僕と幼馴染の関係
家の外に出たのは、食糧を探すためだ。
別に生きながらえる為じゃない。
ただ単に、空腹が辛いからだ。
そんな事をしても、この終末世界では無意味だ。
生きている時間が少し伸びるか、もしくは無駄足に終わって、短くなるか――それだけだ。
それでも、苦しいのは嫌だった。
だから、いざという時のために、ころっと逝けるような薬も欲しかった。
でも、意外とそっちは見つからなかった。
要は早い者勝ちだった、それだけだ。
いや、この場合は負け、だろうか?
「あ」
「あ」
妹と家を出たタイミングで、お向かいさんの幼馴染とエンカウントした。
「元気?近親相姦ヤロー」
吸い切ってフィルターだけになったタバコを咥えながら、幼馴染はそう言う。
「随分な言い草だな」
「本当のことでしょ?」
「……お前だって、抱かれたくせに」
「試しに、ね。でも、アタシは断然こっち派だし」
幼馴染はどこかで拾ってきた泥だらけのオレンジ色の外装フィルムを叩いた。
断っておくが、幼馴染も元はこんなんじゃなかった。
真面目な優等生で、俺より数ランク上の進学校に通っていた。
それが、世界が終わり、家族が皆死んでしまえば、こうも荒むだろう。