9話
「次が最後かな?」
くっついたものは鍵のような形状をなしている。
ただ、まだ足りないようだ。
扉が開かれる。
鋭い牙、黒いコート、金色の長い髪。
「ヴァンパイア…」
棺桶に座っていたヴァンパイアが立ち上がり、コートを広げる。
「くる!」
低空飛行で突っ込んでくる。床とギリギリ。
こっちにきた!ヘイストをしていてもギリギリ躱せるくらいだ。素早い。
「チェンジ!」
入れ替わり、ヴァンパイアと交戦し始める。
彼女と対等に戦っている。
フレイを打ち込んでも間を開け避けられる。
死角から放っているはずなのに。関係ないのだろうか。
どうにか…する方法はある。
杖を持ち直し、攻撃モーションに入る。
自分の攻撃モーションは遅く、避けられるだろう。ただ、こちらを一瞬でも意識してくれれば良いんだ。
ヴァンパイアがこちらを見る。
その瞬間ヴァンパイアの横顔に鋭い蹴りが刺さる。
蹌踉めくヴァンパイアに追撃を行う。
攻撃する素振りをしながら魔法を放つ。遅い攻撃は避けられるが、彼女の攻撃さえ入ってしまえばいい。
見事なコンビネーションプレイ?によってヴァンパイアを無事倒す。
二人とも肩で息をしていた。実際の体が疲れているわけではないはずなのに。
整った後、ヴァンパイアが座っていた棺桶を開ける。
中にはおそらく最後のピースであろう鍵の破片があった。
「これで全部かな?」
できた鍵は少し大きめなもの。
どこで使うものなのだろうか。二人で探した。
―
「まさか棺桶が動かせるとは思わなかったね」
二人で苦笑いをしていた。
床にある鍵穴に鍵を差し込み、回す。
「行こうか」どうしてだろう。少し寂しげな声に聞こえた。