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14話 入れ違い

ソロン

冒険者になった少年。ルナとソルの関係を知ることとなる。


アテナ

冒険者になった少女。ルナとソルの関係を知ることととなる。


ルナ

ダンジョン攻略者。ソルに嫌われていると思っている。


ソル

ダンジョン攻略者。ルナのことを嫌っているわけじゃない。

店主が持ってきた防具は銀色の鎧の上部だった。

それはどう見ても女性用のフォルムで、細部まで拘られた良い品だというのがわかる。



「すげぇ!ちょーかっこいいじゃん!なあこれいくらだ!?」


「本当は金貨2枚は取るところなんだが……嬢ちゃん相手だ。銀貨6枚に負けてやるよ。その代わり、ちゃんと顔見せにこいよ。

この防具は伝説級の女冒険者が使ってたっていう掘り出し物の防具なんだらな」


「伝説級の女冒険者!?なんだそれ、なんかカッケーな!どんなやつだったんだ!?」


「今でも騎士団の団長をやっている女騎士なんだが、昔は最難関と言われていた奈落の谷っていうダンジョンを攻略した人なんだ。

なんでも、雷を司り天候までも変えちまうとか」


「すげーーー!!そんな人の防具買えるのか!払う払う!銀貨6枚はちょっと高いけど払う!」



本当は予算銀貨3枚までと決めてきたんだけど、そんな良い品が手に入るのなら予算オーバーしてもいいだろうと僕は口を出さなかった。



「お前ら、絶対死ぬんじゃねえぞ。お前らみたいな若い奴らが死んでいくのを見てるのは辛えんだ。

また元気な顔、見してくれや」


「おう!おっちゃん強面だけどいいやつだな!次もなんか欲しくなったらここにくる!

絶対無事に帰ってくるから待っててくれよな!」



▶︎こうして僕らは防具を手に入れた!



_________

ーその後 とある客視点ー



「なあ、この辺でそばかす顔の若い女と丸眼鏡をかけた金髪の若い男の二人組を探してんだが……おっちゃん知らねえか?」


「あ"あ?なんだお前か。

知ってるぞ。つい昨日、うちで買い物して行った客だ。なんか用でもあるのか?」


「ここで買い物ってことは、目的地はそう遠くねえってことだな………よし、わかった。

ありがとなおっちゃん」


「おい!武器屋の店主は情報屋じゃねえんだ。情報料としてなんか買ってけ」


「え〜!まじかよ……んじゃあ、ヘルメットを二つ頼む。その2人用のな」



________



「ついに明日だな!噴煙の火山に挑むのは!」


「その前に、ソルって人を探さないといけないね

ルナさんからの手紙がさっき届いて、どうやらソルって人に連絡はしてくれたみたいだけど……」


「赤髪に褐色肌の男……って特徴も書いてあったな。態度がデカくて、一人称は俺様。

武器は大剣を背中に背負ってるって書いてあるから、見れば一発で分かりそうだね」


「場所の検討とかついてるのか?」


「噴煙の火山のダンジョン付近の酒場にいる可能性が高いって書いてあった。ほんとルナさんってソルって人のことよく知ってるんだね」


「書いてあった話によれば、そのソルってやつもダンジョン攻略者らしいじゃねえか!頼りになる人紹介してくれてよかったな」


「うん」



準備が整った僕達は、ついに明日、初の噴煙の火山のダンジョンに挑むことを決意した。

今日は決起会として、美味しいと有名なパン屋のパンを食べた。



「ダンジョンは最初、浅い場所で体を慣らしてから次の日に本格的に挑むのがセオリーだったな!」


「うん。だから明日はそんな力まずに浅い場所でどんな場所なのか事前調査しにいくつもりで行こう」



僕たちは歩いて噴煙の火山の近くにある酒場を目指していた。

まずはそのソルって人に会わなくては。



「あった!あそこだな」


「うぅ……僕ああいうお店入ったことないから緊張するなぁ……」


「アタシに任せとけ!冒険者やる前はああいう店で接待してたんだ!慣れたもんだぜ」



そういえばアテナさんは僕と出会う前は酒場や高級なレストランなんかの給仕係をやっていたらしい。

内容的には給仕というよりアウトな接待に近いものもあったが、アテナさんはやらざるを得なかったんだろう。



酒場の中に入ると、アルコールの匂いが咽せ返るほどに充満していた。

楽しそうにお酒を飲む人もいれば、やけ酒のようにお酒を流し込み愚痴をぶつぶつと呟いているような人もいる。


話をしている人のどの人も声がでかく、耳が変になりそうだった。



「なあここの給仕やってる人ってあんたか?」


「ん?なんだお前ら、まだガキじゃねえか。

こんな店来んな。追い出すぞ」


「違う違う!酒飲みに来たんじゃねえよ!人探しでここによく来るっつーソルって人?を探してるんだ」



すると給仕の人が声を出す前に、楽しそうにお酒を飲んでいたおじさん達が声をかけてきた。



「おうお前ら、ソルの知り合いか?ソルならなんか探してるやつがいるっつーって昨日からいねーぞ」


「ソルのやつ、だぁいすきなルナちゃんからの久方ぶりの手紙でテンション上がってたよなぁ」


「ルナのやつが頼み事してくるなんて珍しい!ようやくあいつも俺様の実力を認めたのか!っつってな!

そりゃあ満面の笑みで出かけて行ったぜ!」



こっちが話してもいないのに、彼らは面白がって話だす。

大好きなルナちゃん?ってことは、ソルさんはルナさんのことを嫌ってるわけじゃないのか……?



「……そういうわけで今日も戻ってくるか分からない。残念だったな」


「ちぇっ!入れ違いかよ。運が悪いなぁ」


「あの、ルナさんと知り合いなんですけど、ルナさんはソルって方はルナさんのこと嫌ってるんだって言ってたんです。

もしかして違うんですか?」



ソルさんの知り合いらしい酒飲み3人組のおじさん達にそう尋ねると、彼らは一斉に大爆笑した。



「ほぉらな!ソルのやつも面倒なやつだからなぁ〜!」


「あいつ、照れ隠しでいつも出会い頭に暴言かましてるからいつまで経ってもルナちゃんに意識されねえのよ!」


「ルナちゃんも白い化け物なんて異名ついちまってなぁ。根はいい子なんだが、なんせ白髪の若い女なんてこの辺じゃ見かけねえしな」


「本当は、ルナちゃんのこと大好きで、ルナちゃんのことを守れるくらい強い男になってから告るつもりなんだけどよ。

ダンジョン攻略もルナちゃんの方が先だったし、色々なことであいつ負けてんのよ。それで意地になっちまってんだろうな」



どうやら真相は全くの逆で、ソルさんはルナさんのことが好きだが、好きなあまり照れ隠しで暴言を言ってしまったり、

ルナさんのことを守れるくらい強くなってからじゃないと手を出せないというジレンマから、行動が空回ってしまっているらしい。



「なんだそれ。ソルってやつ馬鹿だな〜」


「ちょっとアテナさん!これからお世話になる方なんだからそんな事言っちゃ悪いよ」


「でもさ、やっぱ好きなやつには優しくしないとダメだって!アタシはビリーのこともお前のことも好きだから優しくしてやってるだろ?」


「す、好き!?……なんですか?僕のことも?」


「おう!お前と話してて退屈しねえし、いろんなことも教えてくれる。アタシの手下としては十分な働きだ!

だから結構気に入ってるぜ!」


「っ……」



こう、ストレートに好きと言われると僕もなんだか変に意識してしまう。

アテナさんはホームレスで育ったからか素行は悪いし、色々と雑だ。


でも初めて見た時からその琥珀色の瞳を綺麗だと思っている。

その輝きは今でも変わらないどころか、一緒に過ごして行くたびにどんどん増しているような気がする。



「お?この反応………おいおいおじさん達も照れちゃうじゃねえかよ!」


「なんだ坊主!お前もそういう感じか?おじさん応援しちゃうぜ?」


「頑張れよ!何を、とは言わねえからさ!」


「ちょっ……僕はそういうのじゃないです!!」



必死で違う!と否定してもおじさんたちは揶揄うばかりで全く聞いてくれない。

ふんっと無視してやれば一層盛り上がっているようでお酒ばかりが進んでいた。



「よくわかんねえけど、ここにソルってやつがいないなら用はないな。

一回戻るか」


「そうだね。もしかしたらソルさんも僕らのこと探してるのかもしれないし」



▶︎僕らは一度家(路上)に戻ることにした。


こんにちは、ななみんです。

ルナとソルのややこしい関係についてちょっと触れました!

すれ違いってもどかしいですよね。それにおや、ソロンの様子が……?みたいな感じになってきてます!

旅行からは帰ってきました。やっぱお家は最高だね。

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