⑭ フューチャー
気がつくと貞子は祖母宅の門の内側に立っていた。
なんと、この門もゲートとして機能していた訳だ。
貞子は今さらながらに感心した。
時刻は…午前中だろうか?
彼女はとりあえず、オリハルコンの四角錐を埋めるために、急いで庭の方に向かう。
すると、縁側に二人の人物が座って居るのが見えて来た。
一人は見覚えのある緑の着物の初老の女性。もう一人は薄桃色の振袖を着た少女だった。
「ただいま。おばあ様…?」
彼女は初老の女性に声を掛けたが、すぐに得も言われぬ違和感を感じた。
その女性も怪訝な顔でこちらを見た。
すると、すぐ後ろから、雪子とサン・ジェルマンが追いついて来た。
「その方は節子さんではないわ。」
雪子が言う。
「ここは1848年の12月9日の朝10時の庭。その方は未来の貴女よ。」
「ええっ!?」
すると、その初老の女性が口を開いた。
「ああ、貴女はあの時の私なのね?」
「貴女は…私なの?ということは、おばあ様は…?」
「昨年お亡くなりになったわ。」
「…そう。」
「そうだ。この子は私の孫なのよ。貴女もご挨拶なさい。」
そう言って初老の貞子が、振袖の少女を促す。
「藤原与利子です。15歳になります。」
「はじめまして。私は藤原貞子です。17歳よ。」
「…凄い。おばあ様と同じ名前なのね?」
「私はね…昔のおばあ様なのよ?」
「…?」与利子は理解が追い付かないようだ。
「今は分からなくてもいいわ。いつか分かる日が来るから。」
「はじめまして。私は真田雪子。時間旅行者よ。」
「同じく、サン・ジェルマンです。どうぞよろしく。」
畳み掛けるように急いで二人も挨拶した。
「???」与利子はさらに混乱して見えた。
「まあ、そうなるわよねえ?」と雪子。
「…あの、貴女が私なら、もう私たちが来た目的は、お分かりかと思うんですけど…。」
若い貞子がおそるおそる尋ねる。
「そうね。ソレを庭に埋めなくてはね?」
初老の貞子には、やはり分かっていた。
「ちょっと待ってて。与利子、裏から鍬を持ってらっしゃい。」
「はーい。」
それまで隣に座って居た彼女は、はねるように立ち上がり、小走りで去って行った。
若い貞子、雪子、サン・ジェルマンが、庭の築山に移動して待っていると、やがて与利子が鍬を持ってきた。
それを受け取ると、サン・ジェルマンが皆の代表で穴を掘った。
できた穴に、若い貞子がオリハルコンを入れて、上から土をかぶせる作業をした。
「まるで、このために用意したみたいな築山でしょう?」
一部始終を縁側に座って見ていた初老の貞子が言った。
「雪子さん、サンジェルマンさん、若い私に協力してくれてありがとう。この後も私のことをよろしくお願いしますね?」
「お任せください。」と胸を張るサン・ジェルマン。
「あの…。」何か言いかける雪子。
「そうそう、忘れるところだったわ。雪子さんにもう一つ頼みたいことが…。」
思い出したように初老の貞子が言った。




