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「迷い巫女と青年サン・ジェルマン」(セーラー服と雪女 第16巻)  作者: サナダムシオ


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㊸ ソード・ファイター

 僕は今までずっと、雪子さんや、歳下の貞子さんにまで、守られて来た。

 今度こそは僕の番だ。やってみせるぞ。

 サン・ジェルマンの決意は固かった。


「やはり、いつまでもこんなお遊びをやっていては、埒が明かないな。」

 攻撃の手を止めたセベクが言った。


「そろそろ本気を出そう。決着を着けるぞ、覚悟はいいな?サン・ジェルマン!」

 右の体側で杖を引いて、腰を低く溜めて構えるセベク。


「望むところだ。来い、セベク!」 

 サン・ジェルマンは、剣を上段で構えて言った。


 セベクが空間を薙ぎ払うと同時に、青い光を伴った特大の衝撃波が放たれた。

 しかし、ソレに合わせるように、サン・ジェルマンが剣を振り下ろすと、剣先から巨大な火の玉が現れ、セベクに向かって飛んで行ったのだ。


 辺りには、その日一番の轟音が響き渡り、その場はまるで、太陽が落ちたかのように光輝き、暫くすると、やがて通常の明るさに戻って行った。


 2人はまだそこに立っていたが…やがてサン・ジェルマンが、力尽きたように片膝をついた。 


 参ったな。ヤツはまだ立っている…もう一度今の技を繰り出すチカラは、残ってないぞ。 

 サン・ジェルマンは内心焦っていた。


 しかし、次の瞬間、セベクの下半身が崩れ落ち、残った上半身も杖を持ったまま、仰向けに砂漠の上に倒れてしまった。


 サン・ジェルマンは何とか立ち上がると、ヨロヨロとセベクの元に歩み寄って行った。

 近くまで来てみると、セベクの下半身は炭化して、すっかり黒焦げになっていた。


 しかし驚くべきことに、意識は無いようだったが、上半身だけが無事な彼は、まだ息絶えていなかった。

 サン・ジェルマンは迷わず、懐から例の肉片を出し、セベクの口に入れた。


 するとどうだろう。

 セベクの炭化した下半身が、見る見る通常の骨、肉、皮膚を取り戻し、5分後には、すっかり元通りに回復してしまったのだ。


 それを見て満足したサン・ジェルマンは、セベクの隣に仰向けになって、寝転んだ。


 サン・ジェルマンは疲れていたせいか、そのまま少し寝てしまったようだった。

 目を覚ますと、すっかり元気になったセベクが、サン・ジェルマンの喉元に杖を突きつけていた。


「貴様、何のつもりだ?」

 セベクが静かに尋ねた。

「言っただろう?僕は無益な殺生はしないんだよ。」 


「敵に生き返らせて貰うなど、戦士にとっては屈辱だ!」

「ボクが魔王になってしまったように、キミも今日から不老不死の神として生きるがイイさ…。」


「貴様も同じモノを食べたのだな?」

「そうさ。だからもう、この戦いは無意味だ。永遠に終わらない。」

 サン・ジェルマンはそう言うと、ニッコリ笑って見せた。


 そして彼は、杖を突きつけられたまま、ゆっくりと立ち上がった。

 身体のダメージは、どうやらすっかり抜けているようだった。


 実は、ここに到着する直前に、彼はビートルの中で、こっそり人魚の肉を口にしていたのだ。

 そして、こんなこともあろうかと、肉片の半分は懐に忍ばせていたのだった。


挿絵(By みてみん)


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