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ダンジョンコアも世界を回りたい  作者: 二酸化炭素
10/25

お茶を濁そう

 

 あのオークが洞窟の外に出ていたら、外から大きな剣戟の音が聞こえ始めた。

 もしかすると今ならこっそりここから離れるかもしれない。


 ゆっくりと洞窟の出口に移動して、あと少しで外に出られる時に、急にまた出口が大きな人影によって塞がれた。


「おっ、嬢ちゃん、無事か?今外は危ないからそこでじっとしてな!」


 このスキンヘッドの冒険者は敵意がないだけでなく、私を外のゴブリンなどから守ろうとしている。

 先の大きなオークみたいにいきなり攻撃されるかと思ったが、まさか破壊ではなく、私を捕獲するつもりか?


 そう思っている間、冒険者は外を警戒しながら背中からやや心配そうな声で話しかけてきた。


「嬢ちゃん、もし怪我があったら、俺の後ろ腰のポーチに回復薬はあるが、今両手が離せないから、自分で取り出しな」


 (あれ……嬢ちゃん?あっ、そうか!)


 今の私の外見は人間の女の子だから、この冒険者は私がモンスターと認識していない、オークに攫われた人と思われているでしょう。

 今日はいきなり色んなことがありすぎで、今の自分の見た目はもうダンジョンコアではなく、人間の女の子であることをすっかり忘れってしまった。


 ならばここは大人しく従いましょう。

 もし冒険者たちがあの大きなオークを倒してもらえれば助かすし、さらにこの人たちから人里までの道を聞けるかもしれない。


 しかし、大丈夫かな、この前のことで冒険者たちが強いことはわかるけど、あの大きなオークは多分さらにその上だと思う。


 こっそりとこの冒険者の後ろから顔だけを出して外の様子を見ていたら、全身鎧の人は体中がキラキラして、しかもあの大きなオークと互角に一騎打ちをしている。


「えっ?何……その人は……」


「あぁ、お前は初めて見たか、あれは騎士様だ、安心しな、騎士様ならあのオークを簡単に倒してくれるからさ」


 まさかこの冒険者たち以上に強い人がここにいると思わなかった。

 確かにこの二人組はあの日で一度帰った、その理由はまさかもっと強い人を呼ぶためだ。

 しかも向こうの奥には同じ服装と武装でゴブリンとオークと乱戦している人たちも見える、あれは多分軍隊の兵士だろう。


 (私を破壊するのが本気すぎるじゃない!?)


 この二人組だけでもう配下は全滅されたのに、さらに強い騎士と大勢の兵士を連れてくるのはひどすぎる。


 でも確かにこの騎士がいればあの大きなオークを倒してもらえるかもしれない。

 その後は自分がダンジョンコアでありモンスターであることがばれないうちにささっと逃げましょう。


 (もちろん、私を守る配下を全部倒したことはまだ許していないからね)


 心の中で文句を言いながら外の戦いに集中する。

 あのオークは大きな斧でブンブン振りながら騎士を攻撃している、あの攻撃ならワーウルフも一撃で倒されるだろう、しかし騎士はうまく盾を利用して防ぎながら反撃している。


 時々騎士は斧を弾いたら後ろに一歩下がり、一呼吸を置き力をためてから剣を振る、この時騎士の剣は鎧と同じように淡く光を放つ、しかし光る剣の重い攻撃もあのオークの斧で受け止められる。


 この戦いはもはやどっちの体力が尽きるまで続くだろうと思った時、あのオークは数歩後ろに下がった瞬間、前回来たもう一人の冒険者は背後からあのオークの足を斬り、跪いたオークはそのまま騎士に突き殺された。


 (あれ……騎士の一騎打ちに手を出したらあの冒険者は怒られないかな?)


 あのオークが血だまりに伏せて、動けなくなるまでそう思っていたが、あの騎士は特に冒険者に対して怒る動きはなかった。


「さすがに俺らの隊長だ、お前も見たか、的確にして見事な一撃だ、しかもすぐ離脱した、あれはなかなか真似できるものじゃないぞ」


 スキンヘッドの人が歓声を上げながらまるで自分がしたようにあの冒険者を自慢してきた。


「もう安心しな、すぐに残りの雑魚どもが逃げ出すから、もう大丈夫だ」


 とりあえず大きなオークが倒された、残りのゴブリンとオークが全部逃げた、目前の危険は去ったけど、この後武器に向けられるのは私かもしれない。




「追撃はやめい、先に負傷者の治療をしろ」


 騎士のアルベール様がオークビッグウォーリアとゴブリンシャーマンを倒したおかけで損害は最小限に抑えたが、兵士隊はもうこれ以上戦うことができない。

 狭いダンジョンでアルベール様の補助するために連れてきた兵士の数は兵士長である俺を含めて20人しかいない、ゴブリンとオークの小部隊とやりあう想定ではなかった。


 うまく撃退できたが、こっちも結構やられた、生き残った兵士も多少負傷している、しかもここの瘴気はルーテル様のおかけで大分浄化したが、この場所以外の森の中ではまだひどい有様のままだ。

 だからこそ俺は追撃停止命令を出した。


 冒険者のアンゼルムはその隊長の指示で木の上から周辺警戒を継続しているからこそ、今のうちに兵士隊の体制を整えるべきだ。


 ルーテル様は浄化結界の維持で大分消耗したが、ゴブリンとオークが撤退したら、すぐにアルベール様とゲオルクを連れて洞窟に入った。

 彼らが出てくる前に俺は兵士隊と一緒に一休みして自分の緊急手当てをしよう。


「ユーク殿も今のうちに休んで怪我の手当てをしてください」


 ユーク殿は騎士見習いだけあって、今回の戦いではそれほど目立つ怪我していなかった。

 彼は俺より結構年下だが、立場的にはユーク殿が上だから、一応声を掛けた。


「平気です、自分も周辺の警戒をするから、あなた達は休んでください」


 有難い言葉だ、ユーク殿がそう言ってくれたから、兵士たちも安心して各自で手当てし始めた。




「ルーテル殿、ちょっと君の意見を聞きたい」


「アルベール様、瘴気の発生源はここであることに間違いはありません、そしてこの砕かれた岩と何らかの関係があるでしょう」


「しかしこの岩を砕けたのはあのオークだろう、つまり血刃部族は瘴気のばら撒きと関係はないと?」


「そう考えるのが妥当だと思います」


「それはともあれ、血刃部族がここで前哨基地を置くのは問題だ、もしかするとまだ侵略してくる可能性がある、しばらくはこっち方面に領軍で警戒しなければならない」

「ゲオルク、お前の意見も聞きたい」


「前回俺たちが来た時、ここは確かにコボルドとワーウルフのダンジョンでした、つまり考えられるのはここのダンジョンは俺たちが離れている間に他の魔物に踏破され、ダンジョンコアがその魔物に吸収されたと思います」


「あのオークがダンジョンコアを吸収したということは?」


「それは多分ないでしょう、あのオークは明らかに先の小部隊のリーダーです、つまり最初からやつはビッグウォーリアであると思われる」

「考えられるのはあのオークは血刃部族のオークロードの命令を受け、ここに前哨基地を築くために来たであろう」


「でしたら血刃部族以外に別の厄介な魔物もいるってことか……」


「アルベール様、この森の瘴気を全部浄化するには僕一人では力不足です、できれば伯爵様に領都の教会本部に要請をお願いします」


「あぁ、それなら問題はない、俺が今回の事を報告したら伯爵様はすぐさまに動くだろう」

「それにできればこの洞窟を使えないように潰したいが、今回は土魔法が使える人もいないから、これ以上俺たちができることはもうない、とりあえず一度戻るとしよう」


 洞窟の外に向けて歩いているアルベールが急に思い出したのように歩きながら後ろの二人に聞いた。


「そういえば、攫われた女の子がいたな、あの子は無事か?」



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