ダンジョンコアとしての生活③
ようやく自分が成長する方法を判明してから時間をかけて色々検証した。
自分がレベルアップしたらダンジョンコアとしての力上限を上げられるのが一番大きい、何しろ上限が低いままいくら地面からチカラを吸い上げられてもできることが限られるからだ。
上限が上げられるなら、いつか巨大複雑な迷宮ダンジョンを構築し、ドラゴンを多数配下にして防衛活動を任せて、自分が安全なダンジョン最奥でのんびりすることができるに違いない。
最初はどんどんコボルドたちを召喚して防衛ルームに配置する予定だけど、前回の戦いを検討している間に、大事なことを発覚した。
それは今の防衛ルームはすでに最終防衛ラインで、前回オオカミとコボルドが乱戦している間に、もしオオカミの一匹がコアルームに入ってきたら、その時はもう敗北確定になってしまう。
やはり防衛ルームを増やす必要があると決定して、今ある防衛ルームと同じ大きさのルームを二つ増築した。
そしてそれぞれの防衛ルームにコボルドたちを配置して、また前回試しに召喚したオオカミをコアルームの番犬として直接私を守るように配置した。
次は自分のレベル上げが問題になる、レベル上げて自分のDP上限を増やさない限り、モンスターたちの維持費だけでそろそろDP上限に達して、これ以上の召喚と強化はもうできなくなる。
悩みながらダンジョンの拡張とコボルドたちの召喚と強化を整えしつづ待っていたが侵入者が現れなかった。
(来るなら来ると身の危険があるけど、全然来ないのも成長できないなぁ)
こうして悶々としたさらに数日を過ごして、ようやく侵入者が来た。
今回の侵入者がゴブリンだ、しかも前回のオオカミより数が多い、ざっとみたところ、少なくともダンジョンの入口だけで十匹ぐらいはいる。
やはりゴブリンはコボルドと同じように素のままでは弱いので団体で行動するでしょう、さらに数匹がうちのコボルドと同じように簡単な武器を持っている。
まずは数匹が偵察として入ってきたところ、第一防衛ルームに配置したコボルドたち囲んで袋叩きされ、あっという間に三匹のゴブリンを倒して、こっちでは損害なし。
やはりクラス付与と装備強化で成果が出てきたと一匹のゴブリンに対して、こっちは四匹のコボルドで対応できるのが大きい、数の暴力は偉大だ。
感心している間、外のゴブリンたちが一斉に侵入してきて、やはり乱戦が始まった。
こうなったら数の優勢が消え、単なる力比べになったが、こっちではまだ第二と第三防衛ルームの後備えがあるから、まだ慌てる時間じゃないと自分に言いながら観戦モードを継続した。
しかしどうやら心配しすぎでした。コボルドも数匹が倒されたけど、戦況はこっちが優勢のまま、ゴブリンがさらに数匹が倒されたら自分が不利だと気付き逃げ出して始めた。
倒された八匹のゴブリンを吸収してわくわくと自分を確認したけど、どうやら足りないのでレベルアップはなかった。
ところでゴブリンたちが我先にダンジョンの外に逃げ出したが、その中に一匹だけは怪我のせいで、足を引き摺ってなんとか脱出したが、ダンジョンの外まで追撃したコボルドたちによって倒され、その死体を持ってダンジョンに戻ってきた。
そのゴブリンを吸収したらちょうどレベルアップに必要な量に達してレベルがアップして『ダンジョンコアLv.3』になった。
(つまり……ダンジョン内で倒さなくても、配下が持ってきた獲物を吸収すれば成長できるのでは?)
これは大発見だ、ならばコボルドたちをダンジョン外に派遣して、オオカミやゴブリンが狩った獲物を持って帰れば、侵入者を待つだけでなく、より効率的に自分の成長を促せるでしょう。
ならば早速予備隊を第一ルームに補充して、その他に二匹のスカウトコボルドと八匹のファイターコボルドを探検隊に編成して、ダンジョン外で狩りと命じて出発させた。
約半日後に狩りに行ったコボルドたちがオオカミとウサギ二匹を持って帰ってきた、しかしスカウト一匹とファイターのコボルドが二匹減って、残りのコボルドも多少怪我している。
(やはりそう簡単にはいかないだね……)
でも外敵の侵入を待つより、ダンジョン外で敵を倒してもらったほうが私が安全だし、時間的に効率もいいから、ここはコボルドたちが頑張ってもらうしかない。
とりあえず怪我して帰ってきたコボルドをどうしましょう。
ダンジョン能力のリストを眺めながら、傷薬を与えて自分で治療できるかなと思ったところ、【増築】の【オブジェクト設置】に「癒しの泉」という項目を気付いた。
もともと「松明」しかないから、あんまり気にしていなかった項目だが、私のレベルアップと共にできることが増えている、というよりDP上限が400になったから、リストに加わったでしょう。
設置費用のDP400を支払って「癒しの泉(小)」を第三防衛ルームに設置と共に怪我しているコボルドたちを配置したら、コボルドたちが自主的に泉のところに移動して泉の水をぺろぺろしながら、水で自分の傷口を洗う動きを始めた、これなら大丈夫でしょう。
その後さらに数日の間にコボルド探索隊を派遣したが、成果はそこそこだの代わりに損害もそれなりに、成果なしの日もあるし、そのまま全員が戻ってこなかった日もあった。
自分の視界がダンジョン内しか及ばないから、外はどうなっているのもわからないから、どうしようもないと悶々とした日々を過ごしたら、一つ新発見があった。
ある日探検隊が帰って癒しの泉で休息するコボルドを観察したら、その中一匹のステータスに変化があった。
種族:コボルド
レベル:1(↑)
クラス:ファイター
スキル:なし
装備:なまくらの銅製短剣、木の盾
その(↑)を観察したら【DP5】と追加の吹き出しが出てきて、支払うと念じたらそのコボルドがレベル2になった。
どれほど強くなったがよくわからないだが、配下が戦いを経験して、さらに私がDPを払えば、素の能力を底上げることがきる。
これならどんどんコボルドたちを派遣してさらに強くなってほしくなってきた。
しかしそんな楽観視も翌日で挫折した、そのレベル2のコボルドが探検隊メンバーとして出掛けたまま戻らなかった。
レベルが2になったと言っても、そこまで強くなったとは限らなかったということでしょう。
(やはりさらに戦力の増強方法が必要だね……)
数の暴力だけでなく、質的に向上も考えたほうがいいだね。
コボルドの数はすでにある程度確保したから、試しにワンランク上のモンスターを召喚した。
召喚したのがコボルドの上位種であるワーウルフ、素の費用はDP150、それなりに高い、さらに色々強化したら、一匹のワーウルフで現在私のDP上限半分以上を使ってしまった。
外見的にはコボルドの二倍身長があり、コボルドと違い全身の体毛が少し減り、はっきりと強そうな筋肉が見える、かなり頼りになりそう。
種族:ワーウルフ
レベル:1
クラス:ファイター
スキル:強打
装備:なまくらの鉄剣、木の盾
わくわくしながらワーウルフを探検隊に編入して、コボルドたちと共に狩りに行かせた。
待っている間に若干DPが回復したからもう一匹のワーウルフを防衛要員として召喚し、第一防衛ルームに配置したところ、ダンジョン内に数匹のゴブリンが侵入してきた。
(ちょうどいい所だ、これでワーウルフの強さを検証できる!)
早速観戦モードにしてワーウルフの戦い様子を見た。
感想としては圧倒的だった、ゴブリンたちがワーウルフの登場を見た途端すでに若干弱腰となり、さらに力の差も歴然としたものであった、一刀両断とはいかずともほぼ一撃でゴブリンを倒すことができる。
ただし、ワーウルフが強いだと過信することもできない、一対一では不利だと思ったゴブリンたちがすぐさま数匹でワーウルフを包囲して多方向から攻撃を仕掛ける動きを始めた。
ここでコボルドたちもいい働きをした、ワーウルフが包囲されないように敵を邪魔したからこそワーウルフが効率的に各個撃破することができ、そう時間をかからずに初めて全員ほぼ無傷で防衛成功することができた。
程なくして探検隊も獲物を持って戻ってきた、やはりコボルドたちは多少怪我したけど、減員なく全員戻れることに喜びましょう。
これならコボルドを補助要員として数を確保しながら、余裕があればもうちょっとワーウルフを増えたほうがいいでしょう。