24話
「今日もかからないなぁ」
男は一人、釣りをする。
投げた竿の先には針が付いていない。
「漁師になったのは良いものの、腕っぷしだけあげていたらモンスターを倒せるようにはなったけど、結局釣りができるわけじゃないしなぁ…運を上げれば素材も落ちるんだろうが…今更運に振るのも気が引けるしなぁ」
再び竿を振る。
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「なんか独り言言っている人が一人、NPCではないみたい」
彼女と一緒にその人の元へ寄ってみる。
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「珍しいな人が来るなんて。俺はこのゲームを始めた時からずっとここなんだが、全然釣れなくてな。釣れたら新しい場所へ移動しようかと思っていたんだが」
「いや、針がなければ食いつかないだろうし、そもそもここから始まったってどう言うこと?」
「どうやら漁師っていう職業は海辺か街スタートを選べるんだが、海辺スタートの人間が一人もいなくてな。それに誰も来ないと来たもんだ。第一海人みたいなもんか」
「そういえば蟹の爪って釣りの道具になるけど、使う?」
「良いのか?ぜひ使わせてくれ」
「一つだけ条件があるんだけどさ」
「なんだ?叶えられそうなものなら」
「仲間になってよ。良いでしょ?」
コクリと頷き、動向を確かめる。
「そんなで良ければいいぞ」
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「やっぱり…ここでレベル1から生きてたんだからそりゃ強いよね…始める人によってモンスターの強さが変わるわけではないだろうし。レベルは二つ上でパワーに全振り…」
「いやぁ…仲間の運が合計なのが嬉しい限りだ」
「漁師で運ないってどうやって生きようとしたのよ」
「いや、だってあいつら倒すのに力がないと死にそうだったからな」
「今どれくらいで倒せるの?」
「ほとんどは一撃だな。一撃で倒せるようになってからモンスターも寄り付かなくなったな」
「でもみんな山側に行ったってこと?すごいねぇ」
「あとはみんなパーティー上限とかだったんじゃないか。よくわからないが」
「とりあえずこれからよろしく!」




