㊳ イッツ・ソー・ヘビー
『親父…つまり猫王が、王子の私の事を疎ましく思い、意図的に時空漂流させたのかどうかは、分からない。』
「…そうね。」
『だから今一度再会して、本当の事を訊きたいのだ。』
「それは…なかなかヘビーな話ね?」
『…ヘビー?重さは関係ないぞ。』
「…ああ、ごめんなさい。コレは映画バック・トゥ・ザ・フューチャーの中に出て来る、有名な言いまわしなの。」
『…?』
丁度そのタイミングで、鷹志が宇宙船のメンテナンスを終えて、部屋に入って来た。
「お疲れ様。どうだった?」
すかさず由理子がイスを勧めて、お茶を淹れる。
「いやあ、調べてみれば、単純な事だったよ。」
『…単純な事?』(ニャー?)
「ところでこのネコ、ホントに言葉が分かるみたいだね?」
(ニャー!)
「舐めんなよって言ってるわよ。」
「…何だソレ?懐かしいな。ああ、ごめん、ごめん。話を元に戻すと、時空転移装置の中の、ごく小さな回路が、明らかに粗悪なモノと、取り替えられていたんだよ。」
(ニャー、ニャー。)
「問題は、ソレを誰がやったかだ、だって。」
「そうだね。でも流石にソレは分からないなあ。」
「そうだ、由理子さん。」
「なあに、鷹志さん?」
「修理ついでに、その腕輪デバイスとリンクして、操作可能にしておいたよ。」
「あら、ありがとう。至れり尽くせりなところは、流石ね。ところでミケーネ君。」
『なんだ?ユリコ。』(ニャーニャー)
「さっきから話題になっている、その時空の交差点とは、一体いつのどこの事なのかしら?」
『ああ、それなら、確か神の子が生まれる1万年前の…現地人の言葉でエジプトの…。』
「…ひょっとしてピラミッド?」
『そう、それ、それ。』(ニャーニャーニャー)
「あっ」
そこでナニか思い出した弓子。
「どうかしたの?」
予期していたような顔で、由理子が尋ねる。
「そう言えば、雪子さん言ってました。そこにサン・ジェルマンさんと行くって。」
「なるほど。やはりこの件は、下鴨神社の事件の続きらしいわね。
『何だ、ソレは?』」
「爬虫類族が、私たちの時空のポータルを、勝手に使用して迷惑を被った事件よ。雪子さんとサン・ジェルマンと、地元の巫女さんが対応したの。」
『…そんな事があったなんて。』
「そのポータルの内の一つは、エジプトのスフィンクスの、前足の間にあったらしいの。そしてそれを、猫族、犬族、鳥族、爬虫類族が便利に使っていたって聞いたわ。」
『そうか!』
「ねえ、一緒に行ってみない?貴方のお父様もきっとそこに居るわよ。」
『よし、分かった。行こう!』
「鷹志さんはどうする?」
「僕はコッチに残るよ。テレビ塔とこの研究所が、僕らの最後の砦だから。」
「そうね。今までの経験から、いつ、どこから攻められても大丈夫なように、守りは堅めとかなきゃだしね?確かに帰る場所の確保は大切だわ。」




