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2話 冒険者

・ソロン

商人の息子から貧乏人に転落した少年

冒険者を目指してる。


・アテナ

ホームレスの少女。弟がいる。

ソロンと共に冒険者を目指す。

早速冒険者になるために、街にある小さなギルドへ向かった僕たち。

道案内は僕がした。アテナは金払いのいいバイト先の場所はよく知っていたけど、それ以外には興味ないみたいだった。


「ここがギルドだよ。冒険者達はここで申請する。ダンジョン攻略だけじゃなくて、地域の困りごととかも依頼として張り出されていることがあるから、それをこなしていくだけでお金が手に入るよ」


「へえ!もっと早く知りたかったな!なあ、冒険者になるにはどうすればいいんだ?」


「ギルドで申請……あそこのカウンターにいるお姉さんに聞けば教えてくれると思うよ」


「よし!じゃあお前、話してこい!そしてアタシの冒険者の申請もやれ!」


「えぇ……多分本人じゃなきゃできないと思うけど……わかった。話は僕が聞くよ」



ギルドの中は酒とタバコの匂いで満ちてきた。

ギラついた目をしていて顔に深い傷跡を残した男が何人もいる。

隻腕で義手をつけている男もいる。


こ、怖い……!!



「ほら、いくぞ!こんな奴らにビビりやがって……それでもアタシの手下か!

アタシの手下なら堂々としてろ!」



アテナに手を引かれ、ギルドの中を進む。

それぞれが酒やお互いの雑談に夢中でこっちを気にする者は少ない。



「なああんた!冒険者になりたいんだけど、どうすればいいの!?」


「あら、可愛い子達がきたわね〜!冒険者志望?」


「はい!冒険者になるための申請をしにきました!」


「はいはい、わかったわ。じゃあ申請を始めちゃいましょうか」



思ったよりも優しい女の人でよかった。

きっと慣れているのだろう。ささっと申請用の用紙と水晶のついた棒を取り出した。



「この紙に名前と年齢。自分の容姿を書いて。

髪の色とか瞳の色とか……どこにほくろがあるのかとかでもいいわよ」


「容姿ですか……?申請に必要な情報なんですか?」


「ダンジョン内で死んじゃう冒険者は大体魔物に食べられちゃうんだけど、食べられる前に死体を持ち出せることもたまにあるのよ。

その死体が誰なのかわからないと不便でしょう?」



流石に足一本とか指一つじゃわからないことの方が多いんだけど。と女の人は平然と言う。

……やっぱり、それが日常になってしまうほどに危険な仕事なんだ。冒険者というのは。



「アタシは書いたぞ!これでおしまいか?」


「ああ、僕も書きます!ちょっと待ってください!

〜〜〜〜っと、書き終わりました!」


「お前文字書くの早いな!?」


「本の虫って言われるくらい本が好きで、自分でも色々考察の本とか書いてたので、これくらいの速度にもなりますよ」


「フゥン。本に虫なんてつくのか?」


「はい。紙の部分を虫が食べちゃうんです。湿気があると発生しやすいと言われているので、定期的に外で干すのがいいと言われていますね」


「お前本当に物知りだな〜!いい手下持ったぜ!」



ぽんぽんと頭を撫でられる。

僕のことを弟か何かのように思っているのだろうか?


まだ出会って一日も経っていないというのに。



「うふふっ!仲がいいのね!いいわぁ〜あなたみたいな子達って大好きなの。

青春って感じよねぇ」


「えっと……これで冒険者の登録は終わりですか?」


「まだよ。この水晶のついた杖を持って。これで魔力量を測るの」


「魔力量?ああ。物を浮かせたり筋力や体力とは違う強力な力の源となる力ですよね」


「アタシだってちょっとしたナイフくらいなら浮かせたりすることできるんだぜ!きっととんでもない魔力量だ!」



嬉々として水晶のついた杖を引っ掴むアテナ。

杖の水晶が淡く……いや炎のように強く光り出す。



「おお〜!これはどうだ!?どうなんだよ!?」


「平均よりも魔力量は多いみたいね。すごいわ」


「よっしゃ!」


「じゃあそっちのええっと……ソロン君。持ってみて」


「はい!」



僕も杖を持って構えてみる。

すると光が淡く光出し……バチバチと強く点滅するようにして消えた。



「………うぇ?」



思わず変な声が出た。



「あら、ごめんなさいねぇ。たまにあるのよそういう反応。

でも多分魔力は平均くらいだと思うわ。そろそろ杖の替え時かしら?」


「あ、はい………そうなんですか……」



なんかすごいことを言われそう!と期待したが、たまにあることらしい。

ガックリと肩を落とす僕にアテナはバシバシと背中を叩く。



「そうがっかりするなって!アタシよりも魔力量が少ないからって落ち込むなよ〜!

大丈夫だ!アタシがちゃあんと守ってやるから!」


「アテナさん……最初から思ってたんですが、女の子に守られる男っていうのはちょっと矜持に傷が入るっていうか……」


「キョウジってなんだ?」


「ああいえ……ナンデモナイデス……」



もう説明する気力も残っていない。

実際アテナさんの方が強いのだ。守られるのは僕の方……

……なんだけど、僕は男でアテナさんは女の子なんだから、僕もアテナさんのことしっかり守ってあげるんだ!


__できる気がしないけど



「魔力測定も終わったし、書類も書いた。

これで冒険者カードの発行ができるわ。ちょっと待っててね。

___はい。これが冒険者カード。同じものをギルドで保管してるから紛失した時はちゃんと申請しに来てね」


肌身離さず持ってるのよ?と告げられる。

そこには表に僕の名前と魔力量が、裏面には僕の容姿がしっかり書き記されている。



「それは身分証明書にもなるからね。他の街に行きたくなってもそれがあればどこにだって行けちゃうのよ!大事にしてちょうだいね」


「はい!ありがとうございました!」


「ありがとなねーちゃん!これで荒稼ぎしてやるぜ!」


「ああ、それともひとつ。冒険者初心者はいきなりダンジョンの奥まで行こうとしないほうが良いわよ。

ダンジョンに入って大体50m。1ヶ月くらいはその辺りまでを探索するといいわ。それより奥は魔物が発生するからね。

壁とかよーく観察してると、たまに宝石が生成されてることもあるから悪い話じゃないはずよ」


「そんな浅いとこにも宝石なんてあるのか!!ありがとなねーちゃん!チップはないけど、情報めっちゃ嬉しい!」


「ダンジョンには異質な魔力が満ちているから、最初の数十メートルで体を慣らすんですよね」


「よく知ってるわね。そういうこと。

無茶しちゃダメよ。慎重にいってらっしゃい」



▶︎ 僕らは冒険者カードを手にいれ、冒険者になった!


週2〜3ペースで投稿していきます。

ソロンは眼鏡っ子。

アテナはそばかすっこです。

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