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スズランなのに、、、

久しぶりになってしまいました。

有理が差し出してきたのは、スズランのような草だった。

ただし、異様に赤い花だけど。


「まみー、これね、えーとなまえなんだっけ?

あ、そうか、レンランソウっていうんだって!

すごくよくきくおくすりになるんだって‼」


「れ、連蘭草(レンランソウ)じゃねーか⁉

ボウズが見つけたのか⁉」


ドヤ顔が可愛すぎる!


じゃなくて、薬草なのか。スズランの癖に。


そしてリオンがめちゃくちゃ驚いてる。

せっかくのイケメンが台無しよ~別にいいけど、勿体ないから口は閉じようか。


とりあえず、【調べる】さんよろしくお願いします。


連蘭草(レンランソウ)】食用可 レア度B

中級体力回復剤の原料の一つ。

天ぷらがベストチョイス、味と体力回復の意味とで二重(ダブル)で美味い。


だんだん解説文に遠慮がなくなってきたな~いいけどさ。

むしろ私ナイズされつつあるのか?



「連蘭草!

俺たちが探してたやつ‼」


リオンがやたらと興奮してると思ったら、探し物が見つかって喜んでたのね。

でも、そんな素振りはあんまり見せない方がいいと思うけど。

まだ若そうだし、カワイイっちゃカワイイけどさ。


「おにーちゃん、これいる?」


コテンと首を傾げて聞く有理。

有理が見つけたものだから、有理のしたいようにしたらいいと思ってたけど、リオンは嬉しい、驚き、焦りなどの百面相をしている。本音は欲しい、だろうけど、子どもが見つけたものを横取りすることはできないし、でも欲しいしってな感じかな。

困ってる困ってる~。

別にストレートに「欲しい」って言えば、有理はあげるって言うと思うけどな。


困り顔のリオンに、助け舟を出してあげることにした。


「ねえリオン、どんな理由でその草を必要としてるかは知らないけど、欲しいならあげてもいいよ。」

「いや、しかし、、、」

欲しいけど、欲しいんだけど~~~って感じで渋るリオンがなんだかかわいく思えてしまうのは、私もオバサンになったってことかな。やだわー。


「じゃあさ、交換条件つけよう。」

有理を抱き上げて、ちょっと意地悪く言う。

「ここから一番近い町、もしくは村でもいい、連れて行ってくれないかな?」

「、、、それだけでいいのか?」


窺う様なリオンに、ニッコリと。


「あと、着いた後も当面の生活基盤ができるまで、サポートして。よろしく。」

「おにーちゃん、よろしくおねがいしますー」


空気を読んだ有理も、一緒にニッコリお願いする。


マジかーと手で顔を覆って天を仰ぐリオン。


「まあ、まずは後ろで呆れ顔のルーカスと相談してみて。」

「えっ?」

「リオン、どういうことだ?」

「えーっと、なんてーか、そのー。」


戦ってるときは盾でがっぷりと熊と組み合っていたカッコいいお兄さんだったリオンだけど、まだまだ腹芸は出来ないのかな。素直といえば素直か。なんて言えばいいのかと視線がさまようリオンに、ルーカスが苦笑する。

ルーカスは肩より長めの深緑の髪を後ろで一つに束ねていて、藍色の瞳のこちらもイケメンさん。

でもリオンよりも印象としては落ち着いているように見える。

もしかしたらリオンより1つ2つ年上なのかもしれない。

二人とも、見た目は20歳前半っぽいんだけど、いくつなのかな~?

そういえばさっきまで熊の解体とかしてた割に、ルーカス汚れてないな。

皮鎧とかは埃っぽいみたいだけど。手とかは洗ったみたいに綺麗、、、あ、そうか、川で洗ったのかな。

そんな風に観察していると、ルーカスが口を開く。


「なんとなく聞こえてたよ。

 連蘭草が見つかったんだって?」

「ああ、それなんだが、、、」

「彼女たちの条件も聞こえていたさ。生活基盤ができるまでってのが期間としてどれだけかが想定しにくいが、まあ、いいんじゃないか。

俺達には連蘭草が必要。彼女たちには安全圏までの保障が必要。

ソレの交換ってことで、町についてからは住むところと仕事の紹介をする、ってことでどうかな?」


最後は私に向かって提案するルーカス。

悪くはない提案だ。

疲れて眠くなってきていた有理は、抱っこしてたら完全に寝てしまった。

重い、、、

よっこいしょと抱え直して交渉再開。


「ちなみに、一番近い町まではここからどれくらいかかるの?」

「そうだな、だいたい徒歩で3日ってところか、、、」

「え、そんなに遠いの?」

ちょっと食い気味に聞いてみると、

「いや、まずは徒歩で3日ほど行くと、小さな村がある。開拓村だ。

 俺たちが拠点にしているオリオンって町までは、その村から馬車で4日だな。」

「馬車!?馬車で4日!?馬車か~~」


嫌そうに顔をしかめてしまったのを見咎めたリオンが聞いてくる。


「なんだ、馬車に何か嫌な思い出でもあるのか?」

ほんの興味だけで聞いているのだろう、きょとんとした顔だった。

「嫌な思い出っていうのはないけど、、、話だけ聞いたことがあるというか、、、乗ったことないというか、、、」

「へー、馬車に乗ったことねーの?」

「、、、」


リオンはあまり深く考えていなさそうだけど、ルーカスは訝しげな視線を隠さずにじーっと見てくる。


どうしようかな。

どうしたらいいんだろう。

なんて言えばいいんだろう。

平穏に、暮らしたいだけなんだけどな。

怪しさ満点の親子の面倒なんて見たくないよなー。わかる。わかるわー。


ホント、どうしよう。


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