対海道包囲網。
海道くんと別れた後、ソフィア家にて久留米、ソフィア、青鷺、天堂らはお茶会をしていた。
「ふぅ...ホッとするお茶ね。」
「うん美味しい」
「.....」
「ん、環奈どうしたの?」
「そろそろ決めましょうか」
が、そんなまったり時間の中。久留米は真剣な面持ちで彼女らを見据えてそういった。
「「「?!」」」
前々から、海道包囲網を共同構築していた彼女らはその言葉の意味を一瞬で理解し、お茶会に緊張感が広がった。
「うーん...別にそこまで焦らなくても良い気がするけど...」
「ですです」
ソフィアや青鷺は海道への共通の認識を前提として、思い思いに考えていた事を呟く。
「ん....皆、海道くんと...その、一通り済ませているのでは?」
彼女らの様子から、天堂は言葉を繋ぐ度に体を捩らせながらあらぬ事を聞いた。
「「「っ!?」」」
抜け駆けした人がこの中にいるのか(皆、それ自体は別に良いと思っている)と、またもや空気が締まるが、その辺は久留米が大体把握しているようだった。
「いえ、ソフィアさんはともかくとして、私たちはスキンシップは...滅多にないですね...」
事実、トレーニングに勤しんでいた海道くんのお家にお邪魔した時や修学旅行の寝ちゃってた間くらいしかそういうのはなかった。
「っ...そ、そうだったんだね。ごめん、ちょっと過ぎてしまったよ。」
「え、ちょっと...私も清澄に何も....」
「「.....」」
天堂が先走っていた中、サラッとソフィアはその限りでないとされており、抗議するがあの事を聞いた青鷺と久留米はジト目でソフィアを見ていた。
「ん?何??」
「まぁ...その....保健室での事を聞くには..ですね。」
「いやっ...あれは、その....タイミングというか....」
居心地が悪く、なんの事なのか聞くとあんな事やこんな事であり、ソフィアが否定の言葉に詰まっていると疑惑は確信へと近づいてしまっていた。
「ふふっ....わかってますよ。海道くんは奥手ですし、からかい過ぎましたね」
そういった関係性になればもっと二人の距離感も空気感も近くなるため、その辺はわかっていた久留米は天使の輪っかが浮かぶソフィアの頭を撫でた。
「っ...その....清澄も環奈、なーちゃん達も同じくらい大事...だから...」
もうすっかり彼女に撫でられるのに抵抗しなくなったソフィアは言葉にしきれなくとも、その思いは確かだと伝えた。
「まぁ、その辺は追々として、来年には新入生が入ってきます」
完全に久留米に手籠にしているソフィアを撫でながら、久留米は本題へと入った。
「ん、それはそうですけど...」
「...?」
「?」
それを聞いた彼女らはイマイチピンと来ていなかった。
「はい。新入生から見た海道くんは、ちょっと不良っぽいけど成績はいつもトップで、運動神経も抜群、そして少し話してみたら普通に紳士な"先輩"になります。」
「「「....っ?!」」」
年上の悪そうなイケメンには本能的に惹かれてしまう女のサガにドストライクな彼は、今以上に異性からのアプローチが増大するのは火を見るよりも明らかであり、天堂という王子様を失った学校に新たに君臨する可能性もあった。
「え、あっ...どどどど..どうしましょうぅぅ...」
「わぁー...それは、やばいね。」
学校の所在地が好立地というのもあってか、美男美女が集まりやすいこの学校で彼の魅力度は嫌にカンストしつつあり、海道にとって彼女たち以上に魅力的な子が来た際には彼女達の立ち位置も変化する可能性があった。
「ん....先輩?ってそんなに良いものなの?」
しかし、ソフィアは文化的にもそこまでピンと来ていなかった。
「はい、やばいですね。後輩から見た上の人たちって黙ってるだけでもかっこよく見えてしまいますし、私もそれで何度も新人に言い寄られましたし...」
「え?女の子から?!」
「あー...まぁ、はい。」
青鷺が暴走族時代のエピソードを話すとソフィアは興味津々であった。
「ははは...僕とお揃いだね。」
「っ...つぅ...はい。」
つい最近まで同性に言い寄られまくりんぐだった天堂は青鷺の少し伏せた顔を、覗き込むように男装していた時の少し低い声でそう囁き、青鷺は満更でもなく頬を赤く染めていた。
「こらーいちゃつかないのー」
「ははっ...ごめんごめん」
「いちゃっ?!いやっ....違いますぅ..」
久留米「ともかく、新年度が始まる前に決めるにあたって、誰から行きます?私としては順番はどちらでも良いので」
「うーん...私もそうかなー」
「ふむ...そうですね...」
「僕は...多分、彼に勝ってからになるかな....」
ソフィア「えー...なんで清澄に勝たないといけないのよ...」
「僕個人の事情もあるけど、関係性を一段階深めるなら始まりの決闘を終わらせてからじゃないと、かな」
「....飛鳥ちゃん。」
彼女なりの区切りをつけたい点にそういうのもあるのかと感心していると、久留米は天堂に身を寄せて優しく頬に手を当てた。
「っ...か...」
攻められる事がほぼない天堂は久留米の距離感に虚を突かれる。
「勝てる所がなくて、負かされて、身も心も、全部好きな人のモノになるのも結構良いものですよ。」
「っ...ん...ぅ....それは...」
久留米の優しく甘い囁き声に当てられた天堂は、自身の中にあるずっと抑え続けていた女性性が露になりかけていた。
「ふふっ...そういう顔も海道くんになら....でしょう?」
「ぁ....っ」
一つ一つ楔が解かれ、彼女に頭を優しく撫でられているのをそのままに、何度か彼のゴツい胸板に身を寄せた時の胸が締め付ける彼の匂いを想起し、思わず青く澄んだ瞳を傍に流す。
「ふふっ、その辺りは飛鳥ちゃんに任せます。私たちはいつでも歓迎します。」
「そうですよ!飛鳥ちゃんならいつでもウェルカムです!」
「うんうん」
「っ....は、はい。」
今回の茶会に参加していない楢崎、白木、虎野とも大体のコンセンサスが固まっている中、彼の居ない間に海道くん包囲網は着々と進んでいた。
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