「Solicitation」
「それで……どうしたんすか?こんな裏路地みたいな場所に連れてきて?」
マツキは人気の無い場所に不信感を抱いているだろう、だがここならバレることは少なからず無いだろう。
「単刀直入に言う、お前魔法が使えるのか?」
俺の言葉にマツキは拍子抜けしたような声で小首を傾げた。
「ま、魔法??」
「あぁ…最近噂になってるのが【スカートを履いている女性や女子高生にだけ吹く謎の風】、【元々半グレ達が占領していた倉庫がある日突然居なくなって以来誰も倉庫に来なくなった】、と言う謎の噂だが心当たりはないか?」
ただの噂だが常人や狂人でも不可解な出来事だ。
「・・・・聞いたことないっすね」
なる程、当たりか。歯切れが悪くなるのは何か後ろめたいことでもあるのだろう。
「そうか、悪かったな。てっきりお前がやったものだと思ったが俺の勘違いのようだな」
特に咎めようだなんて思っていない、だがマツキはかなりの腕っ節が強く地球の情報能力について高く評価しているのだが人違いなら仕方無く諦めようとしたその時サクラは首を傾げながら言い出した。
「あれ?謎の風って……ユーゴ君じゃないの?」
サクラの言葉にマツキは言葉を漏らす。
「な、何だよ急に??」
「だ、だってこの前室内なのに私とその場にいた女の子のスカートが捲れたからユーゴ君が変な機械でも使ったのかな〜ってユーゴ君よく変な機械とか持ち歩いてるからそれじゃないの?」
「あれはスマホとかカメラだぜ?急にユカリの可愛いパンツ見えたから写真に収めよ―――― いっでででで!!?」
マツキは墓穴を掘ってしまったのかユカリは渾身のコブラツイストが炸裂する。あんなか弱い女に技を決められるとは無防備の奴だな。
「その写真消して!!それかユーゴ君とこの話して!」
全く緩める気の無い攻撃にマツキはギブアップと言いながらサクラの股下にスマホを忍ばせようとしたが背負い投げされ仰向けの状態で腰を降ろした。
「や、柔らかいな…女の尻ってもんはさ」
「それが遺言でいい?」
わなわなと殺意ある顔でもマツキは何故か幸せそうだ。
「ユカリ??何する気だ!?ちょっと待て!!」
「大丈夫、私のいかがわしい写真を消すだけだから♪」
「それ、スタンガンっすよ??」
バッグから取り出した黒い物体は撃退用スタンガンだ、今時の女子高校生は物騒なもん持ってるな。
その後サクラの容赦無いスタンガンにマツキは気を失う羽目となったが結局話が拗れただけだったな。
☆★☆★
「いっちち……全く酷いめに遭ったぜ」
まさか女に技を決められるとは思いもしなかったが彼は無事のようだ。
「それで……噂になってる正体が俺だと言いたいんすか?」
その言葉に俺は迷いも無く頷く、マツキの返答はどうだろうか?
「確かにしかに俺は色んな奴とダチだから色んな情報は掌握している、喧嘩だって嫌いじゃねー寧ろ好きさ。だが旦那の言う魔法ってのがよく分からねぇな、」
俺は一通り魔法について教えてることにした、実際使うと俺の魔法だと大惨事になるかもしれないので影でコソコソしている奴を呼び出すことにした。
「そこで何をしている?」
背後から感じる巨大な魔力反応に溜息混じりだが彼女の存在を感じる、虚空の壁を見つめていると突然空間が歪みその正体が現われた。