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「迷い巫女と青年サン・ジェルマン」(セーラー服と雪女 第16巻)  作者: サナダムシオ


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⑪ ミッション

「どうかしたの?何て書いてあるの?」

 残念ながら、まだ筆文字解析のスキルは未搭載の、雪子が貞子に尋ねる。


「…コレには、例の鳥居の件について書かれています。」

 貞子が震える声で答える。

「一度でもアレを使って、他の世界に行った者には、定められた使命があると。」


「その通りです。」

 節子が話の後を引き取る。

「貞子さん、貴女は、蛇男たちを逃がすまいと必死だったとは言え、あの❝時の門❞をくぐってしまいました。」

「…はい。」

「ですから貴女は、これから何度もあの門をくぐり、そこに示された七つの使命を果たさなければなりません。それが貴女の定めとなりました。」


「…巻物の内容は確かに拝見しましたが…それは、かなりの難題のように感じます。おばあ様の御助力はいただけないのでしょうか?」


「残念ながら、同族からの助けは禁止されています。ですから、この私は手伝えません。」

 節子は厳しい表情でそう言った。


「しかし、旅の途中で出会った者に、助力を求めることは、禁止されておりません。」

 貞子はすがる視線で、サン・ジェルマンを見た。


 サン・ジェルマンは雪子を見た。

 雪子は…両の掌を上に挙げて、あ〜あ、という欧米風のジェスチャーをしていた。

「イイわよ。どうせ暇なんだから。」


「それで…何をどうすればいいのかしら?」

 雪子が尋ねる。

「まず一つ目の使命は…。」

「…ああ、ちょっと待って。録画するから。」


 雪子はそう言って、セーラー服の左の長袖をたくし上げると、黒光りするブレスレットのようなものを出した。

 そして何やらそれを操作すると、貞子を促した。

「いいわよ。続きをどうぞ。」


「…一つ目は、伴天連宗の祖が生まれる一万年前の金字塔から、その頂を持ち帰ること。」

 と、貞子。

「つまり、紀元前10000年のピラミッドから、キャップストーンを取って来いと?」

 余りの難題に呆れる雪子。


「二つ目の使命は、その頂を我が家の庭に埋めること。」

「…たぶん、何か結界めいたモノを作るためね。」


「三つ目は、伴天連宗の祖が生まれる二百五十年前の太陽神の巨像から、その左眼を持ち帰ること。」

「…それは、伝説のロードス島のアレのことだわ。」


「四つ目は、その左眼を持って、伴天連宗の祖が生まれてから六百年後の厩戸皇子に逢い、それを渡すこと。」

「…聖徳太子って実在したのね。」


「五つ目は、その見返りに彼から❝未来記❞を受け取り、我が家に持ち帰ること。」

「…今後の事態に、前持って備えるためね。」


「六つ目は、安倍晴明の式神を一柱もらってくること。」

「…安倍晴明も架空の人物じゃないんだ。」


「七つ目は、その式神を我が家の神棚に祭ること。」

「…これも結界作りの一環ね。」


「尚、この使命を始める時は、午前零時に下賀茂神社の鳥居の真ん中をくぐれば、その後の事は、この順番に必要な場所に出られる、と書いて有ります。祖母宅に戻ったら、またその都度、鳥居まで行かなくてはなりません。」


「よく分かったわ。善は急げよ。早速今夜から始めましょう。」


挿絵(By みてみん)

 

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