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幻影道 第四巻   作者: SAKI
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「歪曲」その2

 私はその事をユカリちゃんに聞かせた、推測も多いが決定的な事実は確かだ。


「つまり………私の両親とゆいゆいの両親の間に産まれてきた子供ってこと?」


「うん、確かに親子で瞳の色が違うって言う話は分かる、でもそれは若干の変化でありほぼ遺伝はするはず……それなのにどうしてユカリちゃんは有り得ない瞳の色をしてるのか、答えに辿り着くと【姦通】、つまり不倫していた可能性………それか最悪…………」


 その事で私は口籠ってしまった、絶対にあってはならない事……これはユカリちゃんの人生が大きくネジ曲がってしまう…これは止めておいた方がユカリちゃんの為になるのだろうか?


「ゆいゆい?」


 こんな子をまさか最低な行為目的でやったと思えば私は絶対に許さない。


「どうしたの??」


 こんな潤んだ瞳に優しい女の子を………


「クローン」


 その言葉にユカリちゃんはピタリと止まった。

決して許されない非人道的な行為、産まれたと思っていた事がその言葉に全て狂ってしまった。


「えっ?」


 もしその研究員が【作ったクローンの試作】と勘違いしていたら・・・もしくは逆パターンでハルカがクローンでユカリちゃんが本物か・・・だがどちらにせよユカリちゃんは不倫した間の隠し子だという事実には変わらない…血は四種類で四通り、そして答えも四通り、【親同士での不倫】、【性行為した後にもう一人での性行為で孕んだ】、【別の人間との子供】【そもそも人間ではなく創られたニンゲン】だ。


 私の言葉を聞き終えたユカリちゃんは言葉を失った。自分は妊まれた人間ではなく創られた人間だと自覚してしまったら人はどんな反応をするのか、答えは哀れみでしかなかった。


「そう………なんだ………私………人間じゃないんだ」


 クローン人間は本当に【ニンゲン】と呼べるのか分からない。そこまで行くと理論やら哲学の世界に入ってしまうがそんなことどうでもいい、現に自分はクローンだと自覚させてはいけない気がする。それが記憶が無い子どもだとしても私はお姉さん失格だ。


 直向きに生きて誰かの為に戦っている、でも所詮は魔法の使えない一般人。少し特殊な生い立ちなだけで異世界に手を出していなかったら何も変わらない。それはユカリちゃんが一番分かっている、それでも人間として誰かの為に尽くしたいと願って健気に付いて来ている、だが自分がクローンだと知ったらどうなるのか・・・仮に腹から出てきても婚約した二組よ別々の血が混ざった身体なんて聞かされたら言葉を失ってしまう。


 ユカリちゃんは俯き悲しそうにしてるのに涙が流れなかった。

 

「ユカリちゃん・・・」


 手を伸ばして肩に触れるが避けられた、その代わり言葉を告げられた。拳を強く握り、真っ直ぐに口を動かした。


「それでも私は・・・【ニンゲン】として生きていうよ、私は負けない……どんな結末を辿ろうが私はゆいゆいの為に、家族の為に戦う。クローンでも楽しく暮らして生きていけるってお姉ちゃんに見せてやるんだ」


 ユカリちゃんは負けなかった、私とは違かった。

彼女はどこまでも守る意思を貫き、瞳は真っ直ぐにルビー色を輝かせ立ち上がった。


「ゆいゆい、たとえどんな事があっても私は戦士は辞めないし逃げないよ。事実を受け止めてあんな人達にならないように頑張るよ」


 なんとあの娘は心にダメージを受けるどころかそれを糧にして前を向いたのだ、ルビーの瞳は更に輝きを増している。私には無かった痛みや悲しみを力に変えるものを彼女は持っていた、それがとても羨ましくて嫉妬してしまう。


「だからゆいゆい、これからも私を見てて。お姉ちゃんと同じくらい凄い人になるから!」


 決して吹っ切れてる訳じゃない、空元気でもユカリちゃんは頑張ってしまうだろう。でもその前向きな姿勢が戦士にとって重要な事だ、どんな批判や性別や身分だろうとも決して引かない心と自分の行う事に責任を持って取り組む人間はいずれ団長の座に腰を降ろす立場になるだろう・・・まだユカリちゃんは幼いし支柱が必要だけど将来性の感じる女の子だと悟った。


「元からユカリちゃんしか見てないよ?」


「ふえ!?」


 でもちょっぴり悪戯したくなっちゃう、照れるユカリちゃんが好き、笑うユカリちゃんが好き、怒るユカリちゃんも好き、悲しむユカリちゃんも好き。

私はユカリちゃんを抱き締めると同時に頬が熱くなった。


「大好き」


 やっぱり私はユカリちゃんと結婚する、絶対に諦めない、どんな奴よりもユカリちゃんを愛して認めさせてやるんだ、ハルカの時は失恋したけどユカリちゃんに猛アタックする、それで外れたら私はもう恋愛はしない。これが私の最後の恋愛なんだから。

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