二十六話 追憶開始
最近若干隔月更新になってきてて焦ってます。まぁ今回はかかった時間に比例して文章量も多くなってますけど。普段の二倍……いや、もっとか? そんくらいあります。
では、どうぞ。
「大変だなオイ、んじゃこの後寝ないで出発か」
「うん。さすがに京都は遠いからね。集合時間もいつもの学校より少しだけ早いんだ」
「2人とも、お土産何がいい?」
「やっぱり八つ橋かしらね。生のと普通のとよろしく」
仕事終わりの夜明け、四人はいつもの集合場所の公園で話していた。この後すぐにカナタとミチルの2人は修学旅行に出発するため、残るタイガとノゾミの2人に後のことを頼んでいたのだ。
「ま、こっちのことは心配すんな。予備要員の殲士も来てくれるし、人数的な負担はかからねぇよ」
「よろしくね。……じゃあ、そろそろ行かなきゃ」
「うん、いってらっしゃい」
頷いて、カナタとミチルの2人は去って行った。その後ろ姿を見て、タイガがぼそりと言った。
「……あいつら、随分と仲良くなったな」
「そうね」
聞こえてたのかよ、と首をすくめたタイガ。……が、ノゾミから返ってきた答えが割とあっさりしたものだったので、タイガは意外に思った。
「あれ? こういう時って微妙な気分になったりするもんじゃねぇの?」
「なるわけないでしょ、そんなにいちいち。キリないわよ」
「でもさ、ミチルがカナタを好きになったりしないのか、とか……想像したりはしねぇの?」
「もしそうなったとしても、あんまり気にはしないわよ」
「え? なんで?」
「う〜ん……なんて言ったらいいのかな……」
心底不思議だという表情のタイガに、自分の中にある考えをうまく言葉にするためにノゾミは首を傾げて少し考え、そして話し始めた。
「なんというか……私が恋愛感情を持っているのは“俺”のほうのカナタであって、今の“僕”のカナタではないのよね。……だから……なんというかこう……」
「以前のカナタと今のカナタは、ノゾミにとって全くの別人……ってことか?」
「そうそう、そんな感じ」
ノゾミは一つ頷き、断言した。
「だからまぁ、そんなに気にしたもんでもないのよ」
(……これ、ミチルに教えてやった方がいいのかなぁ……)
からからと笑うノゾミを見て、こっそりそう思ったタイガだった……。
ミチルとも別れ、家に帰り着いたカナタ。
「さて、もう準備はできてるし……持ち物の確認したら寝ない程度にのんびりしようかな」
自室に戻ったカナタは一旦スーツを脱いで一息つくと、荷造り済みの鞄を開けて最終チェックを始めた。
「着替え……筆記用具……今見てるしおり……まぁぶっちゃけなくて困るのはこんなもんか。後は面倒だけど現地調達できるもんね……」
その後も修学旅行のしおりに照らし合わせて荷物のチェックを続け、完了したので鞄のファスナーを閉じようとしたとき、目に入ってきたものがあった。
が……
「……さすがに修学旅行に、スーツと武具は持ってかなくていいよね……」
とは思ったのだが。しまおうとしてふと思い直した。
「……いや待てよ、それでも妖獣に遭遇する確率はゼロじゃないわけだし……」
と、三十分ほど熟考した結果。武具だけは念のために持っていくことにし、スーツはそのまま洋服ダンスにしまって鞄の口も閉じる。
そして適当に時間を潰し、ガスの元栓や窓のロックを確認してカナタは修学旅行へと出発した。
―――そしてこの旅行はカナタにとって、自身の過去を紐解く追憶の旅の始まりでもあった―――
例によって時間よりも少しばかり早く集合場所に到着したものの、さすがに文化祭の時と違って一番乗りではなかった。しかしそこには、非常に珍しいことに裕人の姿があった。
「……雪でも降るんじゃないかな……」
失礼な感想を呟きつつ裕人に近づくと、裕人の方もカナタに気づいたようで手を挙げてきた。
「ようカナタ、おはよう」
「おはよう裕人。……って、なんか眠そうだね?」
「おぅ……なんか寝つきが悪くてよ、昨日の夜……」
相当眠たげな裕人の様子に、カナタは苦笑する。大方、旅行が楽しみで眠れなかったのだろう。
「まったく、小学生じゃないんだから……けど、そんな状態でよく僕よりも早く来れたね」
「俺が自分で起きたんじゃねぇ、お袋に叩き起こされたんだよ。……ま、今日ばかりは感謝するけどさ……とてつもなく眠みぃ……」
「バスで寝なよ。どうせ時間はたっぷりあるんだから」
「そだな」
その後バスが到着し、集合時間になるまで二人は隣どうしの席で、途中でやってきた直子も交えて雑談していた。
ちなみに、その内容は……
「だから、やっぱり白目じゃない?」
「でもよ、それだと後に残るのはメガネ型みたいな、中央がくり貫かれた感じになっちまう訳だろ?」
「そのまま目の全面から出すのじゃダメなのかい?」
「それじゃ狙いを付けられないから避けられちゃうよ」
「そうか、照射中は目が光で覆われてしまうから見えないのか……」
「……となると、どういう原理で……」
「「「……う〜ん……」」」
「……なんの話してるの?」
唸っている三人を見て疑問に思い、尋ねてみたクラスメイトに返ってきた答えは……
「「「目からビームってどうやって出すのかって話」」」
……という、至極どうでもいいものだった……
そんなことをしている間にも時は過ぎ、出発してバスに揺られること数時間。いくつかのサービスエリアを経由してようやく最初の目的地である薬師寺に到着した。
「……ふぅ。あ〜よく寝た……」
「……うん。いびきが非常にうるさかったよ」
「まったくもって同意だね……」
ジト目で睨む2人をなだめ、裕人は先に立って歩き出す。
「しっかし、さすがにデカい寺だな。坊さんの話も面白いって話だし、楽しみだぜ」
「大きいのはこの建物だけじゃないよ。見てよ、この敷地の広さ。しかもこの広い敷地の存在意義は、本尊を初めとするこの建造物よりも遥かに小さい仏像なんだから」
「仏像の収められている建物だけでなく周辺の塔も立派だし、何百年も昔の人たちの信仰の深さが窺えるね。……さて、そろそろ件の薬師如来様の所へ行こうか」
直子に促され、薬師如来のいる金堂へと歩き始めるカナタたち。参拝の長い列へと並んでいるとき、ふと裕人が思い出したように言った。
「そういや、この建物って割りと新しいんだっけ?」
「うん。私たちにとって数十年は昔だけど、この寺自体の年月を考えると最近かな。……戦火に巻き込まれて消失したというかつてのこの建物は、どのような姿だったんだろうね……」
「どのような、って……同じ建物建て直したんだし、そりゃ同じデザインなんじゃねぇの?」
「……まぁ、そう考えるのが妥当なんだろうけれどもね。でも、どうしても私には自分がいるこの場所と古代のこの場所が、同じ場所だとは思えないんだよ」
「あん? どういうことだよ?」
疑問の声を上げる裕人と黙って首を傾げるカナタに、直子は少し考えて話し出した。
「……どこかの哲学者だか倫理学者だかの話なんだけどね。かつて、ある英雄が乗っていた木造の船があった。その船は長いこと大切に保存されていたけれども、当然のことながら木は劣化し、そのたびに木は取り替えられ……そんなことを繰り返すうち、ついにはかつてその船を構成していた本来の木は一本もなくなってしまった。……さて、ここで問題。この“すべてが現代の木で構成された船”と、“かつて英雄が乗っていた船”は、本当の意味で同一の存在といえるのだろうか?」
「え……そりゃ……う〜んと……」
「……これは、難しいね……」
直子の話したことに、聞いていた2人は首を捻って考え込んでしまう。それを見て、少し楽しそうにしている直子。
この思考実験の主軸は、何をもって“本物”とするか、ということだ。この“船”の形のみが保たれていれば本物だとするのなら、気が取り換えられても船は残っている、と言える。が、その“英雄が乗った”船を本物とするのなら、木一本でも取り換えられてしまったらその瞬間に残された船は“本物”ではなくなってしまう。さて、どちらの方がより“本物”に近いだろうか? ということだ。
「……俺は、修復されても同じだと思う。木が違ったとしても、姿は同じなんだろ? なら、その姿こそが、本物……だと、思う」
「ふむ、なるほど。キミはそちらの考えか……」
「あぁ。だってさ、修繕される過程で姿が変わったりはしてない訳だろ? だったら、同じ、だと思うんだけど……」
「……僕は、違うと思う」
ぼそりと呟いたカナタに、二人は振り向いた。
「僕は、過去に“英雄と共に旅した”木材が使われた船が本物だと思う」
列に沿って歩きながら、カナタは何を考えていたのか、どこか苦しそうに言った。
「……どんなに姿が似ていたって、英雄と共に旅したその船の“本質”は、材木も含めた全てであるはずだよ」
「……うん、そういう答えもある。というか、これはキミたち二人の出した答えのうち、どちらがより“本物”に近いか、ということが焦点なんだ」
そう言って、直子はカナタに向かって笑いかけた。
「さっき私が当時のここと今のここが同じ場所だとは思えない、というのも、同じ意味さ。私はカナタくんと同じく、この話を聞いた時に材木も含めた全ての要素が揃っていなければ本物とは言えない、と思ってね。だから、一度なくなって、そのあと建て直されたこの建物は……昔あったそのものと“同じ”とは言えないのではないか……という話だよ」
「……難しい話だ……」
ま、暇つぶしにちょっとした薀蓄を語ってみただけさ、と言って、直子は笑った。が、未だに裕人は納得がいっていない様子だった。
「う〜ん……」
「なんだい? 何か腑に落ちないことでも?」
「まぁ、な……船の場合は、春日とかカナタの言うように材木も同じやつでないと本物とは言えない、っていうのは納得できるぜ? でもよ、この建物の場合は……それには微妙に当てはまらないんじゃないか、ってよ」
「? どういうこと?」
珍しく本気で首を捻っているらしい裕人に、カナタは意外な気持ちを抱きつつ尋ねてみた。が、返ってきたのは、カナタにとってはまたしても考えさせられるような内容だった。
「だってよ、さっきの船の話の時は、船がメインテーマだったから材木も残ってなきゃ、って話だったけどよ。この建物に限っては、建物の存在意義が仏像にある訳だろ? だったら、その本質……というか、“存在理由”みたいなものはそこにあるんだから、“建物”としての形は、そんなに問題にならないんじゃねぇかな〜、って……」
「……なるほど。それはまた新しい切り口だ」
裕人の返しは予想外だったが、直子は少々驚きながらも納得する。顎に手を当てて考え込んでしまった。
「確かに、ここの場合はそうかもしれないね。場所の目的と本質、か……この場所の本質とは、安置されている仏像だ。となれば、その核……いや、“魂”とでも呼ぶべきものが残っている限り、この建物は本物と言える、か……」
何やら興味を持ってくれたらしいことに裕人は若干嬉しそうにする。しかし二人は気付いていなかったが、カナタは何やら辛そうな表情を浮かべていた。
(……魂さえあれば本物、か……でも僕は、過去の自分とは変わってしまった……さっきの話のように、“心”こそが存在が本物かどうかを決めるというなら……)
(……体という“入れ物”だけが同じで、心という“中身”が違う僕は……“本物”として存在していると、言えるんだろうか……)
かつて模擬戦の際、タイガに“ニセモノ”と言われたこともあってか、カナタはその答えをすぐに出すことはできなかった……。
さて、気を取り直し。参拝を無事終えて一通り境内を周り終えて、薬師寺での予定をほぼ済ませた三人は移動の時間になるまで雑談に興じていた。
「確か、この後の予定は……鹿がたくさんいる公園に行くんだろう?」
「うん。僕、鹿って本物を見るのは初めてだよ。楽しみだな……」
いつになく興奮しているカナタを見て、直子と裕人は小さく笑った。それを見て、何か笑うところがあっただろうかとカナタは首を傾げる。
「ん? なに?」
「いや。久しぶりの好奇心旺盛モードだな、と。キミが転校してきたばかりのことを思い出したよ」
「だな。あの頃はすごかったぜ、ありとあらゆるものに興味持ってさ……」
そう言って、過去のことを思い出して笑う2人に、カナタは慌てた。確かに転校当初は何かと質問しまくったが、そこまで激しくは……!
「そ、そんなことは……!」
「「あったよ」」
否定しようとしたら即座にバッサリ切り捨てられ、カナタは恥ずかしそうに俯く。どうやら自分が覚えていた以上に激しかったらしい。それを見てさらに笑う2人にカナタがいじける……というループが出来上がり、周囲のクラスメイト達もそれを見てクスクスと笑っていたのだった。
その後も、裕人が旅行のしおりを鹿に食べられそうになったりとアクシデントはあったものの無事に一日目の観光を終え、カナタたちは旅行中に宿泊する旅館にやってきていた。私立高校の修学旅行で宿泊する旅館だけあって、豪華できれいな場所だ。当然、女子と男子は宿泊する階が違うので(逆に言えばその程度の制限しかされないほど信頼されているとも言えるが)、直子と別れ、カナタは同室の裕人と共に自分に割り振られた部屋に入る。
「おぉ、資料で見せられたよりもだいぶ広く見えるな。カナタ、ベッドどっちがいい? 窓際とそうじゃないのとあるけど」
「ん? どっちでもいいよ、大差なさそうだし」
「んじゃ俺窓際じゃない方〜」
と、決めた方のベッドに自分の荷物をポンポン投げる裕人を横目にしつつ、カナタは窓の外を見やった。目の前に広がる山々は紅葉がそこまで進んでおらず、赤と緑のまだら模様が見える。
「……紅葉にはまだ早い、か……」
「ま、もう一月くらい経たないとな」
答えてくる裕人に適当に答え、カナタは山並みの向こうに沈みゆく太陽を眺めた。
(もうすぐか……)
空の暗くなっている具合からそう思い、カナタはいつもの癖で仕事に行く用意をしようと踵を返しかけた。が、寸前で気付き、止める。
(……あぁ、そうか。今日は仕事ないんだっけ……)
いつもの癖で仕事の用意をしようとしたカナタだったが、今日は仕事がないどころかそもそもここは任務の場所から遠く離れた地。あまりにも間抜けな自分の思考にカナタは小さく苦笑してしまう。
(ちゃんと出かける前に確認して、スーツまで置いてきたっていうのに忘れるなんて……癖って怖いな)
苦笑したのが聞こえたのかどうしたのか尋ねてきた裕人になんでもないと答え、カナタも自分の荷物を取り出し始めた。
「後はメシ食って風呂入って寝るだけか。ただバス乗ってただけなのになんか疲れたぜ……」
「よく言うよ、ほとんどの時間寝てたくせに」
「いやお前、動かないで座ってるだけでも結構辛いんだぜ。起きた時に肩こりがひでぇのなんのって……」
などとゴチャゴチャ話しつつ、二人は荷解きを続けていく。カナタがカバンの底にある武具を見られないように気をつけながら衣服を取り出していると、裕人があくびしながら言った。
「ふぁ〜あ……うーん、あくびは出っけど、実際寝られるかね? さっきあんだけ寝ちまって……」
「さぁ? まぁ寝られなくても無理もないとは思うけど」
「なんかさ、普段と違う場所とかものを使って寝る時って、なんか妙に緊張っつか、気にならねぇ? いつもの習慣が急に狂うと、気持ち悪いというか……」
「……そうだね。僕もちょっと不安になってきたよ……」
“普段と違うと“という裕人の言葉に、カナタはこっそりと冷や汗を書いた。裕人のような理由ではないものの、カナタも普段の生活とはまったく違うことをしているのだ。そしてカナタは、不安に駆られながらこう思った。
(……そもそも僕、夜に寝られるのかな……)
結果発表。
就寝時間から三十分後。ベッドに入って目をつぶったまではよかったのだが……
「……ダメだ、眠れない……」
カナタ眠れず。まぁ当然の結果であろう。
普段から夜更かし……どころか完徹しているカナタたち殲士にとって、もはやゆっくりと睡眠をとることは遠い世界の出来事のようになってしまっている。しかも一晩中気を張っているのが日常となってしまっている彼らにとって、突然夜の時間を与えられても、気持ちはともかく体がついてこないのであった。
「仕方ない。散歩でもしてこよう……」
と、決めたカナタは隣で大いびきをかいている裕人を起こさないように(よく寝られるものだが)ベッドを抜け出し、夜なので念のためにバッグの底の方に隠しておいた武具を持ってコッソリと部屋を出たのであった。
さてどこを散歩しよう、と思ったカナタは、学校で予め見せられたホテルの資料の中に庭園があると書いてあったことを思い出した。案内板を見てみると、どうやらウォーキングコースもあるけっこうな広さのものらしい。
「ここなら、都会とは違ってたくさん星も見られるかも……」
と、意外にも期待できそうな庭園にワクワクし、カナタは階段を下りて行った。
結論から言えば、薄雲がかかっていたせいで星を見ることはできなかった。一瞬ガッカリしたものの、夜の庭園そのものが趣深そうだったので、カナタは気を取り直して散歩を始めた。椚、杉、金木犀、ナナカマド……様々な植物が配され、小さな小川が流れる庭園を、のんびりと歩いてゆく。
(きれいなせせらぎの音……植物はほとんど見えないけど、来てよかった……)
また明るいときにも来よう、と決めてふと目を上げると、小さな東屋が目に入った。
(ちょうどいいや。けっこうここ広そうだし、あそこに着いたらちょっと休憩して、そしたら部屋に戻ろう)
と決め、カナタはさらに歩みを進め……ようとした、その時。
「……あれ? 今……」
つい先ほど目的地とした東屋に、人影が見えた気がした。……まさかとは思うが……
「幽霊、じゃないよね……?」
言葉にして呟いてしまった瞬間後悔したが、カナタは頭を振ってその想像を追い払い、今度こそ歩き始めた。
……が、念のため知りたかった。
「……魔洸って、幽霊にも効くのかな……」
道を通り、ゆっくりと傾斜を上って、また下りて。時計をしていないので正確かどうかは定かではないが、小一時間は歩き回っただろうか。気がつけば、目的地にしていた東屋が目前まで迫っていた。が、入ろうとした時に横にある木に目が行ってカナタは足を止めた。そこにあったのは、パッと見た感じは普通の二股の木。だが、その表面をよく見てみると……
「これは、ブナか。と……楓? 違う樹木の二股なんて珍しいな」
「こういう二股の木には、神様が宿ってるらしいよ?」
「うわあぁ!?」
突然近くの暗がりから声が聞こえ、カナタは驚いて飛び上がった。どうやら目的地としていた東屋には先客がいたらしい。……の、だが……
(……まさかほんとに……)
先ほどの想像を思い出してしまい、無意識に武具を握りしめてしまうカナタ。そのまま恐る恐る声が聞こえた方を覗くと、そこには……
「……え!? れ、麗さん!?」
「こんばんは、カナタくん」
幽“霊”ではなく、人間の“麗”が、小さく手を振りながら、微笑んでいた。カナタはそちらに歩み寄りながら、まだ驚きを隠せない様子で聞く。
「なんでまた、こんな時間にこんな所に?」
「たぶん、カナタくんと同じ理由。普段からこの時間は仕事中だから、どうしても寝付けなくて。こっそり抜け出して来ちゃった」
いたずらっぽく笑う麗を見て、カナタもつられて微笑する。
「うん、僕も。本当は、星でも見たいと思って暗いところを探してたんだ。でも今日はちょっと曇っちゃってるし、けどせっかくだからって散歩してたらこの東屋を見つけて……」
「私に遭遇した」
「そゆこと」
クスクスと笑い、自分の座っている椅子の隣の空間を手でポンポンする麗。頷いて座り、カナタはホッと息を吐き出した。
「あ〜ビックリした……実はさっき、この辺で人影を見たような気はしたんだけど……まさか麗さんだったとは。一瞬幽霊かと思って警戒しちゃったよ」
「あはは。ごめんね、なんだか驚かせちゃったみたいで……」
苦笑する麗に、カナタは首を振って答える。
「ううん、むしろ会えてよかったよ。正直退屈してたし……」
「それは私のセリフでもあるよ。毎日徹夜してると、夜に暇ができてもやっぱり適応して休めないよね……」
顔を見合わせ、うんうんと頷きあう2人。殲士は皆、夜になれば命を奪い合う戦士となる。常に精神を張りつめていなければならない仕事だ。それが日常となってしまっている彼らに、突然その時間に休んでいろと言われても、喜ぶこともできず、戸惑うしかない。
とまぁ、意気投合した二人は、そのままその日のうちにあったことをお互いに話し合う。
「伝言ゲームとはまた、オーソドックスだね」
「同じ言葉を伝えていくのが、あんなに難しいなんてね。必ずどこかしら変わってるんだもん」
「人って、不思議だよね……」
「明日はいよいよ京都だけど、どこに行くの?」
「え〜っと、金閣寺と清水寺と……鞍馬寺、かな」
「あ、清水寺は私も行くよ。あっちで会えるかもね。友達が縁結びの神社行きたいそうだし」
「あぁ、そういえばいつだったかもこんな話したね。……縁結びかぁ、やっぱり女の子はそういうの好きなんだね……」
「まぁ、恋がしたい人にはそうなんじゃない?」
「麗さんはどうなの?」
「え。わ、私!?……ま、まだわかんない……かな」
(美人さんなのに……)
そして話題は、今日の薬師寺での会話へと移る。その思考実験の内容を聞いて、麗は生真面目にも真剣に考えて困ったように首を傾げていた。
「む、難しいねそれ……何が本物なのか、かぁ……」
「そう。その条件を見極めるのって、すごく難しいんだね。……ちなみに麗さんはこの船の話、どっちだと思う?」
「う、う〜ん……」
さらに首を捻って唸ること数分。麗は答えを出し、カナタに向かって言った。
「私は、今現存しているものも同じものだと言えると思う。たとえ木材全てが変わってしまっても……その姿は、本物だと思うから」
「木材が変わっちゃってるのに……姿は同じ、なのかな?」
カナタの疑問に、麗はどう答えようかとしばし考え、ゆっくりと話し始めた。
「私は、そう思う。というより、まったく変わらずに昔のままの状態を維持するなんて、不可能だよ。電化製品だって家具だって、使っていればいつか故障してしまう。でも、修理して戻ってきたそれが、修理に出す前の物と違うとは言えないでしょ?」
「それは……確かに」
「人間と同じだよ。成長して外見が以前とまったく違うものに変わったとしても、“その人”として存在している」
麗はそう言ってカナタに、どうかな? と言いたげに首を傾げた。それを聞いて、カナタは小さく頷いて、そしてずっと考えていたことを口に出した。
「僕の友達も、そういう結論だった。……実はその時、ちょっと思ったことがあるんだ。麗さんになら言えるんだけど……今の話さ、ちょっと僕にも当てはまる気がするんだ。僕の場合は、体が同じで性格が違う、っていう……さっきとは逆の状況だけど」
「あ……そっか……」
「別に、それを気にしてるって訳じゃないんだ。今も僕の“存在”については考え続けてる途中だけど、それは僕にとって絶対に必要なことだから……でも、そのためには知らなきゃいけない、か。いい機会かな……」
最後に小さくつぶやいたカナタは躊躇うように数秒考え、意を決して麗に言った。
「麗さん、お願いがあるんだ。……教えてくれないかな、隼人くんとアスノさんの事を」
驚く麗に、カナタは自分の頭に触れながら重ねて言った。
「僕は、過去の僕のことを何も知らない。……いくら思い出そうとしても、思い出せないんだ。この前みたいに頭痛に見舞われることはないけど、どこか鍵がかかっているように感じる」
無意識に俯いていたカナタは、麗に顔を向けて話し続ける。
「でも、その中でもぼんやりとだけど、見えているものがある。それが、アスノさんなんだ。たぶん、僕にとってとても大切な記憶なんだろうね。……だから、どうしても知りたいんだ。僕と、アスノさんとのことを……」
「そっか……」
少し考える麗。友達とはいえ、叶の許しを得ずに過去を勝手に教えるのはどうかとも思ったのだが……
「……まぁ、カナタくんも当事者なんだしいっか」
そう呟いて、麗はカナタに笑いかけた。
「……うん、わかった。私の知ってる範囲の話になるけど、それでもよければ」
「それでお願い。……ありがとう」
「うん。……けど、そんなに前の話でもないんだ」
礼を言ってきたカナタに頷き、麗は空を見上げて過去を思い出しながら話し出した。
「ノゾミちゃんとカナタくんが出会ったのは、去年の春。梅雨に入る少し前の頃だったかな? 当時私は新人だったタイガくんと組んでて、カナタくんはいろんな人から聞いてる通り相当強い力を持っていたから、いつもソロで戦っていたんだ……」
数日ぶりの雨。その激しさに、時期なのだから仕方ないとは思うのだが、やはり叶はそれを見るたびにげっそりとしてしまう。
「あーもう、鬱陶しい雨ね……朝は晴れてたってのに、なんで帰りで濡れなきゃなんないのよ……」
「時期だから仕方ないって。でも叶はまだいいよ、ショートなんだから。長いと大変なんだよ?」
強い雨の中、歩く二人の少女。話題にしているのは髪型のことようだ。このショートカットの方の少女が、これから話の主軸となってくる未来の“アスノ ノゾミ”こと“広橋 叶”である。
「まぁ、大変さで言ったらそうだろうけどさ。精神的なものは負けないわよ?」
「勝ってもうれしくないよ、そんなの。……それより、どう? 最近」
「最近、って言ったって……今までと大差ないかな。そんなに何かが変わった、って感じはないわよ。行くところが中学と変わっただけじゃない」
「そう? 私は結構楽しいけど、中学の時より」
「まぁ、樹理は社交性高いもの。友達ができれば楽しいでしょうよ」
困ったように笑う樹理に、叶はため息を吐く。他とは違うところがあり、それを自覚しているものはなかなか周囲に溶け込みにくいものだ。それも、新しい環境に入って、たかだか一か月程度しか経っていないような女子高生では……
……叶は、生まれつき世界を満たす薄い“紅い光”が視えた。幼いころからそれでいろいろな形を作って遊んでいた叶は、それが異能の力とは知らずに自力で扱う術を覚え、いつの間にか習得していた。が、それが自分にしか見えず、しかもヘタな腕力よりも威力があると知ってからは、“それ”が見えることを隠しつつ、暴漢に襲われそうになった時に目立たない程度に使って撃退したこともしばしばだった。
そんな経験のせいもあってか、叶には普通のティーンエイジャーの少女にはない雰囲気があった。だからこそ、彼女は周囲の人間に溶け込めずにいた。
(……ま、仕方ないとは思うけどね。私だって鏡で自分の顔見ると、恐そうって感じするし……)
そんなことを考えて、叶は樹理と話しながらも自分が見える光について考える。
(……ホント……なんなのかしらね、コレ……)
「おねえちゃーん!」
「ん?」
樹理と別れて歩いていると、突然後ろから聞き覚えのある声に呼びかけられて、叶は何事かと振り向いた。が、相手を認識する前に足元に衝撃を感じ、思わずよろめく。叶がそちらに目を向けると、叶に笑いかけている小さな男の子がいた。
「っとっと……タカト! 今帰りだったの?」
「うん! そしたらお姉ちゃんを見つけたから!」
「そっか。じゃ、一緒に帰ろうね」
「うん!」
満面の笑みを浮かべる弟、タカトに叶も無意識に笑いかけ、手を繋いで歩き始めた。
傘をさしながらタカトと一緒に歩いていた叶は、弟の話し相手になってあげていた。
「でね、今日はクラスのみんなで大縄の練習しよって言ってたのに、雨でできなかったんだ〜」
「ふぅん。体育館とかは使えなかったの?」
「他の学年が使ってたから。うるさいから、教室でやっちゃダメって言われてるし……」
「そっかぁ。まぁ、クラス全員が一斉に跳ぶんだもんね」
「うん。でも先生、梅雨になったらもっとできる機会が減るかもって……今日、本当はずっと晴れの予報だったのに……」
残念そうに言うタカト。元来運動することが大好きな子なので、できると思っていたことができなかったので本当にガッカリしたのだろう。叶はそんな弟の頭を撫でて、笑いかけた。
「天気ばっかりは仕方ないよ。晴れたら、お姉ちゃんが一緒に練習してあげるから。……普通の縄跳びなら……」
「ほんと!? ありがとう、お姉ちゃん!」
最後に視線をそらしてボソッと叶が漏らした一言はタカトには聞こえなかったらしく、キラキラとした目で叶を見つめるタカト。
(……う……な、なんだろうこの居心地の悪さ……)
普段からとはいえ、弟の素直さになぜか動揺させられる叶。ともあれ、まあいいか、と思って叶がタカトに笑いかけた……
その、瞬間。
世界の“色”が、変わった。
突然起こった怪現象に驚き、思わず足を止めてしまう2人。光彩の狂った空に、どことは言えないが違和感のある空気感。そのくせ降り続く雨は、周囲の不気味さをより一層際立たせていた。
「……何よ……これ……」
「あれ? ど、どうしたんだろう? なんだか景色が変な色だよ? お姉ちゃんは? 僕の目、おかしくなっちゃったのかな……?」
「……大丈夫よ、タカト。私も変な風に景色が見えてるから……」
泣きそうなタカトを安心させようと、叶は握っているタカトの手を強めに握った。彼もその手を握り返してきた。……が、数秒後に体をビクッと震わせた。
「……どうしたの?」
「……お、おねえちゃん……あっ……あれ……」
タカトが震える指で示してきた方向に叶は目を向けそして絶句した。そこにいたのは……
「……ルルゥ……!」
……醜悪な怪物だった。姿のベースは狼のようだが、前足と後ろ足が1セット多く、まるで蜘蛛のようになっている。青白く発光している目は周囲を睨みつけるようであり、大きく裂けた口からは大量のよだれが垂れ落ちていた。
「なっ……なんなんのよ、アレ……!」
叶は動揺してタカトの手を強く握ってしまうが、彼は彼で恐怖に駆られて泣きそうになっていた。二人とも未知なる存在への恐怖に、完全に動けないでいた。……が、化け物と叶の目が合った瞬間、叶は我に返って血相を変えた。
「タカトッ! 逃げるわよ!!」
「………え、あ、うん!!」
返事を聞くが早いか、叶はタカトの手を引いて走り出すが、あまりの動揺に足がもつれて速く走れない。その上、振り返れば追いかけてくる化け物が見えて気ばかりが急く……という悪循環。
体が燃えるように熱く感じるほどに、必死で走る叶。だが、だんだんと繋いでいる手からの感触が重くなっていく。まだ幼い弟には無理もない、とてつもない速度で走っているのだから。
「タカト、辛いだろうけど頑張って!」
「……待って……おねぇ、ちゃん……ぼく、もう……」
「タカト!」
疲れてしまったのだろうタカトを励まそうと、叶は繋いだ手の方を振り向いた。……が。
「!? どうしたの!?」
叶の視線の先にいたのは、青白い顔をして息も絶え絶えなタカトの姿だった。驚愕した叶は慌てて路地裏に飛び込んで怪物からいったん姿を隠し、タカトを引き寄せた。
「タカト! いったいどうしたのよ!?」
「わかんない……でも、なんか……体が急にだるくなって……」
目を閉じて細い息を吐くタカト。その言葉を聞いて、熱でも出たのかと叶はタカトの額に触れるが、まったく熱くない。……それどころか、むしろ……
「……冷たい……? どうして……!?」
冷えきった金属のように冷たかった。どういうことかと思った叶だが、タカトが薄く目を開けたのですぐに話しかける。なぜか、話しかけ続けなければダメだと思ったからだ。
「タカト、今日さっき言ってた以外に何かあった……」
「ねぇ、おねえちゃん……」
不調の理由を尋ねようとしたらタカトの方から話しかけてきて遮られてしまったが、何を言いたいのかと叶はタカトの口元に耳を寄せる。
「なに? どうしたの?」
「……おねえちゃん、の……てのひらの、赤いの……なに……?」
「……え? あ、あかいの?」
授業中にボールペンのマジックでも飛んだのかな、と思い、叶はその時初めて自分の右手のひらを見た。が、そこにあったものを見て叶は驚愕する。
「……タカト、あんた……これ、見えるの……?」
非常事態で無意識に“集めていた”のか、叶の右手にはいつもの紅い光があった。……が、これまではタカトの前で試しに使ってみても一度も見えなかったというのに……
「……それ、当たってると……ちょっと、息が……しやすい……」
「! わかった!」
何がなんだか分からないが、とにかく優先すべきはタカトの体調だ。楽になるとタカトが言うのならなるのだろうと、叶は精一杯タカトを抱き寄せた。同時に紅い光を両腕に集中し、タカトを包む……いや、包もうとした。が、なぜかうまくいかなかった。
(……なんでよ……!? なんで痴漢共を叩きのめすなんてどうでもいい時にはうまくいって、大事な弟を守ろうって時には使えないのよ……っ!!)
肝心なときにうまくいかないことに叶はイラつくが、ともかくそれでも叶はタカトを力いっぱい抱きしめる。
……タカトの不調で、動転していたことは事実だが……叶はその時、失念してしまっていた。
……自分たちが、“追われていた”のだということを……
気づいたときには、完全に手遅れだった。叶が横から聞こえた嫌な声に飛びのいた瞬間、先ほどの怪物が正面にいた。まだ多少距離はある。逃げなければ、と頭では思ったが、目の前の怪物の青白い瞳と、サメのように鋭い歯がいくつも並んでいる口元を見てしまい、足から力が抜けてしゃがみこんでしまった。その上、彼女は今タカトを抱えている。抱えたまま走ってもすぐに追いつかれるし、見捨てるなど論外だ。紅い光がいつもどおり使えたならぶちのめして逃げる、という選択肢もあったが、なぜか不調だ。
などと考えている間にも怪物はゆっくりと二人に迫り……嬉しそうに、本当に嬉しそうに、大きく裂けた口を開いた。
(……あぁ……これ、死んだかも……)
という思考を、叶は妙に冷静にしていた。人間完全に追い詰められると、むしろ冷静になるものらしい。そして怪物の姿が、細部まではっきりと見える程度の近くになり、叶はぼそりと弟に謝った。
「……ごめんね、タカト……」
彼からの返事はもはやなかった。が、もはや二人とも動けない。叶は観念して目を閉じ、自分の体が引き裂かれる痛みが走る、そのときを待った……。
「……らあああああああああああああ!!」
その時、突然背後から聞こえてきた声に、叶はビクッと肩を震わせて目を開けた。が、彼女が振り向くよりも早く真紅の閃光が走り抜け、彼女を襲おうとしていた怪物を吹き飛ばした。
「ギャウウウウ!?」
怪物は相当な距離を吹っ飛ばされたものの体勢を立て直し、その元凶を睨みつけた。自分と弟を救ったらしいそのモノの姿を見て、叶は驚愕していた。その正体が、紅い光でできた翼を広げた、自分と同い年くらいの少年だったからだ。しかしそんな叶をよそに少年は二人に近付き、タカトを見て一瞬目つきを鋭いものに変えたが、すぐに肩の力を抜いて表情を緩めた。……が、すぐに叶に向かって言った。
「……ふぅ。危ない状態ではあるが、どうにか間に合ったか……オイ、絶対にこの子から離れるなよ。その光ってる手を、彼の体に触れさせ続けろ。でないと、ヘタすりゃ命に関わるぞ」
「え、ちょっと……!?」
いきなり現れて好き勝手言いまくった少年に戸惑う叶だったが、もう少年は立ち上がって真剣な表情で怪物に向き合っていた。その時初めて、叶は少年が日本刀のようなものを持っていることに気づいた。そして、叶たちの目の前に突然現れた少年は、背中の血のように紅い翼を力強く広げ、宣言した。
「アイツの相手は俺がする。大丈夫だ、お前は俺が守ってみせる。……いや、お前たち、かな」
ふっ、と不敵に笑って、少年は鞘から刀を抜き放った……かと思いきや柄だけだった。が、すぐに紅い光が柄の先に収束し、光の刃を迸らせた。
「さぁ、行くぜ!」
これが全ての、物語の始まり。
―――翼を持つ少年と光を視る少女が出逢った、運命の夜―――
いや~、書いた書いた。今回は普段の3倍くらいの文章量がありますからね。普段の私の小説を読んでいる方は、そのノリで読んだら驚かれた方もいたかもしれませんね。
で、確認してみたらなんと驚異の14000字オーバー! 割とガチでビビリました。そもそも一万字超えたの初めてですし。……違うな、今回が多いんじゃなくて普段が少なすぎんのか。
本当はサブタイトル続き物にしようと思ってたんですが、ちょっと事情があってやめました。ご了承願います。ちなみに私は今回の連続過去話を便宜上は追憶編と呼んでいますので、もし必要があればこの呼び方をお使いください。
次話は冒頭からバトルですね。なんか戦闘を書くのが久しぶりな気がするなーとか思ってたら、実際相当久しぶりなんですよね。よく考えたら最後の書いた戦闘描写が降雨編の最後ですから、ほぼ一年ぶりですもんね……ん? てことは……ほぼ一年間文化祭のことばっかり書いてたのか!? い、今更気づいた……
つか月日的にはあと三ヶ月くらいで2周年いっちゃうのか、やべぇな。何しよっかな……まぁ、なんか考えます。
今回の後半で叶が出てきましたが、追憶編は彼女の視点で物語が進んでいくことになります。次回以降も楽しみにして頂ければ嬉しいです。
今回はこの辺で。では、次でもお会いできることを願いまして。