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10話 記憶

ソロン

群青の洞窟で冒険をした少年。元商人の父親がいる。


アテナ

群青の洞窟で冒険をした少女。路上暮らしで弟がいる。


ダニエル

ソロンの父。事業で失敗し、全てを失い精神的にやっちまっていた男性。

元商人。


ビリー

アテナの弟。いつも項垂れて微動だにしないダニエルのことを可哀想なやつだと思ってみていた。

次の日



「よし!群青の洞窟で手に入れたお宝共を換金しにいくぞ!!」


「にしても、父さんを連れてきてよかったの?」


「だってさ、その親父さん、元々商人だったんだろ?なら安金で買い取ろうとしてきた時、なんか反応示してくれんじゃねえかなって」


家にはビリー置いてきたし。家の守りは問題ねえからさ。たまの散歩も必要だろ?とアテナさんは笑った。

確かに……父さんもずっと塞ぎ込んだままじゃきっと良くない。散歩とかで色々連れ回して刺激を与えるのもいいのかもしれないな。


それにしても、アテナさんはすごいな。ちゃんと父さんのことまで考えてくれて。



「あ、ありました!ここが換金屋です!」


「なあ、本当にギルドで換金してもらわなくてよかったのか?」


「ギルドで換金すると功績税と言ってお金を余分に取られてしまい、手元に入るお金が減ってしまうんですよ。

だから単純にお金を目当てにするなら、専門で換金を行なってる専門店の方がお得になるって父が以前言ってました!」


「この親父さんの情報かぁ……アタシはこのボケッとした姿しか見たことねえから、あんま信用できねえなぁ」


「こうなる前の父さんは凄かったんです!新しい事業に……薬剤なんて知らない分野に手を出そうとするからこうなるんですよ!」



換金屋の扉を開くと、そこには数々の骨董品が並んでいた。

薄気味悪い人形や貝の内側のような光沢を持った茶碗など。


薄暗い店内の奥で蝋燭を焚いている真横にしわがれたお爺さんの姿があった。



「こ、こんにちは!ダンジョンでとった素材の換金をして欲しいんですけど……」


「………ブツを出しな。話はそれからだ」



言われた通りにダンジョンで手に入れたお宝たちを机に並べる。

石に混ざった魔石の結晶が3つ。親指の爪サイズの魔石が4つ。アテナさんが拾ってきたなんか綺麗な石が1つ。

先に突入していった冒険者たちの遺品のブーツが揃って1足



「ほぅ……群青の洞窟だな。これ全部で銀貨5枚だ」


「銀貨5枚!?それは流石に___」


「__流石に買い叩きすぎだ。石が混ざってるとはいえ、魔石の結晶はエネルギーとして使える。需要は高い。これだけで銀貨1枚はする。

こっちの小さな魔石は純粋な魔石だ。一つ銀貨2枚は貰わないと話にならない。この石はアルバ石だ。磨けば宝石として取り扱われる。銅貨2枚は出してもいいだろう。このブーツは使用感が目立つが、それを差し引いても銅貨5枚だ。よって合計金貨1枚銀貨1枚銅貨7枚。これ以上は譲れない」


「金貨1枚ならいいぜ?」


「アルバ石分はおまけしてやる。金貨1銀貨1銅貨5枚だ」


「っち……無駄に知識だけある大人連れてきやがって……いいだろう。金貨1銀貨1銅貨5枚で買ってやる」



父はまるで前の仕事人に戻ったかのような口ぶりで売人と交渉をした。

おかげで僕たちは大損しなくて済んだし、こんな父、久しぶりに見れて僕は感動した!



「父さん!戻ったんだね!!」


「………………あー?」


「あぁ……もしかして商売の話になると自然と前の人格が戻ってくるのかな……」


「スッゲーな今の親父さん!なんか小難しいことペラペラ言ってたけど、銀貨5枚が金貨に変わった!

やるじゃねえか!」


「父は商人だったので……きっとこんな日々が毎日続いてたんだと思いますよ。だから刺激されてちょっと人格が戻ったのかも」


「また次のダンジョンからお宝持ってきた時は、換金屋に親父さん連れてこよーぜ!

へっへっへ……やっぱお前ら拾ってよかったぜ!」


「父さん役にたてたんだよ!よかったね!」



__________



父さんのおかげで金貨1枚と銀貨1枚銅貨5枚のお金に換金できた僕たちは早速その結果を伝えにビリー君の元へ戻っていた。



「すげーじゃん親父さん!やっぱ姉ちゃんいい拾い物したよ!ほんと!」


「だろ!?

それでさ、次のダンジョンなんだけどよ。噴煙の火山ってところに行くんだ。ビリーの職場そっちの近くだろ?何か知らね?」


「知ってるよ。噴煙の火山って近くでも結構鉱石とか取れるから冒険者じゃない奴らも近づいたりするんだ」


「そ、それって危なくない?」


「魔物はダンジョンの中でしか生きられないとはいえ、短時間ならダンジョンの外に出てくることもある。

安易に近づいた民間人なんかが魔物に喰われたとかって話は良く聞くぜ」


「ま、魔物に喰われる……」


「噴煙の火山は危険なダンジョンってよく聞く。行くならまず防具を身につけた方が絶対いいと思うぞ!

あと棍棒とか!住んでる魔物はオーク……二足歩行する豚みたいなやつなんだ!」


「よく知ってるなビリー!まさかお前、鉱石目当てでダンジョンに近づいたりしてねえだろうな?」



アテナさんがビリー君にそう尋ねると、ビリー君は少し間を置いて、えへ♪と戯けて見せた。



「おーまーえーなー!!危ないって自分で言ってたじゃねえか!分かってて近づいたんだろ!?

アタシらだって今回ダンジョンに入って、そのヤバさが分かった。もう二度とダンジョンに近づくんじゃねえぞ!」


「分かってるよ。仲間が魔物に襲われて怪我したんだ……俺の責任だって思ってるし……もう安易に近づいたりしない。

行くとしたら6年後。ちゃんと冒険者になってからだ」


「よし!それならいい。んで、アタシらも次はその噴煙の火山に行くんだろ?」



僕は少し考えて、もうちょっと待った方がいいと伝えた。



「なんでだよ」


「僕たちはまだ初心者だから……今回いきなり2人だけでダンジョンに入ることにならなかったのは奇跡的なことだったんだよ。

ルナさんのおかげで僕らはダンジョンから無事に帰ってこられたんだ」


「んー……まあ、そうだな」


「だから次のダンジョンに行く前に、僕ら自身がレベルアップする必要があると思う!

魔物が出ても難なく倒せるように強くなるとか。ダンジョンの事前の知識をちゃんと覚えていくとか!」


「でもアタシは魔物倒せたぞ?次もいけるって」


「群青の洞窟はとても広大なダンジョンなんだ。魔物の数も多いけどその分ダンジョンの魔物は知性がなく、倒すのも容易な初心者向けのダンジョンで、奥まで入らなければ僕らみたいな初心者でも魔物は倒せるし、それなりの魔石を手に入れて持ち帰ることもできる」


「じゃあ次も群青の洞窟に行くってこと?」


「うん。しばらくは群青の洞窟でレベルアップをしよう!僕1人だけでも魔物を倒せるようになるよ!」


「お。言うじゃねえか!じゃあアタシも魔物の軍勢が襲ってきてもルナさんみたいにパパパーって倒せるようになってやる!」


「あとはマッピングだね!ダンジョンは複雑な構造をしてるから。帰り道が分からなくなってしまったら大変だよ」


「それは任せた!」


「ん〜〜!アテナさんも頑張ってよ!確かにそういうの得意ではあるけど、アテナさんにも覚えて欲しい!」


「分かったよ……しばらくは群青の洞窟で荒稼ぎだな!

今日は金貨が手に入ったから、昨日行ったうまいもん出す店に行ってみようぜ!」


「いやいや、これは大事に貯金して次のダンジョンのためにランプを買おうよ!」


「え〜〜!腹ごしらえは大事だぜ?」


「装備の方が大事!!お金は僕が預かるよ!!」


「けち!お前はアタシの手下なんだからな!」


「分かってる!でも僕も一緒に行ったんだから無駄遣いを見過ごすわけにはいかないよ!」



結果、お金はランプの資金になった。

それから全員服がボロボロだったので、綺麗な服と洗剤を買うことに成功した!


10話です!!10話続きました!!ありがとうございます!!

見てくださる方達のおかげです!ありがとうございます!!


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