⑥ エイリアン
「彼等が何者かも気になるけど、最後のアレは、一体何だったんだろう?」
サン・ジェルマンは少しずつ冷静さを取り戻すと、そんな事を言い出した。
「最後のアレって?」
雪子が尋ねる。
「彼等の武器を持った手が、一斉に凍ったんですよ。」
「ああ、ソレね。」
雪子は何か知っているような口ぶりだ。
「ねえ、貴女…。」
彼女は貞子に話しかける。
「あなた、確か藤原貞子と言ったわね?」
「はい。それが…?」
「下鴨神社の近くの藤原家の方よね?」
「…そこに祖母が暮らしてますけど。」
「つまり、そういう事よ。」
「えっ?さっぱり分かりませんよ。一体どういう…?」
サン・ジェルマンはポカン顔だ。
「ああ、ごめんなさい。この時点での貴方は、まだ何も知らないのね。」
「???」
「彼女はかの有名な、京都の雪女の末裔の一族なのよ。」
「つまりそれは…?」
「雪や氷を自在に操るチカラを持った者たちってことよ。」
「ええっ!?」
「違います。私はそんな…確かにお祖母様には、色々な物を凍らせるチカラがあるけど…。」
「貴女…見たところ、17、8歳かしら?その年齢で、まだチカラに対して無自覚なのね?」
「…。」
「それとも貴女のお祖母様が、敢えてチカラについて秘密にしたのかしら?」
「…。」
「まあ、とにかく、貴女はそのチカラを無意識に使ったのよ。恐怖の余りにね?」
「…そう…なのかしら。」
「あの、雪子さん、もうそのくらいにしてあげたら?貞子さん、困ってるよ。」
「あら、ごめんなさい。別に貴女を責め立てるつもりじゃ無かったのよ?」
「それよりあの不気味なヘビ男たちの話を…。」
「あら、貴方、ソレは知ってるでしょ?」
「えっ?」
「ほら、釈迦入滅の時に…。」
「あ、ああ…あの時の!」
「貞子さんは分からないわよね?教えてあげる。」
「ありがとうございます。」
「この世にはね…。」
「…はい。」
「…他所の星から来た住人が居るのよ。」
「はい…ええっ!?」
「うん、いいリアクションね。しかも彼等ヘビ男たち…つまり爬虫人類は、元々はこの星に住んでいた出戻りなの。」
「え、いや、そんな…。」
「まあ、そうなるよね。」
サン・ジェルマンは貞子が気の毒になった。
「無理に理解しなくてもいいんだよ。ただ、心のどこかに、何となくそんな事を留めておけば、それで充分だから。」
「はあ。」
貞子はすっかり当惑していた。
「これは、私も最近知ったことなんだけど…。」
雪子は次に、サン・ジェルマンの方に向き直る。
「どうやら彼等はMIB…つまりメン・イン・ブラックとして、時空を暗躍し、人類にとってオーバーテクノロジーだと思われるモノを、回収して廻っているらしいのよ。」
「…そうなんですね?」
今度はサン・ジェルマンが当惑する番だった。




