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魔王さまのおしごと…迂闊な魔王はどこへ行く  作者: 溶ける男
第二章 領地を得よう!

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19/56

9月23日


1:00

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今日は、昨日作ったヨーヨーの芯を持って、買い物に来た露店へやってきました。


「どうも、昨日ぶりです。

これ、真似て作ってみたんだけど、なんか違うのかな?」


そう言って、作った芯を取り出すと──


「ん?へぇ~作ったんだ!」


店主は顔を上げ、手のひらに乗ったそれをまじまじと観察しながら返事をしてきた。


「でも、動かないでしょ?」 「そうなんだよね。スキル関係だとは察しがついてるんだけど、そんなスキルあったっけ?」 「どうしようかな、教えてもいいけど──昨日のインゴット、もうちょいもらえる?」


……おう、そうきたか。

まあ、いいだろう。OKの返事をすると、突然露店を畳みだして、ついてこいとジェスチャーしてきた。

案内されるままについていくと、一軒の家に到着。

中は彼の個人工房らしく、名前はトイ。

主に生産をしながら、玩具による戦闘もこなしているらしい。


この玩具開発の過程で、≪刻印魔法≫ってスキルを覚えたんだとか。

≪刻印魔法≫は、プログラム言語みたいなもので、「動作」「条件」「スイッチ」なんかを対象に刻み、魔力でその現象を再現する魔法らしい。


万能そうだけど、例えば石に「爆発」って刻んでも爆発はしない。

でも、爆発物に対して「起動条件」や「スイッチ」を設定すれば、時限式とかキーワード式の起爆ができるようだ。


あの芯に刻まれてたのも、「戻れ」と「廻れ」の動作、それから命令を切り替える判断条件なんかだったらしい。

スキルレベルが上がると、新しい動作や条件、そして書き込める上限も増えていくらしい。


習得条件は、アイビスにいる刻印魔法使いに教えを乞うこと──

だけど、ファンタジーライフスタイルオンライン(FLO)のNPCたちはAI搭載で、定位置に居つかず生活してるから、探すしかないらしい。


とりあえず、見た目と出会った場所を教えてもらって、インゴットを渡してお礼。

その場所へ向かう。


案内されたのは、町の南側のスラムっぽい場所。

普段はあんまり近寄らないエリアだ。

教えられた見た目の男──と、思ってた人を探し、似たような人に声をかけては絡まれ、を繰り返すこと1時間。

何度目かの謝罪をしていると、背後から声をかけられた。


「ワシを探しているのはお主かな?」


振り返ると、20代くらいの女性が立っていた。

……あれ?女の人?

完全に男だと思ってた。

まあ、見た目しか聞いてなかったしな。


戸惑いながらも自己紹介を済ませ、案内された先は、彼女──ネルの家だった。


「で、どこでワシのことを聞いたのじゃ?」


そう聞かれたので、ここに来るまでの経緯を話す。


「ほう、あやつの紹介か……なら少し真面目に教えるかな」


そう言ってアゴを撫でながら頷いたネルに、本題を切り出すと、黒板とチョーク、それから模様の描かれた紙を渡された。

どうやら、黒板で練習するスタイルらしい。


とりあえず、描いてみると──黒板が光った。


「なんだ……一発で成功しちまいやがって、つまらんな。

なんか練習でもしてきたのかい?」


そう言われたので、ヨーヨーの芯を取り出してネルに渡す。


「ほう、なるほどね。

ある程度の基礎はあるみたいだね」


芯を返されたあと、なぜそれが発動しないかの講義が始まった。


──まず、≪刻印魔法≫スキルを持ってないと発動できない。

──発動には、刻んだ内容の詳細を把握する必要がある。


ただし、初回起動に成功したものは、キーワードなどを設定することで、スキル未取得者でも使えるようになるとのこと。


ちなみに、黒板が光ったのは、裏側に「模様の誤差1%以下なら発光」って刻印がされてたかららしい。


黒板が光ったことで、≪刻印魔法≫の取得条件を満たしたと説明され、スキル一覧を確認。

──確かに、項目が増えてる。


SPもギリギリ足りたので、即座に取得。


お礼を言い、この後どうしようか考えていると──


「無事に取得できたみたいだね。まぁ、タダじゃ教えられないから、これから言うモノを取ってきてもらおうかね」


え……取得させてから条件言うタイプ?

ちょっと引きつった笑みを浮かべてると、


ポーン!


効果音とともに、ウィンドウが開く。


____________________________________

ネルのお使い

3日以内に指定されたアイテムを調達して、依頼者に直接渡す。

3日後に条件を満たせなかった場合、≪刻印魔法≫の取得はキャンセル、再取得は不可能。

YES・NO(NOを選んでも再取得は不可能)

____________________________________


……YES一択だな。


YESを選ぶと、ネルさんは邪悪な笑みを浮かべながら、指定アイテムを告げてくる。


──ラッキーラビットの肉。


ラッキーラビットは、アイビス付近の森にいる、めったに見つからない超レアモンスター。

3日かけても見つからないことがあるレベル。


──だけど、俺のアイテムボックスには、以前領地モンスター作成用に使った余りがあった。


その場で取り出して渡すと、ネルさんは顔をしかめて、


「えっなんで持ってんの?

君の焦った顔が見たかったのに、持ってるなんてズルくない?」


性格わるっ!

どうやら、近場のレアモンスターからランダムで選んだらしいけど、まさかの一発クリア。

これも≪福運≫の効果かもしれない。


渋々ラッキーラビットの肉を受け取るネルさんに再度お礼を言い、その場を後にする。

そして、領地の工房へ移動。


≪刻印魔法≫と≪中級鍛冶≫をメインに、まずは鉄板作成。


数十枚の鉄板を机に並べ、1枚を目の前に置く。

≪刻印魔法≫を起動すると、ウインドウが出て、現在使える命令や条件一覧が表示された。


今使える命令は、「浮遊」だけ。


条件を選ぶと、半透明の模様が表示されるので、鉄板サイズに合わせて転写、模様部分を削っていく。

とりあえず、「浮け」の言葉に反応して10秒間浮遊する鉄板を完成させた。


手に取り、「浮け」と呟くと──手のひらから10cmほど浮き上がる。


押したりしても、基本その場をキープ。特別な動きはしない。


10秒後、力を失って落ちてきた鉄板をキャッチ。

次なる展開を考える。


うまく使えば、浮遊する盾を漂わせながら戦えそうだ。


さらに、「回転」の命令を覚えるまで、複雑な内容を刻んだ鉄板を量産していく。


用意していた鉄板をすべて使い切り、

最終的には「起動者の手のひらの位置に追従する鉄板」まで作成成功。

──まだ敵の攻撃に反応してオートで動くほどじゃないが、今はこれで十分だ。


使った鉄板を炉に戻し、1回り小さい鉄板を作成。

同じように刻印しながら、MP消費や命令負荷を体感で掴んでいく。


スキルレベルが3つ上がったあたりで、時間が来たので今日はここでログアウトすることにした。


____________________________________

ヨウ

装備スキル

 ≪魔王12≫≪属性付加55≫≪孤軍奮闘40≫≪武運10≫

控えスキル

 ≪刻印魔法3≫≪中級採掘65≫≪中級鍛冶46≫≪初級革加工43≫≪福運16≫≪中級錬金術8≫

称号

 【グラッジ草原の覇者】

____________________________________



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YouTubeにて主題歌配信中「魔王様はじめました」
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