㉙ デシジョン
「そして、その決断次第で、貴方にやって欲しいことがあるの。」
「…何だかイヤな予感がするんだけど…?」
「そんなハン・ソロみたいなセリフは言わないで。事態を考えれば、私たちのやるべきことは明白よね?」
「まさか…ん、ハン・ソロって誰?」
「今、私たち人類は、この地球の覇権を掴んで、地上に繁栄しているわ。でも紀元前1万年の私たちは虐げられている。そして彼等がはびこっているのよ。」
「だから…?」
「彼等から人類を解放するのよ。それが歴史から与えられた私たちの役割。むしろこれは、私たちにしかできないことなのよ。」
「そう…なのかな。」
「私は、やるわ。貴方はどうするの?」
「…どうしよう。」
「私に惚れた弱みで参加することはないわ。あくまでも、貴方の自由意志で決めてね?」
「…う〜ん、分かった。協力するよ。ただ出来るだけ、無駄な殺生はしたくないな。」
「気持ちは分かるわ。自分の身の安全を守るため、止むを得ない場合を除いて、極力殺生は避けるつもりよ?」
「うん。それならイイよ。それで、まず何をしなくちゃならないのかな?」
「ベッドの下から、例の箱を出して。」
「えっ?」
「早く。」
「うん。」
サン・ジェルマンは箱を出して来た。
「じゃあ、フタを開けて。」
彼は箱を開けて中身を見せた。
一見、大きめの木片のように見えるアレが入っていた。
「その表面を、オリハルコンの剣で薄く削って。」
彼は彼女に言われるままにそれを削った。
「じゃあ、ソレを食べて貰おうかしら。」
「えっ!?」
「食べれば貴方もめでたく不老不死よ。ちょっとした怪我なら、超速再生するから、ほぼ不死身ね。」
「そうだけど…。」
「どうする?危険な火中の栗を拾うには、必要なものかと思うのだけれど?」
「う〜ん…。」
「因みに私は、17歳の時に、それと同じ成分のモノを注射したわ。」
「…人類の解放には協力します。…でもコレは…保留でイイですか?」
「…分かった。でもいつでも食べられるように、その欠片は持ち歩いてね?」
「…うん。」
「じゃあ早速だけど、出かける準備をして。」
「ええっ?今、寝るところだったんだけど…。」
「しょうがないわね。それなら、朝になったら出かけましょう。それまで一緒に居てあげるわ。」
そう言うと雪子は、サン・ジェルマンのベッドに潜り込んだ。
「何ボンヤリしてるの?貴方も早くいらっしゃい。」
掛け布団を上げて誘う赤い服の彼女。
よく見ると、いつの間にか、首にリボンのようなチョーカーを着けている。
「えっ、ああ、はい。」
慌てて隣に潜り込んだサン・ジェルマン。
背中にピッタリ寄り添う雪子からイイ匂いがする。
「ねえ。したいことがあるのなら、してもイイのよ?ホントのクリスマスプレゼントは、ア・タ・シ。」
耳元で、甘い吐息とともに囁く彼女の声に、理性の限界を迎えるサン・ジェルマンであった。




