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5話 初戦闘

ソロン

アテナとパーティを組む初心者冒険者。知識担当。


アテナ

ソロンとパーティを組む初心者冒険者。武力担当


ルナ

ダンジョン攻略者。

白髪に赤い目をしている女性(推定20代)

魔物は一切言葉を発さない。

いや、声を発さないと言った方が正しいだろうか?


パクパクと息苦しそうに口を動かし、その口の奥に生えている細かな牙を見せつけるように構えてきた。

ぎょろぎょろとした魚特有の平たい目がアテナさんを見据えている。



「やああ!!」



アテナさんは持ってきてきたナイフで魔物の腹部を刺した。

やった!と僕は思わずガッツポーズをした。



「ここの魔物はそんなに甘くないよ」



ルナさんの言葉を聞いてからもう一度アテナさんの方を見ると、アテナさんも距離をとって構えなおしている。



「ふっざけんな!なんで刃が入ってかないんだよ!?」


「魚人は鱗で肌が覆われているからね。刃こぼれしたただのナイフじゃ鱗は貫通しない」


「くそっ!じゃあどうしろって言うんだよ!」


「魚人の弱点は簡単だよ?鱗のある箇所がだめ。なら、鱗のない場所はどこだろう?ってね」


「わかった!アテナさん!あの魚人は目玉が弱点だ!目にナイフが刺されば脳にも到達し、致命傷になる!!」


「よし!わかったやってみる!」



再び距離をつめるアテナさん

俊敏な動きで目を狙い、斬りつけようとするが魔物もまた俊敏に動きそれを躱した。


アテナさんが攻め、魚人がそれを避ける攻防が続き、アテナさんの顔に疲れが見え始める。



「はぁ…はぁ……どうすれば当たるんだ!」


「魚人はバカだからね。単純な戦闘よりもフェイントをかけてやった方が簡単に倒せるんだけど……

アテナもそういうフェイントとか苦手そうだもんね……」


「っ……なら!」



僕は足元に落ちていた普通の石を拾い、魚人に向かって投げた。

魚人のギョロリとした目が僕を向く。それだけで足が震え上がった。



「アテナさん!僕が隙をつくります!だからその隙に!」


「おう、わかった!」



こちらに走ってくる魚人に怯えながらも石を投げる

石は鱗に跳ね返されてびくともしない。


だけどこの石なら__



「やあ!」



その石は魚人の眉間にヒットした。

当たったところからボロボロと崩れ、砂のように砂塵が舞う。

脆い石をわざと使ったのだ!


砂が目に入り、魚人の動きが止まった!



「今だ!アテナさん!」


「おりゃあああ!」



魚人の目にナイフが突き刺さる。

突き刺さった場所から青い血液が吹き出し、魚人は崩れるように倒れた。


致命傷を受けて倒れてもまだ、ピクピクと動いていて気持ち悪い



「はぁ…はぁ……やった……

魔物を倒したぞ!!」


「やったーー!!すごいよアテナさん!初めてのダンジョンで魔物を倒しちゃうなんて!!」


「あっははは!もっと褒めていいぞ!それにお前もよくやったよソロン!

さすがアタシの手下だな!」


「あはは……まあ、アテナさんの手下として役に立てたならよかった!」



やったー!と祝杯ムード漂う中、ルナさんが近づいてきて、僕たちの肩に両手を回した。



「よく頑張ったね。初心者さんたち。

でも、今日はここまでにしておきな」


「え?でも魔物が倒せたのならもうちょっと先にいけるだろ!」


「ここら辺の探索だけでももうちょっとやっていきたいと思ってるんですけど……」


「やめといた方がいい。ギフトを持ったものがダンジョンに戻ってきたことによって、魔物達が刺激されてる。

ほら、あそこ見て」



少し奥からゾロゾロとさっきと同じような魚人の魔物達が出現していた。

中にはさっき装備をガチガチに固めていた冒険者たちの亡骸と思われる箇所を持っている魔物もいる。


赤い血に濡れた歯をそのままに、魚人達は表情ひとつ動かさずパクパクと口を閉じたり開いたりするだけだ。



「ヒィ!さ、さっきのやつがあんなにたくさん!!」


「流石にあの数はアタシでも無理だ!一旦逃げるぞ!」


「まあまあ落ち着きなって。君たちも近いうちにこのダンジョンに潜るんでしょ?

なら、ダンジョン攻略者の戦いってやつはいい勉強になると思うよ」



見ていきな。と言い捨て、ルナさんは剣を抜き、魚人の群れに突っ込んでいった。



「ルナさん!!」


「やばいって!あんな数勝てるわけ__!」



一刀両断


この言葉はあの人のために作られたのではないかと思うほど鮮やかな剣筋だった。

硬い鱗があるにも関わらず、魚人達の首が次々と刎ねられていく。



「魚人の鱗は鳥の羽のように根元と羽先がある。羽先から滑らすように刃を通すと、驚くほど簡単に魚人は切れる。

まあ鱗の間に刃を通すだけの技量とその性質を知らなければできないんだけどね」



くるくると踊るように剣が振り回されるとその周辺の魚人達の首が飛んだ。

ワルツのようなステップを踏むと、恐れをなした魚人達がたじろぎ、距離をとった。



「あれ?君たち、私のギフトを取り戻しにきたんじゃないの?もっと奥に来いって?

やだよ。それは明日のお楽しみ。こっちは準備しにきたの。君たちも明日を楽しみに待っていて」



魚人達は魚人の亡骸を抱え、奥に引き返していった。

なんで亡骸を持っていったんだろう?まさか自分たちの仲間の死体を食べるつもりなんだろうか?



「行っちゃったね。どう?私結構強いでしょ?」


「結構どころじゃねえってまじすげーよ!ルナ!

いやルナさん!アタシのこと弟子にしてくれないか!?」


「いやアテナさん何言ってるんですか!?」


「だって、これから冒険者やるなら強いやつに色々教えてもらったほうがいいだろ?

お前は知識はあるけどへなちょこだし」


「くっ……否定できない……」


「なあルナさん頼むよ!アタシのこと、弟子にしてくれ!」


「う〜ん……私に弟子入りしようなんて人初めてだからなんとも言えないだけど………じゃあ明日一緒にこの奥潜ろうよ。

君たちもこのダンジョンのこともっと知りたいでしょ?教えてあげるし、守ってあげる。私も一人旅じゃ味気ないと思っていたところだったし、それならいいよ」


「やった!おいソロン!強い仲間ができたぞ!」


「アテナさんは仲間作りが上手いよね……でもダンジョン攻略者と一緒にダンジョンに行けるなんて滅多にない機会だ。

僕ももちろん賛成だよ!」


「よし!じゃあ明日は朝日が登るタイミングでここに集合ってことでいいのか?」


「そうしよう。君たちはランプとちゃんとしたナイフくらいはそれぞれ持ってくるんだよ?

あと軽い食料も持ってくるとなお良し」


「う〜ん、金がちょっと心配だけど……わかった!考えてみる!」


「ダンジョンの魔素に体も馴染んだ頃合いだし、私は一度ダンジョンから出て近くの街に滞在する予定。

ヤドリギの宿屋ってところに泊まってるから、聞きたいことがあればいつでも来るといい」


「おう!ありがとうな!」


「じゃあ一度ここでさよならだね。君たちはもう少し探索していくの?」


「いや、やめておきます……さっきみたいな群れがまたきたらちょっと対処しきれないので………」


「それがいい判断だね。それじゃあ、またね」


筆が乗ったので連日投稿します。

明日は分かりません。

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