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13話 報告

ソロン

元商人の息子。冒険者になった少年。

アテナのことを信頼している。


アテナ

家無しの孤児。冒険者になった少女。

ソロンのことを信頼している。


ビリー

家無しの孤児。アテナの弟。

アテナと血が繋がってるかどうかは不明。


ダニエル

ソロンの父親。職を失い、妻にも逃げられ傷心中。

少しづつ回復している。

「__ってなことになったから、アタシ達は近いうち、噴煙の火山ってダンジョンに行こうと思う」


「姉ちゃん、本当に大丈夫なの?あそこマジで危険だよ?」


「アタシ達だって群青の洞窟で何体も魔物倒したんだ。結構強くなったんだよ。だから大丈夫だって!」


「うん。僕も魚人なら倒せるくらいに強くなったから、アテナさんを守る……とまではいかなくても助太刀くらいはできると思うよ」


「本当か?お前どっちかっていうと家で本読んでそうなタイプの人間だろ?姉ちゃんの助太刀務まるのかよ?」


「が、頑張るよ」



家(路上)に帰ってきて、僕たちは近いうちに噴煙の火山のダンジョンに挑むことを宣言した。



「別に群青の洞窟のダンジョンの儲けだけでも俺達かなり稼いでるだろ?

わざわざ別のダンジョンに行かなくてもいいんじゃね?」


「ルナさん経由でソルって人に同行を頼むことにもなってるし、僕たちもなんだか冒険者業楽しくなってきちゃってさ」


「やっぱ血は争えないっていうか?アタシの親父も冒険者で魔物に喰われて死んだけど、まあ、なんか気持ちわかるような気がするよ。

アタシももっと冒険したいって思っちゃってるし……親父もこうだったんだろうな」


「姉ちゃん……」



アテナさんのお父さんは魔物に食べられて死んでしまったらしい。

それをアテナさんがどう思っていたのか分からないが、冒険者という業種に嫌悪感を持たないままでいてくれてよかったと心から思う。



「ソロン………危険なことをするのか?」


「父さん………うん。ちょっと危険かもしれないけど、僕行ってきたいんだ」


「………」



父さんは何度も換金屋で交渉を続けた結果なのか、今ではたまに会話が成立するくらいには調子が戻っている。

ただまだぼーっとすることが多く、会話も短いものに限られるが。



「ソロン、噴煙の火山について何か知ってることとかねーの?」


「そうだね……確か噴煙の火山はオークっていう二足歩行する豚みたいな魔物が出るって本に書いてあったよ。

オークは力が強く、武器も扱う。獰猛で目についた動くものに猪突猛進で襲いかかってくるんだって」


「怖っ……ね、姉ちゃんやっぱやめとけば?」


「__だけど、知性の低さ故に群れることは一切なく、同族同士で襲いあうこともあるとか。

だから数自体は少ないし、ダンジョンの構造も複雑じゃないみたいだよ」


あと噴煙の火山っていうくらいだからめちゃくちゃ暑くて埃っぽいらしい。とつけ加えた。



「知性が低いってことは問答無用ってことだな。弱点とかは知らねえの?」


「弱点っていうか……オークは目があんまり良くないらしいし動きも乱雑で単調だから遠距離で仕留められるのがベストって書いてあった気がする」


「お前のそのダンジョンにまつわる知識ほんと役に立つな。元々ダンジョン好きだったのか?」


「うん。なんか未知のものって憧れるんだ。冒険者になれなくても研究者とか武器防具の売買とかに携わった仕事がしてみたいと思ってた。

結局冒険者になれたし、なんとか様になってるから文句はないけど」


「アタシも興味はあったんだ。なんで親父は死んだのか、どこでどんな奴にやられたのか知りたくて……

でも冒険者は割に合わない仕事だって思ってたからな」


「その……アテナさんのお父さんはいつ頃お亡くなりになってしまったんですか?」



僕は好奇心のまま、アテナさんにそう尋ねてしまった。

きっととても悲しい出来事だっただろうに、思い出したくもない記憶かもしれないのに、好奇心が優ってしまったのだ。



「アタシがまだガキの頃だよ。5歳の頃、顔も知らねえギルドのおっさんに、お前の親父はダンジョンで魔物に喰われて死んだらしいって教わった。

最初は嘘だ!って突っぱねたけど、親父は帰ってくることはなかった」


「そう……なんですか……」


"アタシは5つの時からここの縄張りを守ってきたんだ!"


アテナさんと出会った時にそう言っていたことを思い出した。

そうか。そんな幼い頃からアテナさんはこの場所を守ってきたんだな……



「……もうほとんど覚えてねえよ。親父の顔とか、声とかさ。

たまーに、親父に似た男とか見かけると思い出すとか、その程度」



もう気にしてない。みたいに言うアテナさんはやっぱり少し無理をしているように感じた。

でも、きっと気づかれたくないだろうから、僕は気づかないふりをすることにした。



「それよりさ!噴煙の火山って群青の洞窟と比べて魔石は手に入りやすいのか?」


「うん!壁に埋まってたりそこら辺に転がってることもあるみたい。群青の洞窟では魚人を倒すか血眼になって探すかしないと手に入らなかったけど、自然に生成される魔石の量自体は噴煙の火山の方が上だよ」


「よっしゃ!いっそう楽しみになってきたな!」



いよいよ次のダンジョンに挑むための準備を始めることになった僕たちは必要なものを書き出し、次の日買い出しに出かけることになった。


_________



「相手はオーク。武器ってどんなのだ?剣とか使うのか?」


「火山に張り巡らされている木の根っこを使った棍棒みたいなものを使うってイラスト付きで書いてあったなぁ。

それにオークは大抵体長1mちょっとしかないから胸当てみたいな防具があるといいかも!」


「あと遠距離で仕留めた方がいいんだろ?お前弓とか使えないの?」


「僕は家で本とか読んでるタイプだったので……」


「使えねえな。まあ、その知識が役に立ってるからよしとするか」



防具や武器が売っているお店にやってきた。

お店の店主はちょび髭を生やしたおじさんで、僕らのことをじっと睨んできている。

正直、ちょっと怖い。



「どれもちょっとサイズでかいな……アタシは痩せっぽちだからどれもブカブカだ」



アテナさんは防具を試着してみるが、どれもサイズが合わず、ブカブカだった。

いや……痩せっぽちという割にはその……豊満な胸だから男用の防具のサイズが合わなくて当然だ。



「僕はこの皮の胸当てで大丈夫そうです。武器は………この際だから買い換えた方がいいのかな?」


「アタシはこの前大きなナイフに買い換えたばかりだからこのままでいい!これ結構使いやすくて気に入ってるんだ!

にしてもどれもサイズ合わねーじゃねえか!もう服のまんま行くか?」


「う〜ん……」



チラッと店主の方を見る。

こういう時は店主に聞くのが一番なんだけど、あの人怖そうだしなぁ……



「なあおっさん!アタシに合うサイズの胸あてってねえの?」


「あ!アテナさん……っ」



アテナさんは見た目とか関係なしにその店主に話しかけに行った。

店主はムッと眉毛を中央に寄せ、さらに険しい目つきで僕たちを睨みつけた。



「な、なんだよ。なんか文句あんのか?こっちは客だぞ!」


「………嬢ちゃん、悪いことは言わねえ。冒険者なんてやめときな。

オレぁ、夢を見て冒険者になった野郎どもを何人も見てきた。だが、オレが売った防具がダンジョンで見つかって換金屋に出されてるって話を何度も聞いた。みーんな喰われちまったんだよ。魔物どもにな」


「ふんっ!アタシ達は群青の洞窟に何度も入って無事だったんだ!何度も魔物を倒してる!そこらへんのバカと比べてもらっちゃ困るんだよ!」


「それでも、嬢ちゃんみたいな子がダンジョンで死んじまうのは勿体無くてな……オレには嬢ちゃんと同じくらいの娘がいるんだ。

だから余計……」



店主はなぜか涙ぐんで勝手に顔を逸らした。

なんかよくわからないけれど、アテナさんとその店主の娘さんを重ねて、勝手に心配しているようだ。


でも、アテナさんはそこらへんの女性とはかなり違う。

乱暴だし、素行も悪いし、肩とか叩かれると結構痛い。


そう。アテナさんは見た目以上に強いのだ。



「そういうのいーから!アタシにあう防具探してくれよ!」


「ぐずっ……ああ、わかった。オレが忠告しても諦めねえっていうならとびきり頑丈なのを用意してやる。

ちょっと待ってろ」



そう言って店主は店の奥に入って行ってしまった。


こんにちは、ななみんです。

またまた旅行先から失礼します。都会っ子なので雪が物珍しいです。

パウダースノーというのを久々に体験しました。寒ぃ……

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