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創作詩12: 発達遺伝の妙

作者: 香月融

本投稿では、創作詩 ”発達遺伝の妙” を発表します。


 発達障害は高い確率で遺伝すると言われています。実際、妻は一定レベルのADHD特性や独特のこだわりがあり、睡眠障害や情緒障害を患っています。また、私はHSP(感覚過敏)やマルチポテンシャライト(好奇心旺盛で器用ながら飽きやすい)の傾向があります。それゆえ、子供達のADHD特性やASD特性には親の資質が部分的に遺伝している可能性は十分にあります。


 今になって思えば、子供達には幼少のころから凹凸の片鱗がありました。ただ、当時の私は発達障害に関する知識が乏しく、子供達への適切な支援が遅れてしたまったことは事実です。とても後悔しています。

幼少期の子は、神童もどきのカメレオンであった。


子は3歳にして、車博士だった。

・車の図鑑を買い与えると、

 300種ほどの車名を1週間ほどで憶えた。

・パーキングに並ぶ多種多様な車を見る度に、

 子はやたらとはしゃぎ回った。

・車体の前だけ見せても後ろだけ見せても、

 全ての車種をサクッと言い当てた。

・パトカーの車種をケロリと見抜くと、

 おまわりさんは苦笑いしていた。

・違法な改造車を見つけて、

 「お化けのクラウン」と笑った。

・車への興味は1年足らずで消えた。


子は4歳にして、道案内人だった。

・乗車から見た風景、お店の場所、道順を、

 パタパタと憶えてしまった。

・エブリワン*は黄、ローソンは青、

 ファミマとセブンはちょっと違う緑だって。

・そこ右、ここまっすぐ、もうすぐ公園だよね、

 と嬉しそうに急かした。

・3ヶ月前に花火が見えた夜道を通りかかると、

 「花火は?」と訊いた。

・渋滞で焦っていると、どこで知り得たのか、

 水田を横切る裏道を教えてくれた。

・地理的世界への好奇心は1年半ほどで萎えた。


子は5歳にして、絵本作家だった。

・読み聞かせの絵本やアニメをパクりまくって、

 勝手に文字や数字を覚えた。

・チラシの裏やお絵かき帳には、

 意味不明の絵や言葉がぎっしり。

・怪談レストランを真似て、

 勝手な作り話を挿絵付きでざらばんしに書いた。

・創作絵本のタイトルは、

  ”どらやき10000まん円”

・「意外にまともなストーリーになっとるやん」と、

 内輪で話題になった。

・芸術への意欲は、

 7歳を境に5センチ四方の細密画へと変貌した。


子の成長ぶりに、普段は無頓着な妻が目を丸くした。

・「なにかお習い事でもさせようかしら?」と、

 声を弾ませた。

・妻方の祖父母も、

 「この子は頭がいいよね」と喜んだ。

・私は子の才能に特段の驚きはなかった、

 というよりむしろ物足りなかった。

・なぜなら、

 私の幼少期の聡明度はそれ以上だったから。

・子の発達がなんとなく異常であることは、

 薄らと感じていた。

・なぜなら、

 私もそうだったから。


将来の子は、われら夫婦の凹凸をやむなく引き継ぐ宿命なのか?


おわり


*脚注:コンビニエンスストアーのエブリワン(焼き立てパンをよく買っていました)は2015年にファミリーマートに買収されたため、今はありません。


【編集後記】

 本誌に登場する「子が創作した絵本」は過去の投稿記事「息子の創作絵本 ”どらやき10000万円“」で紹介しています(上記画像は息子が鉛筆で描いた原画の表紙)。よろしければ、ご覧ください。


 息子は気に入ったミニカーをどこに行くにも持ち歩いていました。また、家族でショッピングに行くたびに、車の模型を息子からせがまれてつい買ってました。親バカでしたね。

 当時、バンダイから販売されていたミニカーのうち自動車タイプの商品は50種以上あったと思いますが、最終的にはほぼ全てを買い集めていたと思います。


以上

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