えられなかったはずだ。

「はい、お願いできますか?」

「おう、面白そうだ、じゃあこれに光属性をかけてもらえるかな?」

そう言って銀のインゴットを10個取り出す。

「こんなにですか?」

「ああ、ミスリルで造るから錬成したら10分の1になるんだ」

「なるほど、ミスリルが高いのもうなずけます」

雑談をしながら食事を済ませて3人で工房へ行く。

カル君には工房の机をかしてそこで素材に付加する様に伝えて残った30個のインゴットを錬金窯にミスリル触媒と一緒に入れてかき混ぜる。

錬金窯が光り完成を告げたのでミスリルを取り出す。

カルくんも光属性を付加し終えたようなのでもう一度錬成する。

素材がそれぞれ完成したのでまずはクレアさんの試作品から造ってみることにする。

要望通り刃の長さが1mほどの大太刀タイプの刀を作る。

両手剣で今まで戦ってきていたのでこの間合いの方が戦いやすいそうだ。

刀身は少し厚めにして曲がらないように一気に打ち上げる。

仮の柄を付けてクレアさんに渡す。

「こんな感じでどうかな?」

2,3度素振りをした後

「良いですね、ちょっと試し切りしてきてもいいですか?」

「いいよ、なんだったらモンスターの召喚でもしようか?」

「え、そんなことも出来るんですか?」

「領地限定だけどね」

「それでは、お願いします」

そう言って工房を出て魔王の間へ行き召喚リストを見ながら

「カマキリ、人型ナマズ、ゴーレム二種類がBランクであとCランクのヘビが居るけどどれにする?」

「Bランクってことはボス並ってことですよね」

「そうなるね、一応殺さないように命令できるからカルくんと二人で戦ってみたら?」

「え、僕もですか?」

「うん、待ってるのも暇でしょ?それに二人なら何とかなると思うし」

「それでは、カマキリでお願いします。」

キラーリッパーを召喚する。

「それでは行きます。」

「そうだ、そいつの鎌には気お付けてね即死効果もあるから」

「「え?」」

「じゃ頑張って」

そう言って扉を閉めて工房へ戻る。

光属性のホーリーミスリルを炉に放り込んで刀を作りサイズは70cmの打刀で刀身は淡い光を放っている。

アイテムボックスからダークミスリルを取り出し同じように刀を作る、此方は脇差のため少し短く50cmにした。

二振りの刀に同じ意匠の鞘などを付けて完成だ。

振り返るとクレアさんとカルくんが工房の扉のところでこちらを睨んでいた。

「クレアさん使い心地はどんな感じかな?」

「そうですね、もう少し重心を手前にしてもらえると…じゃなくていきなりあんなところに放り込むなんて!」

「そうですよ、何とか倒せましたが即死効果とか反則でしょ」

「お!勝ったんだ。すごいすごい」

「「ココロガコモッテナイ!」」

2人に突っ込みを喰らいながら先ほどできた刀をカル君に渡す。

「名前はまだ付けてないから好きな名前が付けれるけどどうする?

 俺が付けるとカル刀光・闇とかにしちゃうけど」

「えーっと、そんなこと急に言われても考えてなかったです。」

少し悩んだ後、

「じゃあ光属性の方をアマテラス、闇をツクヨミにします。」

______________________________________

アマテラス

 ATK+80

 属性値 光:50

 ホーリーミスリルで造られた光属性を持つ刀。

 セットボーナス:ツクヨミと交互に斬撃を与えることでダメージ倍率が上昇

         効果上限は≪二刀流≫のスキルレベルに依存する

 *対応スキルが無いため【アーツ】の使用は出来ません。

 品質7

______________________________________

ツクヨミ

 ATK+70

 属性値 闇:55

 ダークミスリルで造られた闇属性を持つ刀。

 セットボーナス:アマテラスと交互に斬撃を与えることでダメージ倍率が上昇

         効果上限は≪二刀流≫のスキルレベルに依存する

 *対応スキルが無いため【アーツ】の使用は出来ません。

 品質7

______________________________________

「ヨウさんなんかセットボーナスってのがあるんですけど」

「気づいちゃった?条件は分からないんだけど付いちゃったんだよね」

「セットボーナスなんて初めて聞きました。」

「そうそう、クレアさんのも今日中に造れそうなんで名前考えておいてね」

「はい、わかりました」

そういって仮で渡していた刀を受け取り重心の調整なんかを済ませて本命の刀を打ち上げる。

先程よりも品質もいいようで中々の出来だ。

白を基調とした鍔や鞘などを作り柄は少し長めのものを用意する。

背中に背負う形になるそうなので取り出しやすいように鞘の側面が割れて抜くと同時に横薙ぎに切り払えるような構造に作り変えて完成だ。

「こんなもんかな?」

そう言って出来立ての刀を渡す。

「ありがとうございます。そうですね名前は白雪にします。」

______________________________________

白雪

 ATK+120

 ミスリルで造られた大太刀。

 *対応スキルが無いため【アーツ】の使用は出来ません。

 品質7

______________________________________


「おう、大事に使ってちょうだい。それでは、清算の時間です。」

「はい、10万Lです」

「えっと僕のはいくらになるんですか?」

「そう言えば決めてなかったな、アマテラスは属性付加やってもらったから10万Lでツクヨミの方は17万Lでどうだ?」

「27万Lですか、財布が一気に軽くなりますね。でもこの性能ならかなり安い気がするんでキリの良い30万L払わせていただきます。」

そう言って30万Lを取り出したカルくんから代金を受け取る。

「おう、評価してもらえてうれしいよ。この後はどうする?さっきの相手でもう一回試し切りしてみるか?」

「「いや勘弁してください」」

「そっか、じゃあ時間も遅いしそろそろ解散しますか」

「そうですね」

「町まで送ろうか?」

「いえ、今日はここの宿に泊まります」

「ぼくもです」

「そっか、まぁ使ってみて何かあったら連絡くれればアフターサービスくらいは無料でやるんで気軽に言ってね」

「その時はよろしくお願いします」

「それじゃお休み」

「「おやすみなさい」」

2人を見送り工房の片付けを済ませてログアウトした。


_____________________________________

ヨウ

装備スキル

 ≪魔王13≫≪中級革加工17≫≪福運32≫≪属性付加55≫

控えスキル

 ≪孤軍奮闘41≫≪武運12≫≪刻印魔法18≫≪中級採掘70≫≪中級鍛冶55≫≪中級錬金術12≫

商業ランク F

称号

 【グラッジ草原の覇者】

 【ヘイゼン沼地の覇者】

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YouTubeにて主題歌配信中「魔王様はじめました」
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