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けんかはだめだよ
そんなこんなしてるうちに、俺達がかつて通っていた小学校に着いた。
「あ、意外と原型残ってる」
幼馴染の言うように、校舎は崩れている箇所もあるものの7割程はかつての姿を保っていた。
逆にグランドは地面の隆起でひび割れ、とてもじゃないが、立ち入れそうになかった。
「もしかして、誰かいるかも?」
「あー……だとしたら、なにかあっても勝手には持っていけねぇか」
「ふぅん、意外とモラルが残ってるのね」
「え?」
「こんな時に人の物も何もないでしょ?」
「……俺は平和主義者なんだ、略奪はしたくない」
「よく今まで生きてこられたわね?」
「まぁな。だから、こっそりと盗み出そう」
幼馴染は一瞬俺の顔を見ると噴き出した。
「それって、”勝手に持っていった”ことにはならないの?」
「人前じゃそうはいかないってだけだ。無駄に消耗したくないしな」
「確かに、そうだね」
妹も同意した。
「ОK、わかったわかった。確かにこのメンツじゃ、争いごとは避けたほうがよさそうね」
そう言いながら、幼馴染は俺の後ろに回った。
いざという時は俺を盾にする気満々のようだ。
「じゃあ、慎重に行くぞ」