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ダンジョンコアも世界を回りたい  作者: 二酸化炭素
11/25

戦いの後

 

 ゴブリンとオークが我先に逃げた後、戦いが終わった。


「嬢ちゃん、もう安全だ皆のところへ行こう」


 スキンヘッドの冒険者は私の手を握って外に出ようとした。

 急なことで思わず踏みとどまった、思い返せばここでダンジョンコアとして目が覚めたから、ダンジョンの出入り口を通して見た風景以外、私はこの世界のことはまったくわからない。

 この人たちに自分がダンジョンコアであることがばれることと未知の外に行くことに恐れて私は躊躇った。


「大丈夫だ、皆がお前を助けに来たから、さぁ向こうに行こう」


 スキンヘッドの冒険者は私に向けて笑顔で話しかけてきた。


 (この状況で一人でこの場を離れるのは多分無理だろう……)


 仕方なく大人しく付いていって初めて洞窟の外に出た。


「うぇ……」


「嬢ちゃん、大丈夫か?やはりちょっときつかったか」


 洞窟の外は血生臭い匂いが充満している。


 自分がダンジョンコアであった時、ただ目で戦いを見ていた、配下が倒されても光る粒子になって消えていく、ゴブリンなどは死体が残るけど、すぐ消化したから、じっくり見るつもりもなかった。

 正直に言うとダンジョンコアの時に何者かが死んだという実感はほぼなかった。


 しかし、今は体を手に入れてから、地面のあっちこっちに転ぶ死体が目の前にあって、匂いを感じることもできる私にはショックは大きすぎる。


「嬢ちゃん、これでちょっと我慢しときな」


 急にスキンヘッドの冒険者が私を抱き上げて、自分のマントで私を覆った。

 しかし血生臭の匂いに変わったのはきつい汗臭の匂いでした。

 しばらくすると兵士たちのところに着いたら私は地面に降ろされて解放された。


「治療が終わって動ける奴は仲間の回収と魔物の片付けを始めろ」

「おぉ、ハンネス、この子には怪我とかは大丈夫か、もし必要があればこっちで治療する」


「怪我は大丈夫そうだが、ここはこの子にとってちょっときつい」


「たしかにな、嬢ちゃん、とりあえず皆のところに来て、ここならもう安心だぞ、水とか飲める?」


「ほら、嬢ちゃん、これは携帯用の干した果物だ、疲れた時に食べるものだ」


 先まで兵士たちを指揮していた人が水袋を渡してくれた時にスキンヘッドの冒険者も自分のポーチから食べ物出してくれた。


 今のところばれるとか疑われる気配はない、むしろ好意で接してくれる。

 緊張の糸が切れて、疲労感が一気に襲ってきたから、適当なところを選んで地べたに座り込んだ。

 スキンヘッドの冒険者はこんな私を見て、さらに自分のマントを私に渡した。


「嬢ちゃん、このままでは寒いからこれを羽織ってくれ」


 下を向けて自分の服を見ると、一気に顔が赤くなった。

 さっき洞窟内で何度も叩かれて、壁に吹き飛ばされたから、今着ている服が所々に大きく破れて、体全体はかなり肌色が露出している。

 このスキンヘッドのおじさんは顔が怖いし筋肉モリモリで威圧感満点だけど、優しい良い人だ。

 ちゃんとお礼を言ったら、彼は若干照れくさくてささっとこの場を離れた。


 もらった干し果物を一口噛んでみたら、口の中が強烈な酸味でびっくりして思わず口を覆った、急いて水袋から水を腹の中に流し込んだ後、残ったのはほんのりとした甘さ、確かに疲れた時に食べたら目が覚めるものだ。

 最初はびっくりしたけど、ちょっとずつ水と合わせて食べれば、結構美味しい。


 しばらくすると洞窟に入った騎士と他の人が出てきて真っ先にこっちに向かってきた。

 三人とも深刻な顔で圧迫感満点で地面に座ってる私を見下している。


「お嬢ちゃん、俺は騎士アルベールだ、君にいくつか聞きたいことがある」


「はっ、はひぃ……」


 この人はさっきあの大きなオークを倒した人だ、もし自分がモンスターであることがばれたらこの場で殺される未来しか見えない、だからこそここは大人しく対応して、ばれないように頑張るしかない。


「そう怖がらなくていい、怖いこと遭ったばかりだけど、覚えていることだけで大丈夫、落ち着いて答えてほしい」

「まずは君があの洞窟内で輝く石のような物を見たか」


 (輝く石……多分私であるダンジョンコアのことだろう、ここは見てなかったことにしよう)


「いいえ、そんなものはありませんでした」


「つまりコアが何かに取られた後に連れてこられたか……」

「次にあの大きなオーク以外に変な魔物を見たか」


 あの大きなオーク以外なら奇妙な装束と杖を持つゴブリンしか見なかったことを答えた。


「例の魔物はすでにこの場を離れたか……ゲオルク、君のチームに引き続きこの森をさらなる調査を依頼したいけど、いけるか」


「アルベール様、申し訳ございません、こちらは一度ウェルネックに戻り今回の仕事をギルドと所属クランに報告しなければなりません」


「そうか、すまなかった、ならば俺は領都で改めて依頼を出すから、もし依頼がそっちのクランに回したら受けてほしい」


「ありがとうございます、その時は自分で志願する」


「あぁ、頼む」

「さて、お嬢ちゃん、君を家に送るから君の名前と家を教えてくれ」


 私の名前……名前はわからないし先まで家はあの洞窟だし、正直に答えると怪しさ満点だけど、どうしよう……

 私が悩んでいるところを見た冒険者が先に口を開いた。


「アルベール様、フルカの町に戻たら一度この子を町に預けよう」


「ゲオルク、彼女は子供だぞ!こんな子供を一人でどうやって生活できるんだ!?」


「町とギルドでは救済措置があります、またこの子の年齢的には教会に預けることもできるはず、それに……」


 どうやら騎士と冒険者は私を孤児院みたいな所に送るつもりだ、しかし気になるのはあの冒険者は言葉の最後に何かがなかなか言い出せなかった部分がある。


「あぁ、そっか、すまなかった」

「ゲオルク、君が正しい、ルーテル殿、この件について協力してもらえないでしょうか」


「教会に預けることは協力するつもりです、ただし教義規則としては教会に入ることは彼女本人の意思でなければなりません」


「そうか、ならばお嬢ちゃん、フルカの町に到着するまでにこれから自分はどうするかをよく考えてほしい」


 最初の目標としてはとりあえずここから離れて人里を見つけることだ、付いていけば人里まで案内してもらえるメリットがある、同時にこの人たちに自分がモンスターであることがばれるデメリットもある。

 しかしこの人たちから逃れない以上、大人しく頷いて同行してその後のこと考えたほうがいい。


 私に関する話はここで終わったみたいな時、兵士の隊長がこっちに来た。


「アルベール様、片付けは終了しました、次の指示をお願いします」


「これからは一度フルカに戻る、すぐに出発の準備を」


 騎士の人が町に戻る指示を出すと明らかに兵士隊長の顔に安堵の色が見えた、確かに兵士さんたちのほとんどがすでに負傷して疲れ切っている、これ以上この森で戦うことができないのは私でもわかる。




 あの場を離れてフルカの町に戻る途中、俺らは森の中で兵士隊と一緒に野営をしている。

 アンゼルムとマティは深夜哨戒が控えてるから食事後に先に休んだ、俺とハンネスは兵士隊と共に野営地内で哨戒しているところ、騎士のアルベールがテントから出てこっちに向かってきた。


「ゲオルク、さっきは助かった、あの子に対して俺の気遣いが足りなかった」


「いえいえ、あの子は服がすでにボロボロだけど、外見や髪の手入れなどから見ると金持ちの商家のお嬢様か、もしかするとどこかの貴族様のご令嬢だろう」


「しかしあんな目に遭ったから、いまさら家に戻って腫れ物扱いされるのは嫌がってるから名前と家は言いたくないってことか……」


「そういうことです、アルベール様」


「しかし彼女の見た目はまだ十歳ぐらいなのに……やつらも惨いことをしたな……」


「だからこそ、あいつらを根絶するのが領主様と俺ら冒険者の仕事です」


「あぁ……今度出会ったら一匹残らずにな」


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