㉘ プレゼント
「…で、プレゼントって?」
オトナでも、いざくれると言われれば、気になるものである。
「ふふ〜ん。コレよ!」
彼女が得意気な笑顔とともに白い袋から出したのは、一振りの西洋剣だった。
「抜いてみて。」
言われるままに、サン・ジェルマンが剣を鞘から抜いてみる。
その刀身は不思議な色をしていた。
敢えて言えば、透明な金色だ。
「オリハルコンよ。」
雪子が言う。
「正確には疑似オリハルコンだけど。」
「…それって?」
「例のピラミッドの、キャップストーンを奪った時、実は少〜し削っておいたのよ。」
「ええっ?」
「で、その組成を分析して、複製を作ったってわけ。」
「へえ〜。」
「…貴方がね。」
「ええっ!?」
「正確には、未来の貴方、だけどね?」
「…。」
「いやあ、貴方、ホントに天才だわ。世界広しと言えども、錬金術でオリハルコンを複製するなんて芸当、誰にも真似できないわよ?」
「未来の自分からのプレゼントって訳かあ…。」
「そうよ。私が貴方に会わなくちゃいけない事情を話したら、快く協力してくれて、乗り物まで貸してくれたのよ…まるでこうなる事を知っていたようにね?」
「そうなんだ…。」
「多分、彼は知っていたんだわ。それにしても、貴方、よほど私に惚れているのね?」
「…!」
イイ大人のサン・ジェルマンが顔を赤くした。
「さあ、冗談はコレぐらいにして、本題に入るわね?」
「ええっ!?」
「何よ?」
「…何でもないよ。」
「今日来た理由は、あの蛇人間…爬虫類族の件よ。」
「ああ、あの…。」
「あの紀元前1万年の大金字塔。アレは…並行宇宙からの訪問者たちを交通整理して、管理するためのものだったのよ。」
「それは一体どういう…?」
「私たちニンゲンが暮らすこの時間軸以外に、この地球の覇権を取る者が、爬虫類族だったり、猫族だったり、犬族だったり、鳥族だったりする異世界が、有るってことなのよ。」
「…ホントに?」
「貴方も見たでしょ?実際、爬虫類族は確認済みよ。」
「…確かに。」
「私、あの後もう一度、あそこに行って確かめたのよ。居たわよ。猫族も、犬族も、鳥族も。大事なキャップストーンを失って、現場は大混乱だったわ。」
「…。」
「何故か、離れているはずの並行宇宙が、あの場所で交差しているのよ。まるで特異点ね。」
「…。」
「そして不味いことに、どの種族も当時の人類より、文明が進んでいて、ニンゲンたちをハダカの猿、と呼んで奴隷のようにこき使っているわ。その上、中には、自分たちの世界に拉致して行く者も居るのよ。許せないわよねえ?」
「…うん。それで…どうするつもりなの?」
「貴方は、どうしたらいいと思う?」
「えっ?」
「貴方の覚悟を聞きたいのよ。そのために、私はここに来たのよ。」




