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「迷い巫女と青年サン・ジェルマン」(セーラー服と雪女 第16巻)  作者: サナダムシオ


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⑬ デザート

 さっきまで居たところは、2月上旬の京都だった。

 だから当然寒かった。


 しかし次の瞬間、信じられないくらい暑くなった。

 しかもなんだか空気が乾燥している。

 そして何より眩しい。


 エジプトのゲートは、スフィンクスの前足の間に有ったのだった。

 貞子は何だか眩暈がした。

 しかし、ぼうっとしているヒマは無かった。

 何故なら、長槍を持った蛇女たちが、周りにどんどん集まって来たからだった。


 貞子は直ちに槍を持った手を凍らせようとしたが、できなかった。

 空気中の水分が圧倒的に足りないのだ。

 彼女は途方に暮れたが…。


「お待たせ!」

 元気な声とともに、雪子とサン・ジェルマンが、貞子と蛇女たちの間に割って入るように出現した。

 と同時に、雪子が念動力で10名ばかりの蛇女たちを吹っ飛ばす。


 次に雪子は、黒いブレスレットをサン・ジェルマンにパスした。

 サン・ジェルマンは、そのブレスレットで光学迷彩を展開し姿を隠した。

 残りの蛇女たちがそれに気を取られている隙に、雪子が貞子の腰に腕を回す。


「行くわよ!」

 そう言うと同時に、貞子を連れて飛び上がり、雪子はそのまま三段跳びで、後にクフ王のピラミッドと呼ばれることになる、金字塔の頂上までたどり着いてしまった。


 そこにはキャップストーンが確かにあった。

 それはまるで透明な黄金のような不思議な色をしていた。

「やはりオリハルコンだったわね。」

 雪子は呟いた。そして貞子に促す。

「さあ、早く!」


 言われて貞子がオリハルコンに手を掛ける。

 その透明な四角錐の物体は、底面が30cm四方程の大きさで、思いのほか軽く、簡単に彼女の腕の中に納まってしまった。

 すると、それまで光り輝いていたピラミッドが、火が消えるようにただの黄土色に変化してしまった。


「まるで電源が落ちたみたいね。」

 また雪子が呟いた。

「どうやらピラミッドは、蛇女たちの発電所もしくは変電所だったようね。」

「そうなんですか?コレ、持って帰っても大丈夫なんでしょうか?」

 貞子が心配そうに言う。

「たぶん、彼女たちのこれ以上の活動を阻止することも、この使命の目的の一部なんでしょうね。」


「さあ、長居は無用よ。行きましょう。」

 雪子はまた貞子を抱えて、三段跳びでスフィンクスの前足の間まで戻った。

「お先にどうぞ!」

 彼女はオリハルコンを抱いた貞子を送り出す。

 貞子はスフィンクスの胸に向かって走ると、フッと消えてしまった。


「サン・ジェルマン、ブレスレットをこっちへ!」

 雪子の一言で、彼は光学迷彩を解除し、彼女にブレスレットを投げて寄越した。


 雪子が映像を出し、貞子の行方を追跡した。

「あら?座標は確かに藤原家だけど、時間が?…まあ、いいわ。このままを入力して!」

 言われるままにサン・ジェルマンは、ポータブルタイムマシンを起動した。


挿絵(By みてみん)

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