17話
彼女が駆け出す。レベルが上がったからか、さらに早く。もう目には見えないスピードで攻撃を繰り出していく。
遠くからフレイを打ちながら動向を確かめる。
彼女の見えない動きについていけているのか、時々刃が交わる反響が聞こえる。
こちらを見ずとも魔法くらいは避けてくるか…。
全ての攻撃を遇らうかのように避けて見せてくる。
ラインを放っても範囲が小さいため、届かない。
そして時間は待ってくれない。
『来る!』
今度は甲冑が鞘に剣を収めている。
見たことがある。居合い抜きだ。
急いで体を伏せる。
直後、空気が擦れる音と激しい風圧が体を起こさせる。
彼女は飛び上がって避けていたみたいだが、驚きを隠せない顔なのか目を丸くしている。
それもそのはず、部屋にあるオブジェクトが一刀両断されている。
破壊不能オブジェクトの破壊。それが意味することといえば…
「一撃必殺…」
そう、一撃受ければ絶命する。名の通り一撃で必ず殺す攻撃。
絶対に当たってはいけない。
攻撃範囲は前方270度。
後ろにいれば攻撃を受けないはずだが…。
「壁を背にしてあれを打つのは卑怯すぎない…?」
実質避けられるのは上か下か。だが、今はただの横一閃だったから良かったものの、これで高低差をつけられ始めたら…考えたくもない。
「とりあえず攻撃をさせないようにしよう」
彼女の提案の通りに攻撃をし続ける。
久しぶりに杖で殴りにかかる。
当たらなくてもいい。
とにかく壁に近づけないように壁寄りから攻撃する。
彼女もひたすら攻撃を続ける。
しかし赤子の手を捻るかのように、易々と躱し、受け流してしまう。
「これだけは使いたくなかったんだけどな!」
彼女は懐から怪しげな玉を出す。
それを床に叩きつける。
「離れて!」
二人は遠ざかる。そして火を放つ。




