表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「迷い巫女と青年サン・ジェルマン」(セーラー服と雪女 第16巻)  作者: サナダムシオ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/46

㉞ スペースシップ

『コレが私の船だ。どうだ、驚いたか。』

 ミケーネが振り返って言った。

 そこにあったのは、大きなタライを向き合わせて、二つ重ねたような…或いは巨大なソロバンの珠のような物体だった。


 中央の厚みは、大人の男性二人分くらい。

 直径は、大型乗用車くらいだろうか?

 何故か認めたくないが、それはまるで空飛ぶ円盤そのものだった。


「何よ、これ?」

 由理子は正直、驚いた。

 常にファンタジックな思考ができる彼女でも、実際ミケーネの話については、半信半疑だったのである。


『凄いだろう?とても貴様らニンゲンには作れまい。』

 ミケーネは、口をアングリ開けてびっくりしている、由理子のリアクションに気を良くしたらしく、こんなことまで言い出した。

『よし。特別に中に入ってもいいぞ。もっと驚くがいい。』


「うん。入る、入る。」

 こうした場合、彼女は警戒心が無く、ノリが良いのである。

 生体認証が仕込まれているのだろうか?ミケーネが近づくと、その船の下の丸い部分が一部外側に開いて、そこから中に入れたのだった。


 室内は、操縦席兼居住スペースと、休憩室兼寝室に、透明な仕切りで分かれていた。

「へえ、なかなか素敵じゃない?お金持ちの高級ヨットみたい。」

『飲料や食料も液体になって、ビンで常備されているぞ。』

「ほほう。」


『ここに緊急避難ボックスもある。』

 彼がそう言うので目をやると、そこには60cm四方ほどの、キューブ型の箱があった。

『中の食料はわずかだが、外の様子はうかがえる。隙あらばすぐ出ればいい。短期間なら、この中で生きながらえる事も可能だ。』

「小さいけど、貴方にはぴったりなシェルターね?」


 そして彼女は当然の疑問を口にした。

「ねえ、コレに乗って故郷に帰ればいいじゃない?」

『実は困っているのは、その事なのだ。どうも、時空転移装置の調子が良くない。』


「ああ、それは確かに私の専門外だわ。でも私のパートナーの鷹志ならきっと直せるし、サン・ジェルマンならもっと専門家よ。」

『サン・ジェルマンだと?』

「そうよ。彼は私の雇い主で、私の先生でもあるわ。」


『確か昔、親父からその名を聞いたことがあるぞ…何か大きな恩があるとか?』

「へえ、やっぱり凄いな。あの人、異世界にまで顔がきくんだ。」


 そんな雑談をしながら、由理子は何気なく、操作パネルに手をついて、お尻から後ろに体重をかけた。

 すると船内のどこか奥の方から、低い音が聞こえ始めた。


「何このヒューン、ヒューンて音?」

『あっ、キサマ、起動ボタンを押したな!?』

「何よ?安全装置くらい付けときなさいよ!」

『それも壊れちゃったんだよ!』


 パニックになるネコとニンゲン。

 次の瞬間、空飛ぶ円盤はその原っぱから消えてしまったのだった。


挿絵(By みてみん)




 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ