生存者との出会い
※本作品は、日本航空123便墜落事故を元にしたファクション作品です。登場人物の名前は全て仮名であり、実際の人物にあった出来事とは異なるストーリーで構成しています。
123便で父がキャプテンを務めていた美羽家と、生存者である勝山家の詩音と母親が、8.12分かち合いの会という、123便墜落事故で、大切な人が亡くされた遺族の方が集まる集会で対面する事になる。
そこから望夢と詩音が仲良くなったことで、恋へと発展していくのだが、それを機に二人は、新たな希望を見出していく。
それから何ヶ月か経った頃、母さんは機長の妻として「8.12分かち合いの会」という、123便墜落事故で、大切な人を亡くした遺族や関係者達が集まる会を始める事にした。
その集会には、100人を超える遺族と関係者が地元の中学校に集まり、その中に、生存者である詩音と、その母親と、寺田功の姿があり、あの時遺体安置所での出会いをきっかけに、手紙でのやり取りをしていた、仁支川家の母親と、泰地家の母親の姿もあった。
そして泰地家の母親が、仁支川家の母親に声を掛けた。
「仁支川さん、本当にお久しぶりです。いつもお手紙、本当にありがとうございます。いつも寄り添って下さるので、本当に心が救われています」と感謝の言葉を伝えた。
その言葉に対し仁支川家の母親は「いえいえ、こちらこそ、いつもお手紙ありがとうございます。私も、泰地さんと寄り添っていく中で、心を救われています。本当は、前向きな言葉を掛けてあげようかとも思うんですが、やっぱり言葉にするほど前向きになれない自分がいるので、それだったら相手の気持ちに寄り添ってあげた方が良いのかなって思って、いつも手紙を書いています」と自分の考えを伝えた。
その考えに対し泰地家の母親は「確かに、相手の気持ちに寄り添ってあげれたら良いですよね。私も誰かの心に寄り添えるように頑張ります。悲しみがあるから、同じ想いを抱えた人に寄り添えるものだと思うので」と前向きな言葉を伝え、その会話はここで終わった。
そして寺田の病状は、治療によりかなり落ち着いてきたので、これから工場の作業員として働いていく事を目指しているのと、詩音の精神状態は、まだ落ち込んでいるものの、病院での薬物治療により、フラッシュバックは落ち着いているようだ。
美羽家はその時、機長の家族として、遺族の方に本当に申し訳ないという気持ちがあったのだが、戦ってくれたパイロット達を非難する者は居なかった。
すると、生存者である3人が、美羽家の母親に声を掛け、寺田が代表して感謝の言葉を伝え始めた。
「123便のパイロット達は、本当に最後まで戦ってくれたと聞いています。あの時のパイロット達の想いは、ちゃんと僕等の元に届いていますよ。私達を助けて頂き、本当にありがとうございます」
その言葉に美羽家の母さんは救われ、涙が止まらなくなったのと同時に、テレビで観た、あの壮絶な状況に三人がいたのだと思うと、心が本当に痛んだ。
そして寺田は、あの時救助隊が言っていた「自分にしか届けられない想い」を、美羽家の母親に届ける事ができた。
すると美羽家の母親は「本当にありがとうございます。三人は、本当によく頑張ったという言葉が浅墓に感じるほど壮絶な状況で、頑張って、耐えて、生き延びて来られたと思います。そして、この集会に参加して頂き、私たちとの縁を結んで頂けたことを、心から感謝しています」と生存者の三人に伝え、握手を交わした。
そして寺田が美羽家の母親に対し、事故当時から今にかけての心境の変化についてこのように語った。
「事故当時の頃から、人の事が信用できないとか、そういう心があったんですけど、今もその心は変わってなくて、でも考え方が変わってきたというか、人から信用されるのに時間が掛かるように、人を信用するのにも、時間をかけた方が良いのかなぁって思えてきて、それまでは、もっと人を信用するって簡単な事だと思っていました。本当は、人の事を信じたいものですし、だけど、本当に助け合えると思っていた人間関係も、いざとなったら壊れるもので、相手を支え続けるのも、それなりの努力が必要ですし、元ッと時間をかけていった方が良いのかなって思っています。そしてこの会に参加されている方を含め、事故の関係者の方々の事も仲間だと信じていますし、自分の過去の過ちの事も含め、時間をかけて信用を取り戻していけたらと思っています。今日は本当に、ありがとうございます」と伝え、その言葉を聞いた美羽家の母親は、自分の過去の傷や過ちを克服するために、考えや行動を立て直そうとするの姿が感じ取れた。
そして望夢が、学校内の人達に声を掛け、回っていたところ、学校の屋上で一人落ち込んでいる様子の詩音を望夢が見つけたのだ。
「どうしたの?そんなところで何をしているの?」と望夢が問いかけると、初対面であった事もあり、詩音はどうしても何も言えなくて、ただ立っている事しかできない様子だった。
「どうしたの?何かあったのかな。何か困っている事があったら、力になれたら嬉しいんだけど、どうかな?」と望夢が声を掛けても、詩音はどうしても何も言えなかった。
「やっぱり、事故の事を思い出して、辛くなるよね。僕はね、この事故で、その時機長を勤めていた父さんを亡くして、受験にも失敗して、うつ病を発症したり、家に引き籠っていたりしていた事があってね、そんな僕だけど、気が向いた時で良いから、少し話を聞かせてくれないかな」そんな優しい言葉を望夢が掛けると、詩音は頷いてくれた。
「何か困った事があったのかな?ごめん、まだ言いにくいかな」と望夢が問いかけると詩音は、声を振り絞ってしゃべり始めた。
「私、あの事故でお兄ちゃんと、お父さんを失って、それで自分が生き延びたんだけど、事故の事がトラウマになって以来、勉強も頑張れなくなって、フラッシュバックが回復しても、やっぱり頑張れない。大勢の人が亡くなった中で自分が生き延びたんだったら、絶対にこの命を無駄にしないように生きてやろうと思って生きて来たんだけど、こんな生き方するくらいなら、自分も一緒に死ねば良かったのかなとか考えてて、私は、もうだめだ、絶望だ、なんていう考えなんかよりも先に、自分ができる事を考えて、行動できる人間になりたかった。たとえ、もうだめだと思っても、自分にできる事を考えて、行動し続けられる人間になりたかった。亡くなった人達は、今の私の生き方を見てどう思うかなぁ」と詩音は涙を流しながら語った。
すると望夢は詩音の背中にそっと手を当てて「分かったよ。話してくれてありがとう。僕も事故で父さんを失って、同じように上手く生きて来られなかったから、一緒だよ。君は、あの事故現場を生き延びて来たんだ。だからどんなことがあっても、絶対に乗り越えられる。大丈夫大丈夫」と労わりの言葉を掛けた。
そして詩音の心が落ち着いてきたころ、望夢が再び詩音に語り掛ける。
「さっきは、まだ会ったばかりの僕に話してくれてありがとうね。僕もさっき話した通り、色々悩んでいた事もあったけど、色んな人に応援されたり、遊びに行ったりして、何とか希望を見出せそうなところまできているんだ。良かったら、僕と一緒にこれからの人生を、これからの未来を、とり戻していかないかな」
そんな前向きな言葉を望夢が掛けると、詩音は「ありがとう。話聞いてくれて本当に嬉しい。前向きな言葉を掛けてくれた事にも感謝だよ。これからの未来を、一緒に取り戻して行こう」と言ってくれた。
「そう言ってくれて嬉しいよ。君の名前は何?僕の名前は望夢。君は?」と望夢が尋ねる。
すると詩音は「私は詩音。望夢君って言うんだね。良い名前だね」と言ってくれた。
そんな話で二人は仲良くなり、近くに住んでいるとの事だったので、手紙で毎日やり取りしては、実際に会って話すようになった。その手紙の中にも、お互いに寄り添うような内容の文章があった。
「詩音、調子はどう?僕の方は、あの事故があって以来、亡くなった人の分まで生きなければという想いがありながら、自分がちゃんと生きれているのか分からずにいたんだけど、詩音に出会えから、お互いに寄り添ったり、夢を追ったりしていく中で、自分がしっかりと生きている実感がある」
「望夢、想いを聞かせてくれてありがとう。私の方も、あの事故があって以来、大勢の人が亡くなった中で、自分が生き延びて良かったのだろうかと考えていたんだけど、望夢と出会ってから、お互いの想いを共有していく中で、自分が生き延びて来られた意味を見出だせつつある。ありがとう。事故のフラッシュバックは、お薬の効果で回復しているよ」といった内容だった。
そしてお互いに、自分の悩みを打ち明けては、一緒に前向きな言葉を掛けていく中で、詩音は123便に異変が起こってから、助けが来るまでの全容を、直接会って打ち明けてみる事にしたのだ。
その話を聞いた望夢は、胸が締め付けられ「それは、大変だったなんて言葉では言い表せないほど、大変な中生き延びて、ここまで来たんだね。君がそんな壮絶な状況の中にいたと思うと、すごく心が痛むよ。本当に生き延びてくれて、僕と出会ってくれてありがとう」と詩音に伝えた。
詩音が「うん」と答えると、望夢も、父さんを亡くして、ここまで生きてきた事の全容を、詩音に打ち明けた。
すると詩音は「望夢も、大変な過去を背負って、頑張ってくれてたんだね。なんか、戦ってるのは自分だけじゃないんだって思えたよ」と言ってくれて、お互いに過去の事を打ち明けた事で、心が軽くなったのだ。
そして望夢が更にこう問いかける。
「よくあの事故の事を忘れてはいけない過去として扱われている事が多いけど、詩音にとってあの事故は、忘れたい過去として心の中に残っているのかな」
その望夢の問いに詩音は「忘れたいのに、本当は忘れてはいけない過去って、人の心の中に一つくらいはあるよね。トラウマを乗り越えようなんて思っても、過去を忘れられない以上、乗り越える事なんてできないじゃない。だからトラウマを治すには、病院で薬を貰うしかないような気がしているよ」と答えを出した。
その答えに対し望夢は「そっか、確かに薬の力も馬鹿にならないね。昔の人は大変だったんだろうな、例えば、危険な目に遇った事で、不安の感情が強くなったり、二度と同じような目に遇わないように、その事がトラウマになったりさ、だから、過去の人の大変な思いがあった事で、そういった感情があるんだと思えたら、少し楽にならない?」と新たな答えを出した。
するとその考えに対し詩音は「確かにそうだね!事故の事と同じように、昔の人が僕達の事を忘れないでって言ってるみたい。やっぱり過去の事を心に刻んで生きているのと、そうじゃないのとでは、絶望した時の考えも変わってくるだろうから、そういった時にだけ過去を振り返って生きて行きたいって思ったよ。それじゃあ今日は時間だから行くね!またはなそ!」と共感し、別れを告げた。
そしてある日、二人は近くの図書館で勉強会をする事になったのだが、そこには詩音が分からないところを望夢が親切に教える姿があった。
しかし、詩音は望夢の言っている事がよく頭に入らなかった。
詩音は望夢に対して好意を抱いていたのだ。
だから、望夢の事が気になって、勉強が頭に入らなかった。
そしてまた別の日に、今度は気分転換に二人でキャッチボールをしようという事になったのだが、野球に関して全くの素人だった詩音は、ボールをキャッチして、望夢の元にボールを投げ返すという事が、とても難しかった。
すると望夢が「これからボールを投げる度に、お互いに伝えたい事を言って投げるようにしよう」と言い出し「事故の事を乗り越えて、勉強を頑張っている詩音の姿が素敵だ!」と言いながら詩音にボールを投げると、詩音は嬉しそうに、そのボールを両手でしっかりと受け取った。
そして詩音はこの時、望夢に自分の想いを伝えるチャンスだと思い、伝えたい事を頭に入れ、ボールを握った。
「素敵な手紙を私にくれる望夢の事が、す、す、素敵だ!」と言いながら望夢にボールを投げると、その不器用な言葉と同じように、ボールは望夢の前で何度もバウンドし、望夢の元に届いた。
望夢はそのボールを「なんだよそれ」と笑いながら拾うように受け取った。
次に望夢が「事故の記憶を乗り越えて、亡くなった人の分まで生きようとする考えが素敵だ!」と言いながら詩音にボールを投げ、そのボールも詩音はしっかりと両手で受け取った。
「お!上手くなってきたね!」と望夢が詩音に伝えると、詩音は今度こそ望夢に自分の想いを伝えようと思い、覚悟を決め、ボールを握った。
「辛かった過去の経験を元に、私に寄り添ってくれる望夢が好きだ!」と望夢に自分の想いを伝えながらボールを投げると、そのボールはこれまでにないほど真っすぐ望夢の元に届いた。
望夢がどんな反応をするのか、詩音がドキドキしていると「今のいいボール!すごく嬉しいよ」と望夢は言い、二人は笑い合った。
そして公園のベンチで、オレンジ色の夕日を前に、詩音は望夢に対する想いを改めて伝える。
「私、あの時のパイロット達に救われたと思ってるし、望夢のこと好きだよ。色々話聞いてくれるし、私の事全力で考えてくれるし、私の事を救ってくれたから!」と詩音が伝えると、二人は顔が赤くなった。
すると望夢も「僕も好きだよ。詩音といると、色んな痛みや、楽しい事を共有し合える」と詩音に伝え、
人は強さだけではなく、弱さによっても救われる事があるのだと、望夢はその時思った。
そして二人は、この事をきっかけに、付き合い始める事になったのだ。父さんを含む、あの時のパイロット達が救ってくれた事で、そして詩音が生き延びてくれた事で、自分に尊い彼女ができた事が、望夢はとても嬉しかった。
初めてのデートの場所は、もちろんディズニーランド。自分の彼女と一緒に、この場所に戻ってこられるなんて、望夢は嬉しくて、楽しくてたまらなった。
そしてパーク内を回っている途中、詩音があのジェットコースターに乗ろうと言い出したのだ。
しかし望夢は「本当に大丈夫?事故の事を思い出したりしない?」と詩音の事を心配した。
それでも詩音は「大丈夫、気内では意識を失ってて、飛行機が沢山揺れていた事がトラウマになってる訳じゃないから。それに、あの事故以来、ちょっと乗り物に乗るのが不安になっていたんだけど、このジェットコースターに乗れたら、きっと本当の意味でトラウマを克服できたって思えるような気がして、こういう乗り物に乗るの初めてだし、一度乗ってみようと思ったよ」と言い、二人はそのジェットコースターに並ぶ事にした。
そして並んでいる途中、詩音が不安そうな様子を見せた。
「私、やっぱり乗るの、怖くなってきたかも」と詩音がつぶやく
それに対し望夢は「じゃあやっぱり乗るのやめておく?」と尋ねた。
それでも詩音は「大丈夫!少し怖いけど、乗るのが楽しみっていう気持ちの方が大きいから、一緒に乗ろう!」と前向きだった。
そんな様子の詩音に望夢は「分かったよ!じゃあ一緒に頑張ろうね。怖くないように、僕が手を握っていてあげるから大丈夫だよ」と励ました。
しかし、本当に怖がっていたのは、実は望夢だった。
前に家族とディズニーランドに来た時に、初めてジェットコースターに乗ったのだが、その時に乗ったジェットコースターがとても怖く、少しトラウマになっていた。
しかも、今回二人で乗るジェットコースターは、前に乗ったジェットコースターよりも一回りも二回りも大きく、怖くて今にも逃げ出したい気持ちだったのだ。
それでも望夢は、怖がっている姿を、詩音には見せることができなかった。
なぜなら、弱みを見せた自分の事を、詩音がどう受け取るのかが不安になって、励ましておいて、自分が逃げ出したら、詩音ががっかりするだろうと思い、立ち向かって行かなければならなかったのだ。
そういう意味では、詩音と望夢は、同じような気持ちでこのジェットコースターに乗ろうとしていた。
そしてもうすぐで、二人が乗る順番が回ってきそうな頃、望夢は怖くて、足の震えが止まらなくなっていた。
そんな中でも、あの時の父さんの「頑張れ頑張れ!」という言葉が思い浮かび、あの123便の機体に乗っていた人達は、今の自分よりももっと大きな恐怖を乗り越えてなくなったんだ。そうだ、神は乗り越えられる試練しか与えないんだ。だから怖くない怖くない。と自分で自分を励ましていた。
そしていよいよ、二人が乗る順番が来た。
ジェットコースターが上へと昇って行く時、詩音はとても楽しそうな姿で、景色を眺めていた。
それに対し望夢は、心臓がバクバク鳴って、ジェットコースターが昇って行く時ほど長いと感じる時間は無いように感じていた。
しかし、あの123便の乗客の一人が隣にいるんだ。ここで自分が怖がっている姿を見せてはいけない。
そう考えているうちに、ついに頂上を迎え、ジェットコースターが一気に降下を始めた。
すると望夢の体の中に、これまでに感じた事のない浮遊感が走り、叫び声を上げる余裕もなかった。
それに対し詩音は、とても楽しそうだった。
その瞬間詩音は、自分にとってジェットコースターはとても楽しい乗り物だという事を知る事ができた。
右に行ったり左に行ったり、上昇や降下を繰り返し、これまでに感じた事のないスリルを味わう事ができた。
その間に望夢は、恐らくこれまでで一番長く感じたであろう時間を乗り越えて、ようやくジェットコースターが停止した。
乗り終えた後、詩音は「初めて乗ったけど、すごく楽しかった!」と言っていたのに対し、望夢は「人生で一番怖い思いをしたよ」と語っており、結局、最初に励ましていた方が怖い思いをして、最初に怖がっていた方が、楽しい思いをしていたのであった。
そしてその後も、二人は色々な乗り物に乗り、帰り際に詩音がこう語りかける。
「今日みたいな日を、特別な日って言って良いのかな。なんだか、一日一日を大切に生きれてないような気がして、亡くなった人の分まで、日々生きているのに、何気ない一日に特別な事が溢れていることに気付けていない自分がいるような気がしてるんだよね」
そんな詩音の想いに対し望夢は「無理に一日一日を大切に思わなくても良いんだぞ」と伝えた。
「え?」と詩音が、驚いた様子を見せた。
すると望夢は「確かに、一日一日を大切に生きれたら、それは素晴らしいことかもしれない。だけど、どうしても大切に思えない日もある。僕が受験に失敗して、引き籠っていた頃が、そんな日々だった。誰だって苦手な食べ物は、なるべく味わわずに食べたいものだ。だから、大切に思えないのはしょうがない事だから、落ち込まなくても良いんだ」と自分の考えを伝えた。
その考えに対し詩音は「なるほど!そういう考えもあるんだね。自分とは少し違う考えだったけど、大切に思えない日があっても、落ち込む事はないって思えたら、少しは楽になるかもしれないって思えたよ。ありがとう」と伝えた。
そして望夢が、新たな提案を詩音に伝える。
「なぁ詩音、一緒に青彩大学に行かないか?今からでも間に合うはずだ。僕は、受験に合格するという、父との約束を果たさないといけないんだ、そして、君とこれからの未来を取り戻したいんだ」
そう伝えると詩音は「分かった!一緒に頑張ろう!だけどお互いに、無理しちゃだめだよ。中学の時の望夢は、頑張り過ぎて、大変だっただろうから、自分のペースで頑張っていればきっと上手くいくよ」と言ってくれた。こうして二人は、愛と、未来への希望を見出していったのだ。
そうと決まれば、また二人とも勉強に取り組んでいく事にした。
常に全力でやろうとするのではなく、自分が出せる力の範囲で頑張っていく事にしたのだが、航空機メーカーの修理ミスから、長年の金属疲労により123便の垂直尾翼が破壊されたように、どんなに小さな一歩も積み重ねれば、未来の全てを変える事にも繋がるのだ。
そして朝散歩や、運動も常に忘れないようにし、その習慣を、詩音も一緒にやっていく事にした。
その努力の甲斐もあってか、二人とも、勉強はとにかく捗り、楽しくやれている感じだった。
望夢の家族は、今度こそ上手く行くと、望夢の受験勉強を本当に応援してくれていたので、受験生になるって、こんなに幸せな事だったんだと感じた。
予備校にも、再び通い始めた。
しかし、詩音は、蒼彩大学への入学に向けて、バイトでお金を稼ぎながら、受験勉強に取り組むことになっていた。
でも、そんな時には、望夢が前向きな言葉を掛けてくれて、詩音もその事に対して幸せを感じていた。
そして受験まで、あと数ヶ月というところで、望夢は模擬試験を受ける事になったのだが、その結果はB判定だった。このまま行けば合格できる。そう考え、大きな希望を見出していた。
読んで頂き、本当にありがとうございます。
520人の命と、4人の生存者、そして遺族の方々と、関係者の方々の犠牲や尽力があった事を元に、こちらの【ラストメッセージ】を届ける事ができたという事を忘れないで下さい。
どうかよろしくお願い致します。