㉖ リターン
1796年2月6日15時。
三人は貞子の祖母宅の門内に、無事帰還した。
例によって、最初に貞子が。次にその座標を追いかけて、サン・ジェルマンと雪子が、揃ってやって来た。
「おばあ様、ただいま。とっても強い式神を一柱いただいて参りました。」と貞子。
「貞子、お疲れ様。お二人とも今回もお手数かけました。」
皆を労う節子。
「…はい。今回は確かに疲れました。」
サン・ジェルマンはつい本音を吐いてしまった。
「こら、こら。でも確かに大変だったわね。」
気遣う雪子である。
「それでは早速コレを神棚に上げて、拝礼いたしましょう。」
節子の鶴の一声で、皆一緒に仲良く柏手を打った。
もうサン・ジェルマンですら、自らがクリスチャンであることも気にしていなかった。
皆が今回のミッションの仲間であった。
「さしずめ私たちは、ロールプレイングゲームで言えば、勇者と魔女と巫女のパーティーって感じだったわね。」
雪子が言う。
「何ですか、それ?」とサン・ジェルマン。
「…またそのうちに教えてあげるわ。」
「さあ、名残り惜しいところだけど、もうお暇しましょうか?いたずらに長居すれば、この時空に影響が出て、また4次元のヤツらに睨まれるわ。」
雪子が敢えて快活に言った。
「そうですね。じゃあそろそろ…。」
とサン・ジェルマン。
「あのう、本当に色々お世話になりました…また逢えますか?」
ウルウルした瞳で、貞子が彼の袖をつまんで言う。
「いつかまた逢えるかもね。何しろ、僕らは同じ時間軸上に居るんだから。」
サン・ジェルマンは、敢えて平静を装って答える。
実は彼も別れが寂しかった。
例えそれが、吊り橋効果の影響だとしても、である。
「そのペンダント、貴女にあげるわ。困った時はそれを握り締めて。圧力センサーで私に知らせが入るから。そしたらいつでも、貴女の元に飛んで来るわ…でも誰かさんみたいに、すぐ呼ばないでよ?ホントに困った時だけね。」と雪子。
「雪子さんから知らせを貰ったら、僕もきっと一緒に行くよ。」とサン・ジェルマン。
「きっとですよ?」
「ああ、約束する。」
「それでは節子さん、お世話になりました。」と雪子。
「こちらこそ。何度もウチの貞子を助けていただいて、本当に感謝しかありません。」
貞子の祖母も名残り惜しそうだった。
やがて雪子は、黒いブレスレットの力を使って。
サン・ジェルマンは、小型旅行カバンで。
それぞれの時空へ帰って行ったのだった。
雪子の収穫は、雪村のルーツ…つまりは自分のルーツを知ることが出来たということ。
気がかりなことは、蛇人間たちの暗躍だが…。
そして、サン・ジェルマンの収穫は…雪子以外の女性への、淡い恋心の経験だったのかもしれない。
以上でこの章は完結です。
次回作にご期待下さい(>ω<)




