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「迷い巫女と青年サン・ジェルマン」(セーラー服と雪女 第16巻)  作者: サナダムシオ


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㊱ レスキュー

「あらためて謝るわ。ごめんなさい。」

 由理子はミケーネに素直に言った。


『まあ、仕方ないさ。ワザとじゃないんだろうし…。』

 ミケーネも、他人のミスをしつこく責めるような了見の狭い男では無かった。


「お詫びと言ってはなんだけど、ここで奥の手を使わせてもらうわね。」

『何だ?』

「それはね…。」


 その時、波間にプカプカ浮いていた宇宙船の上空が、突然暗くになった。

 ミケーネが、窓から上を見ると…4つの車輪が付いたナニかが、少しずつ降下して、コチラへ迫って来ていた。


 見ていると、その車軸が左右に伸び、次に先端のタイヤ部分が徐々に内側下に閉じて行き、まるでクレーンゲームのごとく、四つのツメで宇宙船を掴むように動いた。

 そしてソレは実際に円盤をガッチリ掴んだ。


 そのナニかのドアが開き、ニンゲンのオスが、下に向かって顔を覗かせた。

「由理子さん、迎えに来ました!大丈夫ですか?」

 そのオスは大声を出して呼びかけて来た。


 由理子は宇宙船のハッチを開けて、見上げながらその呼びかけに答えた。

「ありがとう。ワザワザごめんね、鷹志さん。」


『鷹志さん?』

「彼は私の大事なパートナー。助けに来てくれたのよ。さあ、一緒に行きましょう。」

 そう言って彼女がミケーネに手を伸ばす。


 ミケーネが渋々その手を取ると、彼女は彼を抱き上げた。

 そしてまず、鷹志に彼を手渡した。

「このネコがそうなの?」 

 鷹志が彼女に尋ねる。

「そうよ。くれぐれも丁重に扱ってね。」


「了解!」

 鷹志はそう言ってミケーネを受け取ると、慎重に後部座席に座らせた。


 そして次に由理子を両腕で引っ張り上げて、自分は右の助手席に移動した。

「赤いビートルで来てくれたのね?」

「キミがきっと操縦したがると思ってね。」

「流石、私の事良く分かってる〜!」


『いつの間に助けを呼んだんだ?』

 後ろからミケーネが尋ねる。


「実はこの腕のデバイスで、ずっと音声は記録してたの。そしてその記録と一緒に、救難信号を、ついさっきボタンを押して送ったのよ。」


『なかなかやるではないか、ユリコ。』

「あ、やっと名前を呼んでくれたわね?」

「まあ、他の下等ハダカ猿族とは…区別してやってもイイぞ。」


「ありがとう。因みにコチラの鷹志君は、私の100倍賢いわよ。」

『ほう。』


「何かニャーニャー言ってて、良く分からないんだけど?」

 横から鷹志が口を挟んだ。

「今、貴方の事を褒めてたのよ。」


「それはどうも。じゃあ、取り敢えず1989年の真田研究所に行こうか。」

「あれ?テレビ塔じゃないの?」


「こんなヤバいモノ抱えたまま、久屋大通のど真ん中には行けないでしょ?」

 鷹志がミケーネの宇宙船を指差して言った。

「ああ、それもそうね。」


 そんな訳で、由理子が操縦する赤いビートルは、一路、真田研究所を目指して、時空をジャンプしたのだった。


挿絵(By みてみん)



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