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「迷い巫女と青年サン・ジェルマン」(セーラー服と雪女 第16巻)  作者: サナダムシオ


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㊵ ファミリー

『ミケーネ、無事だったのか!しかし、何故ここに?』

 と猫王。

『父上こそ、ここで何をしているのですか!?』

 とミケーネ。


 ミケーネに、父上と呼ばれた猫王は、話し合いの輪の中から出て来ると、猫の仮面を上方にスライドさせて、中から本体を露わにした。

 やっぱり義体だったのね。雪子は納得した。


 すると、それまで一連の流れを見守っていた由理子が、前に進み出て来た。

 そして彼女は、そのまま躊躇う事無く、身長2m級の動物集団の、輪の中心に向かって入って行ったのだ。


 雪子が呆気に取られ見ていると、彼女は何やら動物集団の面々と、意志の疎通を図っているようだった。

 しばらくそんな様子が続いた後、由理子は満足したように、やがて雪子たちの方に戻って来た。


「ええっと、かい摘んで状況を説明しますね?」

 由理子が、不思議そうにしている雪子とサン・ジェルマンに、解説してくれた。


「まず、あの2人の猫族は親子で、王様と王子です。」

「…やっぱり。」

「2人の間には、ちょっとした確執があったのですが、話し合いの結果、誤解がとけたらしく、一応の解決を得ました。」

「…それは良かった。」


「次に動物集団との話し合いの件ですが…。」

「…うんうん。」

「…そもそも、ここのポータルを、最初に偶然見つけたのは、爬虫類族でした。」

「…ほほう。」


「ですから、彼等が長い間、後からやって来た猫族、犬族、鳥族を仕切っていたんだそうです。」

「…なるほど。」


「そんな中、現地で見つけた、文明が未発達の人類たちに、色々な事を教え込んで、便利に使ったり、自分たちの世界に連れ帰ったりしたんだそうです。」

「…そりゃ、ひどいな。」


「もちろん私はそれを聞いて、そんな奴隷扱いなんて、酷いわ!って文句言ってやりましたけどね。」

「…ありがとう。」


「…で、そんな感じに既得権益を得ていた彼等でしたが、例の一件の時に、雪子さんたちにキャップストーンを取られてしまったので、人員・物資の大量輸送が不可能になりました。」

「…それは私の狙い通り。」


「すっかり商売上がったりになった彼等は、今後の事について、ここでこうして話し合いの場を設けていたのです。」

「…ふ~ん。」


「そんな時、突然、雪子さんとサン・ジェルマンさんが、目の前に現れました。彼等はそれを見て、とても驚いたそうです。」

「…どうして?」


「何故なら、彼等にとってソレは、一種の啓示のようなモノだから、だそうなんです。」

「…一体、どういう事?」

「猫、犬、爬虫類、鳥、のどの種族にとっても、サン・ジェルマンさんは、大恩人…ううん、むしろ畏怖すべき、神のような存在なんだそうです。」

「…えっ、そうなの?」


「ですから彼等は、自分たちの身の振り方をどうするかは、サンジェルマンの意向を尊重する、と言っています。」


「…サン・ジェルマン、貴方、一体ナニやったの?」

 雪子が思わず尋ねる。

「いや、僕は、まだ何も…。」

 彼自身も訳が分からないようだった。


「つまり、未来の異世界で何かするのね?いや、彼等にとっては過去なのか?」

 雪子の思考もこんがらがって来た。


挿絵(By みてみん)

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