㊴ キャッチ・アップ
そんな訳で、一人と一匹の凸凹コンビは、猫族の宇宙船兼タイムマシンに相乗りして、一路、紀元前1万年のスフィンクス上空を目指して出発したのだった。
一方その頃…雪子と中世のサン・ジェルマンは、シルバーのビートルで、ピラミッド上空に到着していた。
眼下に見えるスフィンクスの前で、猫族、犬族、鳥族、爬虫類族の居残り組の面々が、何やら話し合いをしているようだった。
雪子は、彼等のすぐ脇にビートルを垂直降下させて着陸した。
彼等は皆、話すのをやめて、ドアを開けて出て来た2人に注目した。
雪子は近づいて行きながら、品定めするように、彼等一人一人を順番に睨みつける。
誰も彼もが、近くで見ると意外なほど大きかった。
皆、身長2mはありそうだ。
ただ、猫族と犬族は怪しかった。
顔の部分が明らかに仮面なのだ。
恐らく、鳥族、爬虫類族の身体のサイズをスタンダードとする、義体を使っているのだろう。
雪子はそう推察した。
「皆さん、お揃いで、何の相談中かしら?」
試しに雪子が話しかけてみるが、皆無言だった。
一応、借り物の翻訳機能付きネックレスをして来たが、活用できそうも無かった。
まあ、もっとも異世界の他種族に、ソレが使えるとも思えないのだが…。
このままコチラのペースで、穏やかにコトを進められそうに思えた。
だがその内に、彼等の間にジワジワと動揺が走るのが見て取れた。
彼等がコチラを見ながら、何やら囁き合っている。
よく観察すると、彼等は雪子を見ていない。
彼等の視線を集めているのは、後ろに居るサン・ジェルマンの方だった。
雪子が耳を澄ますと、「サンジェルマン、サンジェルマン…」と、確かに彼等が口々に言っているのが聞こえたのだ。
雪子が思わず振り返ると、当のサン・ジェルマンは、ぼんやりハテナ顔だった。いや、むしろちょっと顔色が悪いような…?
雪子がその状況に当惑していると…。
突如として上空が光輝き、次にその光が収まると、その場にまるで絵に描いたような、空飛ぶ円盤が出現した。
円盤は徐々に降下し、やがて雪子たちの目の前に着陸した。
その一連の流れを、呆気に取られて見ていた雪子だったが、下部ハッチが開いて、中から出て来た人物を見て更に驚いた。
「由理子さん!ナニ?それ。どうしてここへ?」
「あっ、雪子さん、こんにちは。奇遇ですね〜。コッチのサン・ジェルマンさんは、中世の方かな?」
セリフの割りに、大して驚きの見えない由理子。
更にその後ろから、宇宙服を着た、二足歩行の白い猫が出て来た。
すると先程から「サンジェルマン…」の囁き声が止まらなかった目の前の動物集団の中から、「ニャー!」と言う叫び声が上がった。
宇宙服を着た白猫も、ソレに対して「ニャー!」と答えたのだった。




