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零話 始動前日

 初の一時創作です。では、どうぞ。

 その“少年”が行方不明になってから、しばらく経った。


 暗い空間。周りに光源が少ないどこかの室内で、一人の少女が暗がりに蹲り、暗い表情で俯いている。彼女の両手は、自分自身を抱きかかえるかのように体に回されている。が、それは自分自身を抱きしめるための行動ではない。


 帰ってこない少年から託されて、今は自分の中で眠っている、“あるもの”の存在を感じるためだ。そうしていると、少年が自分の近くにいるような気がして、少しではあるが落ち着くから。


「……隼人はやと……」


 少女が呟くのは、自分の一番大切な少年の名前。自分に“これ”を託して、帰ってこない少年。少年が帰ってこなくなった日から悲しみに暮れ続けている少女は、誰かが自分の近くに来た気配を感じて顔を上げた。


「……司令……」


「よう。……少しは、落ち着いたみたいだな」


 そう、これでも落ち着いたほうなのだ。“少年”が帰ってこなくなった当初など、大泣きに泣いて大変な状態だったのだ。


「……はい。……ご迷惑、おかけしました……」


「ま、気にすんな。それほど、あいつがお前にとって大切だった、ってことだろ」


「……はい……」


「……“鞘”の調子は、どうだ?」


「……やっぱり、完全には馴染みません。これは、本来は“カナタ”のものですから……」


 それもそうだよな、と納得したように息を吐く男。ふと思いついたように、少女に質問を投げた。


「お前の“力”には、影響はないのか?」


 すると少女は、少しおかしそうに返事をした。


「……予想通りですが、以前より、使いにくくなりました。……まったく、カナタらしいですよね。後先考えずに、私に自分の武具を預けるなんて……」


「ククク……確かにな。あいつらしいといえば、らしいな」


 その言葉を聞いて少女もまた少しだけ笑い、ふと空を見上げるように上を向いた。


「……まったく、今どこでなにしてるんだか……」


 少女の疑問を解消させることができる者は、残念ながらどこにもいないようだった。




「……っくしょん!」


 授業終わりの喧騒に包まれた夕暮れの教室に、盛大なくしゃみが響き渡る。


「ぐすっ……やれやれ、誰か僕の噂でもしてるのかな?」


 独り言をつぶやき、窓の外に視線を向けた少年。空は雲ひとつなく、美しい夕焼けに染め上げられている。昼間から夕方に移り行く空は、まるで虹のような色彩を誇っている。


「明日も……いい天気になりそうだなあ……」


 少年が自分の席でまったりしていると、教室の入り口から焦れたような声がかけられた。


「おい、カナタ! 早く帰ろうぜ!」


「あっ、うん! ちょっと待って!」


 少年は自分に呼びかけてきた声に返事を返すと、慌てて自分の鞄をもって小走りで駆けていく。




 少年は知らない。翌日の突然の雨と共に、自分が大切な出会いを果たすとは……。

 はい、序章でした。私は以前、ここで二次創作を投稿していました(一つだけですけど)。


 おそらく不定期更新になってしまうと思いますが、なるべく週に一つくらいのペースで投稿していきたいと思います。もし良ければ、次も読んでいただけたら幸いです。

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