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よくある話と、その末路

なんかやっちゃいました?

作者: アーク
掲載日:2026/05/04

わたしは瑠奈。


東京郊外出身で、名前はママが付けてくれたのよ。


本当は、「月」って書いて(ルナ)って名前にしたかったらしいんだけど、パパと、おじいちゃんとおばあちゃんが


「大きくなった時に苦労するのはこの子だ」


って言って、じゃあ、別の漢字にすればいいわよね?ってママが言って、妥協で「瑠奈」って名前になったのよ。


今どき、もっと珍しい名前なんていくらでもあるし、クラスメイトにも所謂キラキラネームの友達はたくさんいたから「(ルナ)」でも良かったんじゃないかなあ、ってわたしは思う。


そんなわたしはWeb小説でテンプレの、居眠り運転のトラックに轢かれて異世界転移した女子高生。


目が覚めた時にわたしがいたのは、異世界転生もので良く見る「中世ヨーロッパ」っぽい場所で、騒ぎを聞き付けて駆け付けた男爵様が


「我が家に来ると良い」


って言ったの。


この世界では異世界から来た人間を保護するのは貴族の務めだと男爵様は言っていて、わたしをこの世界の国立の学園に通わせてくれたの。


学園に通う前は色んな貴族からお茶会にお呼ばれしてたわ。


流行りのドレスを着て、他にお呼ばれしていた子に


「わあ、お揃いだあ!やっぱ、流行りって良いよね!!」


と言ったら顔を顰められた。ドレスの色が被るのは良くない、って、誰かが言った気がする。


ま、被っちゃったものはしょうがないじゃないって思ってわたしはにっこり笑ったわ。


それから、異世界ならではの知識が欲しいに違いないと思って、わたしは誰にでも気さくに声を掛けたんだけど、


「身分が上の者から話しかけられるのを待つのが、常識ですよ」


って言われたわ。


そんなもの知らないわよ、だって、日本には貴族制度とかないもの。


「この世界において男爵令嬢である以上、最低限のマナーは守って頂かなくてはなりません」


男爵夫妻に呼ばれたマナー講師はそんな風に言っていたけれど、わたしには知った事じゃないもの。


お茶会以来、女性の友人は出来なかったからせめて恋愛でもしようかな、って思ったのよ。


学園に通う生徒は、漫画や小説で言うところのモブであっても美男美女揃いなんだもの。


せっかくだから、恋とかしてみたいじゃない?


マナー講師の言う、堅苦しい決まりを守っていたら、いつまで経っても恋なんて出来ないわ。


地味で目立たない女と歩くフェルセン様をはじめて見た時、嗚呼、この人がわたしの運命の相手なんだ、って思ったわ。


だって、見た目も声も、完全にわたしの好みだったもの。


「婚約者のいる殿方に、みだりに近付くものではありません」


うるさいわね、悪役令嬢ものに出て来る正ヒロインと違ってひとりに絞っているのだから良いじゃない。


婚約者―――、サラ、って言ったかしら。


フェルセン様はいつもサラの愚痴を言っていたわ。


地味だし、無愛想だし、無表情。


隣に立つには相応しくないって。


かわいそう、わたしならそんな想いさせないのに、って思った。


フェルセン様の隣に立つのに相応しい女としての努力を惜しまなかったわたしの為に、フェルセン様はサラとの婚約を破棄する事を約束してくれたの。


こうして、わたしはフェルセン様の妻の座を手に入れたの。


たかが婚約破棄で僻地に追放する王様は嫌いだけれど、フェルセン様が居てくれるのならわたしはそれで構わないの。


みんなどんよりした顔をしているけれど、大丈夫よ。


だって、新天地で流行っているビョーキを根絶させる事が出来たら王都に帰ってきてもいいって、王様は言っていたもの。


発熱、嘔吐、腹痛。末期は太鼓腹に口も利けなくなるって言うビョーキ、わたし知ってるもん。


前に何かのテレビ番組で見たわ。


確か、ナントカ虫症って言って、日本では根絶されてるビョーキ。


用水路をコンクリで固めたらいいんだっけ。


だからね、さっそく


「用水路をコンクリで固めたらいいんだよ」


って教えてあげたの!


「コンクリート、とは、なんだ?」


大変、この世界にはまだコンクリートが無いんだー。


うーん、困ったな、わたし、どういう方法で根絶したか、って言うのはテレビ番組で観た知識しか知らないし、コンクリートの作り方なんて全く知らない。


だからね、


「寄生虫を体内から除去する魔法とかはないの?」


って聞いたの。そしたら、


「寄生虫とは、何だ?」


って返ってきた。


わたし、虫とかキモいから詳しい事は知らないんだよねー。


だから、最悪、体内から異物を取り除く魔法は無いのかって聞いたんだよ。


「治癒魔法を行使する前に、傷口を消毒する事は知っている。その際に大まかな汚れを落とす事とは、また別の事だろうか?」


この世界の治癒魔法は、飽くまで自然治癒力を活性化させるものであって、RPGみたいにぽん、と傷を癒す事の出来るものじゃないみたい。


「もしかして、わたし、なんかやっちゃった...??」


わたしが自分の愚かさに気付くのは、まだまだ先の事になる。

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