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17話 オーク

ソロン

初心者冒険者。ソルとルナの弟子。


アテナ

初心者冒険者。ソルとルナの弟子。


ソル

噴煙の火山ダンジョン攻略者。一人称俺様

「よっしゃ来たぜダンジョン!!」


「だ、ダンジョンだーーー!」


「よし!その意気だ!」



次の日

僕らは本格的に噴煙の火山を攻めるため、その入り口まで来ていた。



「準備はいいな?今日行く場所は昨日みたいなのんびりほのぼの空気じゃねえからな?

もっとぢりぢり、体を焦がされるような魔力の強い場所だ。気合い入れろ」


「「はい!/おう!」」



ダンジョンの中に入ると、再び体を襲うゾワゾワとした魔力の感覚。

ふわふわと足がつかないような。それでいて臓腑を直接撫でられているような気持ちの早る空間に入った。


そして暑い。

噴煙と呼ばれる所以がわかるくらい中は煙たく、熱を帯びていた。



「せっかく買ったのに使えないのは盲点だったよな……あの防具……」


「そうだなぁ。あの防具じゃあここは暑すぎる。でもアテナは身軽だからその素早さをいかせればきっとオークくらい楽勝だぜ!」


「本当か!?アタシ頑張るよ!」


「その意気だ。オークは腹丸出しのデカっ腹だが、あれは脂肪だ。トドメを刺すなら脂肪の少ない胸がいい。

足元がガラ空きだからアテナの素早さを生かしてまず足を崩すんだ。それから倒れたところをグサっと一発かましてやれ」


「わかった!」


「ソロンはそうだな……お前は頭脳戦とか得意そうだから、その辺に落ちてる石やナイフ、ランタンを駆使してあいつの注意をひけ。

怒ったあいつらは攻撃が単調になる。単調な攻撃ならお前だってかわせるはずだ」


「はい!隙を作って確実に、ですね!」



昨日たむろしていた場所を通り過ぎると、道がいくつかに分かれている。

ソルさんは迷いなく右の道へ進むとグニャグニャ上下左右に曲がったような道に出た。


「こういうところも戦闘ポイントだ。

あいつらは頭が悪いし動きも遅いし体もでかい!不安定な場所でこそ俺様達人間の方がアドバンテージを持つ!

お前らが小石に足をつまづいたり勢いつきすぎて壁に激突するようなバカじゃなければ確実に相手に隙を作れる。

覚えとけ。バカほど周りを見ちゃいねえ。俺様達は周りを利用して優位に追い込むんだ」


「そうですね!オークがどんな相手かまだ見てないから分からないけど、話に聞く限り、オークの巨体じゃこの場所は戦いづらそうだ。

こういう場所に誘き出して戦うのも戦法かぁ」


「おい!ちょっと待て!なんかアタシ達以外の足音がする!」



そう言われて耳を澄ませると、ドシン、ドシンと馬よりも重い足音がこちらに近づいてきているのがわかる。

間違いない。オークだ。



「戦闘準備だ。早速お前らの実力見せてくれ!

俺様がいるんだ。絶対にお前らに怪我はさせねえ。派手にかましてこい!」


「うん!」


「おう!」



姿を表したのは体長2mはあるだろう巨体。足は短く、まあるく突き出した大きなお腹を支えるのでやっとの姿。

肌は緑色で人間のものとは思えない。局部だけにあしらわれた布以外は丸裸で手には太い棍棒を握りしめている。


僕たちを見つけると、体が揺れるような大声で吠えた。



「まずは足!」


「ちょっ、アテナさん!」



アテナさんはその姿に怖じけることもなく、全速力で向かっていく。

その姿に危うさを感じ、僕も後を追う!


戦法なんて何も考えていない!

どうしよう……どうしよう!!


__"覚えとけ。バカほど周りを見ちゃいねえ。俺様達は周りを利用して優位に追い込むんだ"



「周りを利用して、優位に追い込む!」



足元に転がっていた小石を手に取り、オークの顔面に向かって投げる。

それからオークの真ん前でランタンを持ち、煽るように手を振った。



「こっちだ!オーク!!僕を見ろ!!」


「グォオオオオオオッ!」



吠えたオークを棍棒を真上に振り上げ、そして振り下ろす。

その動作は目で追えるほどゆっくりで、タイミングがわかりやすかった。


ドシンッ!


オークの棍棒は地面に当たり、地面に大きなヒビを入れた。

だけど、オークは未だ僕を睨みつけており、アテナさんなど目に入っていない!



「やああ!」



スライディングのままオークの足に思いっきり切れ込みを入れたアテナさん。

オークは驚いたような顔でその場に後ろから倒れこんだ。


足や手をバタバタとさせ、起きあがろうとするがなかなかうまくいかない。

あの巨大な腹のせいでなかなか起き上がれないようだ。



「チャンスだ!いけ!ソロン!」


「やあああっ!」



オークの腹に飛び乗り、そのまま脂肪の浅い場所を目掛けてナイフを突き立てた。

それでもオークが叫び、僕を追撃しようと棍棒を振り上げたのが見えた。

だが僕はそれよりもトドメを!と続けて首にナイフを突き立てる。


叫ぶことができなくなったオークは二、三回大きな痙攣を見せたかと思うとそのまま沈黙。

動かなくなった。



「はぁ……はぁ……はぁ……や、やった……?」


「やったあああ!」



アテナさんが僕に飛びつき、抱きついたまま頭をガシガシと撫でてくる。



「わわっ!?あ、アテナさん!?」


「すごいぞソロン!アタシが隙を作ったとはいえ、お前がやっつけたんだ!

ビリーの友達に怪我を負わせたような魔物をアタシ達が倒したんだ!!」


「あ、アテナさん!近い!近いですって!一旦離してっ」



喜びが落ち着いてから、アテナさんはようやく僕を離してくれた。

それでも興奮収まらぬ様子で顔は赤く、鼻息も荒い。



「よーくやったな!お前ら!だがソロン、最後お前、オークが追撃しようとしてるとこ見えてただろ?

俺様が防いでやらなかったら頭かち割れてたからな?」


「はい、すみません……」


「そんなこたぁどうでもいいんだよぉ!ほとんどお前らだけで倒したじゃねえか!!

すげーよお前ら!新人にしては見どころがある!さすが俺様の弟子なだけあるな!」


これからお前達の伝説の始まりだぁ!なんて僕ら以上に喜ぶソルさんの顔を見て、ようやく実感が湧いてきた。

そっか……僕、オークを倒せたんだ。魚人よりも強いオークを、倒して……アテナさんを守れた………っ!



「や、やりました!!」


「おう!よくやった!そのまま先に進むぞ!」


「はい!」



喜びでニヤケが止まらない!感動で心が震える。武者奮いが止まらない!

次もきっと、僕がアテナさんを守るんだ!と意気込んで、僕らは先へ進んだ。


こんにちは、ななみんです。

最近百均で音が広がるスマホ置きを買いました。確かにちょっと違うかな……?って感じの商品でした。

ところで本編ではいよいよソロンとアテナがダンジョンの奥へ向かいます。これからも楽しみにしていてください。

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