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古代転生~目が覚めたら原始地球~  作者: Flaria495


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第二話 "冷却期間の始まり"

 人類が産まれるより遥か前。惑星の一面がマグマで覆われている時代。

 原初の生命といわれる微生物すら未だ産まれていない中、あろうことかマグマの中を裸で平泳ぎしている生命がいた。


「ふーんふーんふーんふふふーんふーん、ふんふんふんふーん♪」


 極熱と毒性の大気に響くのは遥か未来で作られる有名な曲の鼻歌。それはあらゆる生命が生まれた母なる海の雄大さを示す曲。

 だがこの場にそれを知るのは歌っている本人だけだ。

 そもそも未来で歌われたこの曲は酸素と水素で出来ている海のことを歌っており、決して岩石と鉱物が溶けたマグマの海のことを歌っているわけではない。

 まあそんなことを指摘する生命は存在しないが。


「あ~、ひま~」


 鼻歌を歌っていた彼は飽きたようでマグマの上で仰向けに寝転がり、顔と体の一部だけを大気に晒しながら分厚い雲に覆われた空を眺める。

 彼が暇つぶしで始めたマグマ遊泳だが、そこまで苦労せずとも遊泳するコツを掴むことができた。

 それはこのマグマの性質のおかげであり、彼が浸かっているマグマは低粘度でほぼ流体であるため、彼の前世の水と同じような感じで泳ぐことができた。

 水と違うのはとてつもなく熱いことと、口に入っても塩辛くない事だろう。


「は~、食べるものがマグマしかないってのも辛いなぁ」


 そう言いながら彼は浸かっているマグマを一掬いして口の中へ放り込んだ。

 鉱物と岩石が溶けたマグマを食べるという暴挙だが、彼からすれば今までに何度も繰り返した食事だ。


 対して美味しくないし栄養もないマグマを彼が食べるようになったのは、空腹を紛らわせるため。

 数千度にも及ぶ大気の中で呼吸し、数百度のマグマの海を泳げるやつを生物と呼んでいいのかは謎だが、一応生物である彼は何かを腹に収めないと空腹に喘いでしまう。

 マグマに栄養なんてものはないので、最終的に餓死するのには変わりない。

だが、空腹の辛さを味わずに死ねるのならば、そっちの方がいいに決まっている。


「にしても最近はあんまり隕石が降ってこないなぁ」


 一人でいる時間が長いからか独り言が多くなった彼は、空を眺めながら呟いた。

 彼の感覚からすると明らかに隕石の降ってくる数が減っており、ここに来たばかりの頃のような巨大隕石はほとんど降ってきていない。

 最近で降ってきたのは小さめの隕石くらいだ。

 まあ、小さめといっても彼からすれば巨大なのだが。


「降ってこない分にはいいんだけど、なんか嫌な予感が……」


 彼からすれば隕石なんて降ってこない方がいいに決まっている。

 なにせ隕石が降ってくると高確率で、身体を引き裂かれながらマグマの中へと押し込まれるからだ。

 それはそれとして今までさんざん降ってきてたくせに、急に数が減ると不安にもなる。

 少しの不安を抱えている彼だが、そんなことを考えても彼にできることは死ぬことだけなので、考えるのを放棄して空をボーっと眺め始めた。

 マグマの海をぷかぷかと浮いて波に身体を任せていた彼だが、不意に何かが頭へと当たった。


「いてっ、なんだ?」


 今までマグマの海を漂っていた彼だったが、自分に何かが当たったのは隕石くらいだ。

 それなのにも拘らず頭に何かが当たったのですぐさま自分に当たった物を確認しようと振り返る。


「……え? これ、え?」


 振り返った先にあったのは手のひらサイズの黒い物体だった。

 一面マグマの鮮烈な赤色ばかりの世界でひときわ輝く黒い物体。

 それは数百万年、或いは数千万年に及ぶマグマオーシャンの時代が終わりかけている証。

 気の遠くなるほどの時を経て冷却していった地球によってマグマが固まった物体。

 間違いなくそれは、今までになかった固体化した岩石だった。


「こ、こ、ここ、こ!? こここここここれ!?」


 余りにも驚きすぎて吃りが酷い彼は、慌てて目の前に浮かんでいる手のひらサイズの黒い物体を手に取る。

 それは斑状組織と呼ばれる特徴が分かりやすく見える岩石だったが、彼が手に取った瞬間に崩れてしまった。


「あぁ……」


 彼は自らの手の中で崩れ落ちてマグマへと姿を変えた岩石を見て悲し気な声を出す。

 今まで彼が見たマグマ以外の物質は空から降ってくる隕石のみ。

 その中で初めてマグマの表面に浮かんでいた物質なのだから、悲しくなるのは致し方ないだろう。

 だが彼は手の中で崩れ落ちた岩石によって気が付いたことがあった。


「……今のは黒っぽかったけど恐らくあれは玄武岩だ。斑状組織が見えたし」


 ここに来る前の彼は日本という国で暮らしていた中、趣味として過去の地球について調べていたことがあった。

 調べたきっかけは有名な動画投稿サイトで見た動画。

 とあるゲームの中で過去へと戻り、過去の生物を展示する博物館を作るという動画。

 それを見てから過去の地球について調べていた彼は理解した。地球による冷却が始まっているということを。


「岩石があった、ということは冷却は始まっている。つまり……もう少しで雨が降る!」


 彼の前世において地球が誕生した46億年前から41億年前の時代を冥王代と呼ぶが、その中で数千万年ほど続いたのが、彼の今いる一面マグマの海であるマグマオーシャン時代。

 そんなマグマオーシャンの時代も終わりがあり、それこそが地球による冷却。

 長い時を経て冷却していった地球によってマグマは固まって岩石となり、あまりの熱量によって液体になれなかった空気中の水蒸気が固まって雨となる。

 そこで降った雨こそが、後の世にまで残る世界最大規模の水たまり。全ての生命が生まれた母なる海である。


「もう少し、もう少し耐えればマグマベッドともおさらばだ!」



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