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やる気なし英雄譚  作者: 津田彷徨
終章Ω エウレシア編

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戦争

「……ふむ、まさかキミと再会できるとは想定外……だね」


 思いもかけない人物の現出。

 それを前にして、ユイは思わずそう漏らす。


 そしてその言葉にウイッラが笑みを浮かべた瞬間、さらなる一言をユイは付け加えた。


「確かに想定外。でもこの程度なら……特に支障なく修正は可能かな」

「……ほう、面白いことを言うネ、キミハ。ウッヒヒヒヒヒッヒヒ、その傲慢、その思い上がり、実に見苦しいヨ。制限を外したボクらの力、どうやら理解できてないようだネ」

 言葉と同時にウイッラは不敵な笑みを浮かべる。

 それに対しユイは小さく頭を振った。


「大したものだと思っているよ。私では彼の剣を受け止めるなんて真似はできないしね」

「むしろ剣を振るわせない小細工をするのが君だよね、ユイ」

「どうも褒められてない気がするな。ともかく、ウイッラくん。理解できていないのは君だよ」

「何ダ、何を言っていル。この期に及んで、ブラフを仕掛け――」

「撃て、ノイン!」

 ウイッラの言葉を遮る形で発せられたユイの言葉。

 直後、彼らの後方から思いもかけぬ声が響き渡る。


「「グレイツェンクーゲル!」」

 不敵な笑みを浮かべるノインと、一斉に呪文を唱える帝国兵たち。

 そして彼らの頭上にはやや小型ながらも普通の魔法とは比較にならぬサイズの光の球体が生み出される。


「集合魔法ダト! くそ、Magiccode access……era——」

「だから、それはやらせないよ、マジックコードアクセス……プロテクション!」

 慌てて集合魔法を書き換えようとしたウイッラに対し、修正者のその行動を予測済みのユイは当然のごとく魔法干渉を妨害する。

 途端、軽く舌打ちしたウイッラはやむなく世界への再干渉を行う。


「The truth hide me in the code.」


 ウイッラがその不可思議な言葉を口走ったまさにその瞬間、集合魔法はまさに彼の立つ大地の上に直撃する。


 吹き飛ぶ地面、周囲に撒き散らされる爆風、そして生み出される灼熱。

 ユイ達を巻き込まぬようにと小規模のものであったとはいえ、その威力は魔法という概念をひっくり返すほどに圧倒的なものであった。


 だがユイが視線をそらすことはない。

 そして彼は、砂埃の中に小柄な男の影を見出した瞬間、一気にその場を加速した。


「ユニバーサルコードアクセス」

「くそくそくそ、調停者メ! 絶対に、絶対に許さんゾ」

 砂埃の中、二人が手にする刃と刃が交錯する。

 一撃、二撃、三撃。

 二人の力の差は明らか。

 一度の交錯毎に、ユイは弾き飛ばされる。


 だが彼が諦めることはない。

 まるで彼らしくなく愚直に、そう、何度も愚直に起き上がっては剣を振るう。

 明らかな違和感。

 それは誰しもが抱きうるものであった。


 そしてウイッラはかつての自らの記憶にアクセスしたところで、たちまちにその理由へと思い至る。


「まさか貴様、またあの時のようにボクをこの世界に引きずり出すつもりか!」

「正解。あの時も言ったはずさ。受肉した以上、高次の世界に住み続けられないと。たとえアクセスの権限が増えたとはいえ、この世界の肉体にいる以上魔法量には限界があるはずさ。というわけで、そろそろ化けの皮がはがれそうだね」

 すでにユイの視線の先には半透明の肉体があった。

 そう、先程までとは明らかに透過度が異なる肉体が。

 そして次の瞬間、再び二人目の刺客が飛びかかる。


「僕を仲間外れにして戦うなんてどうかと思うな、ユイ」

「くそ、朱め!」

 圧倒的な力を持って、高速で迫るアレックスをウイッラは弾き飛ばさんとする。だが赤い髪の死神は軽やかにその一撃を受け流すと、再び剣撃をウイッラへと向けた。

 ウイッラは目を見開きながら、どうにかその一撃を躱わす。そして初めて荒い息をしながらユイたちを睨みつけた。


「ハァハァハァ、くそ……卑怯者、この卑怯者メ!」

「はは、君に卑怯者と言われるとなんだか褒められている気がするかな。でもせっかくなら、もう少しだけ卑怯にさせてもらうとしようか」

 言葉と同時に、ユイは軽く右手を掲げる。


 途端、彼らの後方からものすごい数の兵士たちが一斉にこの場めがけて動き出した。


「ドラグーンは完全に排除した。さあ最終局面だ、全軍突撃。目標、敵魔法士!」

 ノインの声が戦場に響き渡る。

 途端、千を有に超える帝国兵たちはまるで津波のごとくウイッラめがけて駆け出した。


「な、なんだと……こんな……」

「ウイッラくん、確かに君は……いや、君たちは強い。自らを改変したのだから今は尚更ね。きっと真正面から対峙すれば、個人ではとても勝てないかもしれない。でも……君が今から相手取るのは軍隊だ。さてたった一人で千名を相手取れるかい。私たち二人を同時に相手取りながらね」


 それだけ告げると、ユイは再び己の刀を構え直す。

 そして彼は目の前の怯えた表情の男に向かい、はっきりと宣言した。


「さあ戦争を始めよう!」

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