10話
梯子を降りて、先へ進む。
先には扉があり、開いている。
後ろから押され、扉をくぐる。
まさか、押された方向を見る。
誰もいない。彼女はどこへ…。
棺桶の一つが蓋を開けている。
恐る恐る棺桶の中を覗く。
どこかでみた衣装だ。
みたことがある。ついさっきまで見ていたグローブと靴…。
嗚咽が入り混じる…。
彼女はNPCだったようだ。優しい顔、手の感触、全てが作り物だったんだ。
胸元に一枚の手紙があることに気づく。
その手紙に手を翳すとメッセージが表示される。
―
メッセージ通り墓を作る。
そこに彼女を埋めた。
彼女がしていた指輪を嵌める。
約束の指輪。これで旅立てるのだろうか。
光が差し、粒子が天に昇るように見えた。
膝が崩れ、また嗚咽が混ざる。
もしかしたら好きだったのかもしれない。
―
約束の指輪を嵌めたまま墓場を出る。
天に登った光が自分に来た時は少し驚いたがレベルアップしたのに気がついて経験値だったのかと思うと少し
悲しくなったとともに少し心が落ち着いた。
一緒に冒険ができると思うと少し心が洗われた気がした。
墓場を出た途端、フィールド毎消失してしまう。一度きりのダンジョンだったのだろう。
心の揺れが大き過ぎて少し酔ってしまったのかもしれない。
街で落ち着くことにした。
空いた穴はすぐには埋まらない。
約束の指輪を見つめる。
装備効果としてステータスを1.5倍と破格なものだ。
後々わかることだが、これはソロプレイヤー専用の装備らしく、パーティーでダンジョンに潜入すると武道家
の霊がボス戦らしい。
ソロプレイヤー専用の装備だとわかるのは当分先、これの装備を持っているのは僕だけということになっ
た。




