表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「迷い巫女と青年サン・ジェルマン」(セーラー服と雪女 第16巻)  作者: サナダムシオ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/46

⑰ レフト・アイ

「はあ、はあ…。」

 サン・ジェルマンは肩で息をしていた。

 別に運動不足という訳では無かった。

 何故なら、彼には今でも毎日家庭教師が付き、幼い頃から今日までずっと、剣術や槍術などの鍛錬を積んできていたのだった。


 しかし、それでもこの螺旋階段は長い。

 そう思いながら上を見ると、貞子が快調に階段を駆けて行く。

 さすがは17歳の少女だ。元気なことこの上ない。

 こりゃあ、負けてられないな。

 彼も今一度、自らに活を入れた。


 やがて二人は、どうにかその巨像の左目の中までたどり着いた。

 松明の灯かりを反射する役目の、銅製の巨大な凹面鏡の真ん中に、何やらソフトボール程のサイズの、球状のモノがはまっている。

「コレを取ればいいんですよね?」

 貞子が尋ねる。

「たぶん…。」

 そう言われても、サン・ジェルマンには自信が無い。


「…取りますね。」 

 彼女が手を伸ばして、その球を掴んで取り出した。

 その瞬間、突然の巨大な轟音とともに、背後で何かが崩れる音がした。

 何と、今二人が登って来た螺旋階段が、全て跡形も無く崩れ去ってしまったのだった。


「…そんな。」

 サン・ジェルマンは当惑した。

 これだけの規模の建造物だ。古代ギリシア人が、何の仕掛けもしないはずはない、とは思っていたが、コレは予想外だった。


「私に考えがあります。」

 そこで貞子が、巨像の左目の穴から、顔を外に出した。

 そして彼女が下に向かって両手を伸ばし、何やら集中し始めた。

「…貞子さん?」

 サン・ジェルマンには、何が起ころうとしているのか分からなかった。


 すると下の方から、何やらキラキラ光るモノが段々伸びて来たのだ。

「何だ、アレは?」

 サン・ジェルマンは、まだ分からなかった。

 しかし、ソレが近づくに従って、何だか分かって来たのだった。


 それは氷だった。

 貞子のチカラによって、海水が変化した氷の螺旋回廊が、巨像の左足から胴体を回って顔の左目の穴まで伸びて来たのだ。

「さあ、行きましょう。」

 貞子が率先して前に出る。

「…えっ、まさか?」

 びびるサン・ジェルマン。

 

 彼女はひらりと身を躍らせると、そのウォータースライダーならぬ、氷の螺旋滑り台を滑り降りて行く。

 サン・ジェルマンも覚悟を決めて後に続いた。

 二人とも、思いのほか快適に地上までたどり着くと、そこで待っていた雪子と合流した。


「さすがは貞子さん、工夫したわね。」と雪子。

「今回は近くに水が大量にあったので、助かりました。」と貞子。

「どうやら貴女のチカラ、京子さんより数段上みたいね。」

「誰です、それ?」

「貴女の子孫よ。私のちょっとした知り合いなの。」

「…へえ。」


「あれっ?雪子さん、見張りの二人は?」とサン・ジェルマン。

「ああ、彼等なら、巨像の右足の中に閉じ込めておいたわ。」

「わあ、ホントだ。」


二人組の見張りだった男たちが、巨像の左足から出た瓦礫で、右足の入り口に、ギュウギュウ詰めにされている。

「私は無駄な殺生はしないのよ。」

「それは良かったです。」


「さあ、次の現場を目指しましょう。」と雪子。

「はい!」

 意気揚々と返事をした貞子は、元気に巨像の股の間をくぐって消えて行ったのだった。


挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ