辺境の町フルカ
昼過ぎにようやく町が見えるようになった。
「では、アルベール様、ゲッツ殿、俺らはギルドに向かうから失礼します」
「ゲオルク殿、今回の協力に感謝する」
同じく町に入るのに冒険者はここで騎士と兵士たちに別れを告げた。
なんでだろうと小声でハンネスに聞いてみた。
「俺ら冒険者は特に依頼を終えて戻る時には大体町の西門を利用する、そこにはギルドの清算所があるからだ」
「任務完了の報告と獲物などの引き渡しはあっちで処理する、さすがに獲物を引きずって町中に歩くわけがないからな」
なるほど、だから冒険者は兵士や一般の人とは違う門に向かうのも納得する。
「お嬢ちゃん、俺はもう男爵の所に行くから、先にこいつを渡す」
騎士が私に小さいな布袋をくれた。
「き……アルベール様、これは……?」
「そう多くないが、これからの君に役に立つだろう、君の人生はまだ長い、悪いことがあったが、きっと良いこともあるから、辛くなった時にルーテル殿に頼ってくれ」
「ありがとうございます」
どうやら布袋の中身はお金だ、町に来てよかったものの、確かに私は無一文だった、助かる。
「子供一人で生きていくのは大変だから、頑張れよ」
騎士の人が私を励ましながら頭をなでなでした後、神官の人にも困ったときはいつでも教会を訪ねてほしいと言われた。
最初は私であるダンジョンコアを狙ってきた人たちだから警戒していたが、この人たちは普通にいい人だ、むしろ瘴気の件をはじめ、迷惑をかけたのは私だから、いつかこの人たちにも恩返しをしたい。
騎士たちと別れて私は相変わらずにハンネスに抱きかかえたまま、町の外縁部を沿って西門に向かう、途中で武装する人やその集団の中で台車を引く人も見えてきた、多分大量の獲物を確保した冒険者だろう、皆が同じく依頼帰りで西門を目指している。
そして、多方面から私が注目の的になっている。
「ハンネス、町に入ってギルドに行く前に、お前が先にこの子を連れて服を買いにいけ、悪目立ちすぎる」
確かに私は抱きかかえた上、大人用のマントを着ているが中はほとんど肌色だから、注目されるのも仕方ない、ここはゲオルクたちためにも早めにちゃんとした服に着替えたほうがいい。
西門には一般的な出入り口以外にもう一つ大きな入口がある、そのは冒険者用の門を通ったらすでに室内であった、中では冒険者と事務員の人が溢れている、獲物の清算などが行われている、そして事務員の人がその獲物をさらに裏の部屋に持っていく。
ゲオルクは真っすぐにカウンターの所に行き、今回の任務の顛末を報告しているらしい、私は残りのメンバーと休憩所みたいなところで待機。
「嬢ちゃん、ここで待っている間に君のこれからの考えを聞こうか」
「私は目標として冒険者になりたい、でも先に住み込みの仕事を見つけたい」
「嬢ちゃん……仕事を見つけたいのはいいけど、俺が言うのはどうかと思うが、冒険者になるのはやめとけ」
「ハンネス、それはいいじゃない?これもこの子の希望だし」
「マティ、俺らは命に関わる仕事だ、せっかく拾った命だから、もう危険なことやめてほしい」
「それも彼女の選択だったら俺らが口出すのも見当違いだし、女性が冒険者になれないこともないし、好きにさせれば?」
「アンゼルム、お前もかよ……」
「いいか嬢ちゃん、お前が魔物に対して憎い気持ちを持っているのもわかるが、戦うのはお前には無理だ、あいつらを倒すことは俺らに任せて静かに暮らした方がいいぞ」
憎いとかの気持ちは持っていないだけど、どうやら何か誤解されている、私はただ自分で魔石を手に入れる方法として冒険者になりたいだけだ。
うまく返事ができない時にゲオルクが戻ってきた。
「待たせたな、これからはギルドに向かうぞ、嬢ちゃんのこともそこで相談に応じるだから」
「ゲオルク……この子が冒険者になりたいって……」
「嬢ちゃんが!?」
今度はゲオルクが信じられない顔でこっちを見ている。
もう一度自分の計画を伝えたらゲオルクは眉をしかめながらほぼさっきハンネスの言葉を復唱するように言い聞かせれた。
「とにかく俺らは先にギルドに行く、そっちは服を着替えてから合流しに来い」
その後ハンネスはここの事務員の人に頼んで私用の服一式を買ってきてもらった、騎士の人からもらったお金で代金を支払う時にハンネスが先に支払った。
「これぐらいは俺が払うから、お前は向こうの小部屋でさっさと着替えてくれ」
かぼちゃパンツに厚い生地のワンピースとエプロンがセットの服、革で出来た靴、着替えが終わったら完璧な町娘や村娘のスタイルになった。
このような地味な服は目立ちたくない私にとってはすごく助かる。
「何だ……この外見と服装のチグハクな感覚は……」
若干頭を抱えたハンネスからはいい評価はもらえなかった。
でもこれでようやく恥ずかしい抱きかかえられながらの移動から卒業することができる。
清算所からそう遠くない所にギルドがあった。
中には依頼を出す人や冒険者などがギルドの中で賑やかで溢れている。
すごい人混みだけど、アンゼルムがすぐ私たちを見つけてゲオルクのところに連れて行った、その後彼はすぐマティと飲みに行くからと言ってギルドを出てた。
「ちょうどいいところだ、ギルドから話をつけた」
「ハンネス……これは別の意味で悪目立ちになっているぞ」
ゲオルクもさっきハンネスのような反応になっている、皆がそんな反応をしたら、逆に私の身なりに何か問題があるかもしれないと思ってきた。
しかし、服の着付けはちゃんとしているし、特に変なところはないと思っている。
「とにかく嬢ちゃんが希望した住み込みの仕事を紹介するから、ついてこい」
こんなに早く見つけられるとは思わなかった、ウキウキしながらゲオルクの後ろについてギルドを出た。
「あの……ゲオルクさん、紹介してもらえる仕事はどんな仕事ですか?」
「あぁ、安心してくれ、普通の宿屋の手伝いの仕事だ、ギルドにも求人を出してるし、俺らも知ってる所だから問題ないと思う」
「しかし……君は大丈夫か?」
「はい、大丈夫です、頑張ります!」
「それとやはり冒険者になるつもりか?」
「はい……」
ゲオルクはため息をして突然歩きを止めて、私の目線に合わせてしゃがんで話した。
「嬢ちゃん……出来れば諦めてほしいものだが、そこまで決意を固めているなら、せめて色々準備してからにしろ」
「この後宿屋の主人になるべく自由時間を与えられるよう交渉するから、その時間を利用して冒険者としての訓練なり学習なりをしなさい」
「ゲオルク!?」
「ハンネス、お前が言いたいことはわかるつもりだ、しかしこの子を自分でむやみに冒険者として活動させるのほうがむしろ危険すぎる」
「嬢ちゃん……いいえ、セレスティ、冒険者になろうとしたら、少なくとも自分の身の安全を自分で守れる必要がある、だから自分で装備を整えるまでの間に町近辺の採取活動だけにしなさい、少しでも危険を感じだらすぐに逃げなさい、これだけを約束してくれたら、お前の冒険者登録に俺はもう反対しない」
ゲオルクは本気で私のことを心配している、でもいつかは女神様への恩返しをするためにも旅に出るつもりだから、ここは約束をする。
「それともし冒険者活動を続けたらいつかウェルネックという町に通ってくれ、俺らが所属するクランの拠点はそこにある、そこのギルドに赤き角笛か俺の名前を出したら場所は教えてあげるはずだ」
「わかりました、ウェルネックの町ですね、いつかはお尋ねします」
話は終わったらゲオルクとハンネスは無言のまま歩き出した、しばらくすると私たちは目的地の宿屋に到着した。




