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幻影道 第四巻   作者: SAKI
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「Nightmare」

 サクラはとても懐きやすい女なのか俺の事を誤解していたのか警戒心が薄れた気がする、最初は一人分ぐらい離れていたが今は頭を撫でられるぐらい傍にいる。だからといって言いなりや尻軽女とは別で彼女は今度奢りたいと近くのふぁみりーれすとらん?と言われる場所に連れて行くと興奮しながら伝えてきた。


 よく分からんが恐らくジャンクフードがメインの家族で楽しめるレストランのことだろう。知らない場所に行きたがるのは人間の性なのかそれとも俺が刺激を欲しているのかもしれない、今度からは誰かしらにでも連れて行ってもらおうとするか。


 俺は帰宅してソファーに腰を掛けながら思いを耽った。俺は風の噂で引き籠もりと言われるが俺は別にそれが好きでやってる訳じゃない、情報収集の為に星の観察、天気、生物の活性化、と言った環境の変化を調べているだけで基本家には居ない。それが俺の仕事、外でも中でも仕事をしてるせいか姉さんから息抜きをしろとか人生楽しんでる?と同じ事やってて幸せ?と姉さんだけには言われたくは無いが少なくとも常人には苦痛でしかないだろう。しかし俺にはこれしかやることが無い、姉さんの為に幸せと感じる事を壊し、不幸を突き飛ばして生きてきたが後遺症が残ってるのが唯一の不幸だが人間万事塞翁が馬自分の人生の幸せ不幸せなんざ予測出来る者などいやしない、もしかしたらこの後遺症がいつの日か治せる時が来るかもしれんからその時は風の流れるように身を任せよう。


 そんな事を浮かべながらソファーで横になっているといつの間にか姉さんが帰って来ていた。頭がボヤけているのか少しの間時間が掛かった。


「そのまま寝てれば良かったのに、お姉さんがお部屋で寝かせたかったのに…」


「姉さんが今日もそこら辺で寝たり裸で出歩かないか心配でな」


「もぉ〜!お姉さんは裸じゃないもん!」


 下着一丁でウロウロする女は返って迷惑だと思わないのかこの女は。仕方なく起き上がると毛布が掛けられていた。


「今…夏だぞ?」


「それでも夜は涼しいでしょ?大好きな弟が風邪を引くなんて嫌だもん」


 照れくさく笑う姉さんの言葉はどれも本物だ、家族の幸せを一番に願う彼女だがそれ以上愛されているのは恐らくサクラと俺だろう。


「そもそも帰って来てもうお風呂に入ってるから後は寝るだけよ」


「夕飯は?」


「お腹空いてない、ローグちゃんはもう寝るの?」


「いや、夕飯と風呂がまだだな」


「そっか、んじゃあお姉さんがご飯作るから入っておいで♪」


 いつになく優しい姉さんだがあまり機嫌は良くないみたいだ、いつもなら駄々を捏ねて風呂一緒に入りたいとか一緒に寝ようとか言うのだがストレスのさいか目元が少しクマが出来ている。姉さんの厚意に礼を言うと俺はさっさと風呂に入ることにした。


☆★☆★ 寝室 (エインデ)


 風呂を少し早めに済ませリビングに向かうもそこに姉さんの姿はなく軽食を済ませ、やるべきことを終わらせて部屋に行くとそこには姉さんがベッドで横たわっていた。


「姉さん、大丈夫か?」


 声を掛けると何やら魘されているような息が荒く肩を強く揺さぶると急にガバっと起き上がった。


「はぁ…はぁ……はぁ……」


 汗だくになっている姉さんに取り敢えずタオルを渡す、最初は興奮気味で支離滅裂だったが落ち着かせると呼吸を整えて冷静さを取り戻す。


「ごめんなさい、またあの夢を思い出しちゃった」


 姉さんは未だに悪夢を見る、【サクラハルカの殺害】を。何度も払拭しようにも何故か見てしまう悪夢、抗うことすら許さない姉さんの罪、それが一番過去の核心を触れてはいけない禁止ゾーンなのだ。


 俺は心を休ませる為好きなココアを作ってやる事にした。部屋を後にしてキッチンに向かう。

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