自分の大切な人に自分の命の期限を伝える
他人には話せないノンフィクション。気づいたら末期癌。悪性腫瘍10cmだってばよ。
泣きじゃくりながら煙草に火をつけた。
会社に電話、と思った矢先娘から狙ったかのように電話がきた。
隠すことなくすべてを伝えた。
電話中の私の横を多くの人が通り過ぎてゆく。
まるで私が見えないかのように。
今思えば、はんにゃのような顔に台風が上陸したかのような涙と鼻水の大洪水。さぞかしそれは通報レベル1歩手前の絵面だったであろう。
でも本当にどうでもよかった。
笑われようが冷ややかな目で見られようがもうなんでもよかった!
どうせ死ぬんだから!!!
けっ!人生なんてくそくらえ!
そう、思った・・・。
その後上司の携帯に直接電話をいれてやった。
たばこは3本目に到達していた。
立て続けで3本は初だ。
余命が1年だと、手術もできない、
そして癌だと・・・そう伝えられた。
本当は1番に母親に電話したかった。
だが母は心臓が弱く母自身も数年前にわずらった乳がんとよろしくやっている最中。
母は私をとてもかわいがってくれる。
そんな母にとってかわいいかわいい娘が先立つかもしれない、と知ったら漫画のようにひっくり返るだろう。
いや、その場で心臓が止まってしまうかもしれない。
今日のとこはいったん控えることにしよう。
その後はCTだのなんだのとただただ検査が続いた。
そして夕方解放されるや否や大好きなモ〇バーガーをわざわざ自宅から逆方向に車を走らせて食べに行った。
いつもはフィッシュだが今日は人生初めての余命宣告を受けた記念すべき日なのでスパイシーチーズにした。
A型の自分としては通常、同じ道・同じルーティンを踏むことで先行不安が排除されとても気持ちの良い日常を行える。
ただ今日は冒険したかった。
チリ。辛いの希望。決断。ポチっ。そのスパイシーなバーガーを指さした。
結論から言うと、チリでも魚でもどうでもよかった。
涙で視界はぐっちょぐちょ頭はパぁ、人生の転機に味わうこの日の〇スバーガーはただのハンバーガーだった。
人生なげやりになっても腹は減る。
余命1年でも腹は減るのだ。
秒でほおばりウーロン茶で一気に流しこみ心ではなく腹を物理的に満たしふてくされながら帰宅した。
闇に覆われた空のもとでの帰宅。
玄関はいつも通り灯りがともされている。
鍵をあけ入るとおだやかな顔でだんなが迎えてくれた。
「どうだった?」だんなが聞いてきた。
チワワではない。プードル・・?ちょっと違う。そう。ミーアキャットか。そうだミーアキャット。
ミーアキャットのような表情でだんなは聞いてきた。
手洗いうがいも待てないようだ。
ついてまわってくる。
まぁいいだろう。手は既に打ってある。シナリオも考えてきた。
娘とも打ち合わせ済。
いつも捨てられた子犬のように私を見あげてくる甘えん坊のだんなには、
「癌だったけど軽い癌だったから手術はしなくてもすみそうだ」となぞの嘘をついた。
手術をしなくてもいい軽い癌ってどんなやねん。自分で言っといてちょっとくすっ、ときた。
いつもおだやかで私を疑うことない彼は見たことない顔をしてその朗報に応えた。
「手術しなくても癌って治るんだね。」
だんながあほすぎて尊い・・・。
とくになーし!