8.ローマ人の物語
ローマ人の物語
塩野七生氏著
大長編のご紹介です。これがなろうの連載ならニ千話いくんじゃないだろうか。
こちらは古代ローマ帝国の興りから衰退までの史実に基づいたお話です(調べるとその期間は約2200年間だった。長くなるのも納得です。これを書こうと思って続けたのが凄い)。
全部は読んでないんですよね、キリストの勝利くらいから読んでないはず……。
ここからローマが衰退していくんだなあ、と思うと読まなくなってしまった(また読もうかな)。
そんなローマ人の物語、特にドキドキするのは何と言ってもハンニバルの所ですよね!
レクター博士じゃないですよ、ローマの敵国カルタゴの武将の名前です。こっちが本物のハンニバル(でも羊たちの沈黙も怖かったけど面白かったなあ)。
高校の世界史の先生が、ちょうどローマ帝国の授業中にちらっとハンニバルに触れて「教科書では3行で終わりますが、すごく面白いので興味がある人はいろいろ読んでみてください。後年、敵同士だったローマの武将スキピオと再会したりもするんですよ!」とちょっと熱く語ってて『分かる!!先生、それ、分かるよ!!』と心の中で叫んだのは私です。
ローマがじわじわとたった一人の武将に追い詰められていく様は本当にドキドキしたし、それを迎え討つスキピオが出てきた時はまさに「勇者!英雄!」と高揚しました。時が経ち、島で二人が再会するのもいいですよね。
そんなローマ人の物語を読んで思うのは、史実を元にするってズルいなあ、という事です。これは司馬さんの作品や漫画のキングダムでも強く思う。
このズルいは、非難ではないです。このズルいは嫉妬と羨望と憧れと興奮と、何より“好き”が詰まったやつ。
なんか凄いカッコいい人に「あれはズルいわあ」っていうやつです。
史実ってね、当たり前だけど実際に起こった事なんですよ。だから経緯と結果の説得力が全然違う。でも同時に終わっている事なので結果は変えられない。そこには時に、どうしようもない切なさが伴ったりします。
その説得力と切なさを確かな力量で物語として紡ぐという凄さ。
ダメだ、上手くまとめられなかった。もうズルいとしか言いようがないですね。とにかくズルいんです。
塩野七生さんの本はローマ人以外もちょこちょこ読んでいてエッセイも読んでます。知識と考察が深くて才媛ってこういう人の事言うんだなあ、としみじみする。
ローマに行く機会があるならその前に是非、ローマ人の物語を読んでおいて欲しい(全部じゃなくていいいんです)。なんかね、現地で感動します。古代ローマ時代の遺跡あるから。
ハードカバーで見ると圧巻で読むのがしんどそうに感じるので、文庫で探してみてもいいかも。うすーく区切ってくれていて手に取りやすいです。因みに私はハンニバルと並んで好きなカエサルの所だけを文庫で持ってます。