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「迷い巫女と青年サン・ジェルマン」(セーラー服と雪女 第16巻)  作者: サナダムシオ


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33/46

㉝ フレンド

「ところで、何かお困りのようね?」 

『何故、キサマに分かる?』

「だって顔にそう書いてあるもの。それに、レディに向かってキサマなんて失礼よ。私は真田由理子。ユリコって呼んでイイわよ?」


『私の悩みは、キサマらハダカ猿族にとっては高尚過ぎる。相談するだけ無駄だ。』

「あら、決めつけるのは良くないわよ。私だって最近は、鷹志さんの影響で、時空間移動のこととか、ヘブライ語とか、ラテン語とか、物理学とか、数学とか…結構勉強してるんだから。」


『時空間移動の話が分かるとは意外だ。それに、ヘブライ語は神の言魂だぞ。』

「あら、そうなの?まあ、確かに昔の聖書はそれで書かれていたらしいけど…。」


『じゃあ、訊くが…ここは、いつの、どこだ?』

「今は…西暦1989年3月29日の午前9時30分。ここは地球の日本国内にある、愛知県名古屋市東区よ。緯度や経度も必要かしら?」


 由理子は、借り物の黒い腕時計型デバイスでデータを確認しながら、ワザとバカ丁寧に言ってやった。


『西暦って何だ?』

「キリスト教で言う、神の子イエス・キリストが生まれた日を起点にした、1年を365日とする年号よ。」


『何てことだ。我々猫族の神歴と同じではないか。神は、自分自身の姿をモデルにして、我々猫族を作られたのだろう?』


「…私は、神の姿はニンゲンにソックリって聞いたけど。」

『ニンゲンとは何だ?』

「貴方が失礼にも、ハダカ猿族と呼んでいる私たちの事よ。ところで貴方のお名前は?」


『私は猫族の王子、ミケーネ・エジプシャンだ。どうだ、驚いたか?キサマ、頭が高いぞ、控えおろう。』

「何それ?カワイイ。水戸黄門のマネ?」

 由理子はクスクス笑い、ミケーネは呆れた。


『まったく。コレだから、下等生物は困る。』

「私が下等かどうかは、最後まで相談してから決めなさいよね?」


『…分かった。じゃあ、コッチへ来い。驚くなよ?』

 彼はそう言うと、彼女を近くの空き地に案内した。

 そこは何らかのオトナの事情で、工事が途中で放棄されてしまい、雑草が伸び放題に生い茂った空き地だった。


 ミケーネは囲ってあるトラ柵を潜り抜け、由理子は跨いでそこに侵入した。

「ねえ、ここ、勝手に入ったら怒られるわよ…ニンゲンは。」

『しっ!静かに。隠れてついて来い。』


 仕方なく彼女は、身をかがめて背の高い草の中を歩いて行く。

 やがて草だらけの中に、そこだけ少し地面の見える場所に出た。

 そこはちょうど空き地の中央あたりで、周囲から完全に死角になっている所だった。


挿絵(By みてみん)

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