表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョンコアも世界を回りたい  作者: 二酸化炭素
9/25

洞窟外の戦い

前回の最後に登場した人物の名前を間違えました。

大変申し訳ございません。

アンゼルム様(✕)→アルベール様(〇)


 外の騒ぎであの大きなオーク以外はぞろぞろと洞窟の外に出た。


 ただでさえ目の前にいる大きなオークからどうすれば逃げられるのも悩むのに、よりによってこのタイミングであの冒険者たちが戻ってきた。


 今ではあの大きなオークが出口までの道に塞がれて、たとえすり抜けて逃げ出したとして外にはあの冒険者たちがいる。

 外の騒ぎ声から例の二人組以外にさらに人数が増える、一度戻って仲間を連れてきたでしょう。


 (外が戦っているなら私を構わないで、外に出て戦いなさいよ)


 そんな微かな希望も叶わず、あの大きなオークはゆっくりと私に向かってきた。

 先までは面白く見ていたが、今はささっと面倒なことを片付けて、外に行こうとしている。


 鎧を着込んだあの大きなオークは一歩一歩近づいてくる、ただで威圧感が強烈なのに、歩く度に鎧がカシャカシャと音を出して、さらに恐怖心を煽る。

 気圧された私はじりじりと後退していて、背中が元台座の岩に当たった時、あのオークが手に持っている斧を掲げて振り下ろしてきた。


 反射的に私は両手で頭を守ってしゃがみ込んしまった。

 どうやら斧が岩を粉砕して私に届かなかったが、次の瞬間で体が蹴られて、また壁に吹き飛ばされた。


 大した痛みはないけど、震えが止まらず立てることもできない、ただ地に這いつくばって少しでもあのオークから離れようとしていた。

 そして突然背中から強烈な衝撃を感じて、動けなくなった。

 あのオークが私の背中を足で踏みつけて、また斧を掲げた。


 あのオークが大きな声を出したが振り下ろしてくる斧は来なかった。

 よく見れば、あのオークは鎧がカバーしていない左の二の腕に一本の矢が刺さっている。


「隊長!洞窟の中に女の子がいるぞ!」


「アンゼルム、矢を止まるな!あのオークの注意をこっちに向かわせろ!」


 そして私はまだあのオークに蹴飛ばされて、洞窟の奥の壁に転がっていった。

 あのオークはそのまま洞窟の外に向かって去っていた。




「兵士隊はゴブリンに集中しろ、オークはアルベール様とゲオルクに任せろ!」

「ユーク殿はルーテル様の護衛を頼む」

「ルーテル様、瘴気の浄化はまず戦ってる範囲に集中してください!」


 先日冒険者ギルドでダンジョン発生の情報を受けて、町内と周辺の治安を担当する兵士長である俺は急いて町長の男爵様に報告していた。


 男爵は元々駐屯領兵を出さずに領主のベルントフ様に任せるつもりだが、運よく騎士のアルベール様が騎士見習いのユーク殿を連れて、領主様の仕事でベルントフに来て視察中だから、一緒に話を聞いてくれた。


 彼の一声で町の駐屯領兵を出すことに渋っていた男爵は仕方なく討伐隊の編成をアルベール様に全権を託したからこそ、こんな短時間で討伐隊が出発することができた。


 しかし報告ではダンジョンがある場所にあったのはダンジョンではなくオークの前哨基地である洞窟だった。


 オークの活動範囲はヘンデル山脈だから、ここに足を延ばしてくるのも問題だ、この森で前哨基地を置かれてしまったら、ベルントフの町はその目先になる、さらに周辺の村にも危険が及ぼす。

 だからこそ、ここはダンジョンでなくでも、オークの前哨基地を潰さなければならない、増して今回は騎士のアルベール様もいるから心が強い。


 戦闘自体は順調にこっちが押している、やはり騎士であるアルベール様は強い、あの方は剣で容易くゴブリンは両断し、オークもあっという間に切り伏せるぐらいの実力者だ。

 少々手こずったのはあのゴブリンシャーマンだ、やつは変な魔法で周囲のゴブリンとオークを鼓舞し、さらにここの瘴気の影響でゴブリンとオークどもが著しく好戦的狂暴化している。


 ゴブリンシャーマンの魔法攻撃で兵士隊の三人はやられたが、アルベール様は突撃を敢行して、その騎士の盾で魔法を防ぎながら、一気にゴブリンシャーマンに肉薄した。

 接近されたゴブリンシャーマンは抵抗を試みたが、所詮はゴブリン、すぐさまにアルベール様に首を刎ねられた。

 これで脅威になれるのは洞窟内で潜んでいるオークビッグウォーリアだけになった。


 木の上に弓で援護射撃をしている冒険者であるアンゼルムは突然洞窟内に矢を撃ち始めた、どうやら洞窟内では攫われた女の子がいるらしい。

 このことを聞いたアルベール様はすぐさま洞窟に向かい、と同時に冒険者リーダーであるゲオルクもその隊員のハンネスを連れて、戦線から離脱して洞窟に向かっていた。


 この辺りの瘴気は異様に濃いので、神官のルーテル様が浄化結界の維持で動けなくなり、我々兵士隊と冒険者のマティは騎士見習いのユーク殿と一緒にルーテル様を中心として防衛線を築いたが、アルベール様とゲオルクたちが洞窟に向かったから、防衛線の圧力が一気に高められた。


「お前ら、ここは耐えろ、アルベール様はあのオークビッグウォーリアを仕留めたら俺らの勝ちだ!」


 俺がこうして兵士隊を鼓舞している時、あのオークビッグウォーリアが洞窟から出てきた、あれは俺と兵士隊が相手したら、全員刺し違え覚悟で挑まなければならない相手だ。

 俺たちができることはルーテル様を守りながら、ゴブリンとオークをアルベール様に邪魔させない程度で牽制ぐらいだ。




 洞窟から出てきたあのオークビッグウォーリアは明らかに普通のオークと違い、目には狂暴性を宿ってるだが、知性は残ってる。

 アルベール様はさらに一歩を踏み出すとあのオークは急に口を開いた。


「血刃部族のタンオルックだ、貴様は?」


「ベルントフ伯爵直属騎士のアルベールだ、ここは貴様らが来る場所じゃなかったぞ」


「それはお互いだ」


「ならばもうこれ以上話す言葉はない」


 両者はそのままただちに武器を向かわせ対峙し始めた。


 先に動いたのはオークのほうだ、その両手斧が常人を両断する勢いで振り下ろしたが、アルベール様は騎士装備の加護を発動し、盾で防ぎ踏みとどまった、そしてそのまま剣で鋭く反撃をしたが、あのオークは難なく左の籠手で弾いた。

 俺は両者がこのように攻防を交わしている様子を見ながら、攻撃を隙を探した。


 そして俺の隣にいるハンネスに洞窟の入口に守りを固めようと指示を出す。


「ハンネス、お前はあの女の子を守れ、ゴブリンの一匹でも洞窟内に入れるな」


「ゲオルク、お前も気をつけろ、あのオークはやばいぞ」


 あのオークがアルベール様との戦いによって洞窟を離れた今は洞窟内にいる女の子の安否を確認する好機でもある。


 アルベール様とあのオークとの攻防は一進一退である、両方は決め手を欠けている、あのオークは両手斧で旋風のように絶え間なく攻撃を仕掛けたが、アルベール様は盾で防ぎ躱し、隙を見て反撃を行う。

 こうしている間にあのオークは徐々に体中が傷だらけになったが、致命傷に至らなかった、アルベール様のほうは盾と鎧のおかけで大きな怪我は見えないけど、少しずつダメージを受けているのも明白だ。


 しかもあのオークはアルベール様の得意剣技であるパワースラッシュでさえその両手斧で防ぐことができる。

 だからこそ俺はあのオークの不意を突き、この場面を打破する必要がある、同時にアンゼルムも兵士隊に対して援護射撃をしながら、ずっとチャンスを待っている。


 体格差がありながら、アルベール様はさすがに伯爵様の直属騎士だけあって正面で互角にあのオークと渡り合える。


 そしてついにチャンスが到来した。

 さらに十数回打ち合った後、アルベール様のパワースラッシュであのオークは防いだが、足がよろめき数歩後ろに下がった。

 これを見たところで、俺は自分と交戦中のオークを蹴飛ばし、あのオークの背後に飛び掛かりそのふくらはぎに深く切り込み、そのまま離脱した。


 あのオークは強烈な痛みで跪き、一瞬で俺のほうを睨んだが、次の瞬間にアンゼルムの矢がその顔面に刺さり、さらにアルベール様の剣があのオークの喉元に刺し込んだ。


 あのオークはもう立てることも斧を振り回すこともできず、左手で自分の喉に刺さってる剣を掴み、口から血が溢れながら、何かを言おうとしたが、アルベール様がそのまま剣を抜き出したら、その大きな体が力無き前めりに倒れた。


 この様子を見た兵士長のゲッツは大きな声で勝利の鬨を上げ、兵士隊も守勢から攻勢に転じる、これによって残ってるゴブリンとオークたちがあっという間に士気が崩壊し、我先に逃げ出し始めた。



・領主:エックハルト・ベルントフ伯爵

・町長:モーリッツ・ポンゼル男爵

・冒険者ギルド支部長:マクスル

・受付嬢:エルナ


・冒険者探索チーム隊長:ゲオルク 

 ・隊員:ハンネス 

 ・隊員:アンゼルム 

 ・隊員:マティ 


・兵士長:ゲッツ

・騎士:アルベール

・騎士見習い:ユーク

・神官:ルーテル


・オークビッグウォーリア:タンオルック


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ