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小川だった

有理と手をつないで下草を蹴散らして歩くこと10分くらい。

ちょろちょろと流れる水音が聞こえてきた。


「ゆー、水の音が聞こえてきたよ。もうちょっとだ、頑張れ!」


もうヤダ歩きたくないまみーだっこーおんぶーとブー垂れる有理を何とか宥めすかして歩かせる。

とりあえず水場だ。水場の確保が出来れば抱っこでもおんぶでもしてやるわと思いつつひときわ大きな木を回り込むと、苔むした岩や石に紛れてちょろちょろと流れる小さな川を見つけた。


よっしゃ、水発見!


タオ川とか書いてたけどこれのことかな、早速調べてみよう~。


【タオ川(源流)】清流 飲用可

もう少し上流に行くと湧き出すポイントがある。

エルノ山脈に降る雪の雪解け水が伏流水となり湧き出したもので、とても綺麗な清流。

下流には川沿いにいくつか町や村があり、ガラン海へと流れ込んでいる。



ありがとう調べるサン。

おかげで何となく大雑把な地理もわかったよ。

川沿いを歩いていけば、町や村があって、最終的には海に出るのか~。

よしよし、そうと分かれば川沿いを行くのみ!


「まみー、つかれたー、おなかへった~~」


おおっとそうだった。


「ゆーよく頑張ったね!えらかったえらかった。

ちょっと休憩して、さっき摘んだ黄色い実食べてみようか。」

「うん!たべるー!」


ニッコリ笑顔で万歳する有理。可愛い~さっきまでブーたれてたけど。


私たちはちょろちょろ流れる小川に近づき、川のほとりにゴロゴロしてる石の上に座った。

ちょうどよい平たい岩の上に抱えていた採取物を置き、バッグからさっき見つけた黄色い実を取り出す。

見つけたとき、見た目はぐみの樹だった。

だけど知ってるぐみの実は柔らかくて赤いけど、これは黄色い実でそれなりにしっかりしている。

ふにゃふにゃではない。これで完熟しているらしい。


【ぐりの実】食用可 レア度ランク外

完熟前は紫で、完熟すると黄色くなる。とても甘くて美味しい。


取り出したぐりの実を、小川で洗う。


「ほら、ゆーも手を洗って。」

「はーい」


その辺の大きな葉っぱもさっとすすいで、洗ったぐりの実をのせる。


「じゃ、いただきまーす!」

「いただきまーす!」


試しに一つ、食べてみる。


「「おいしー!!!」」


めっちゃ甘い!

うわー。アケビとかより甘い。

こんな山というか雑木林というか、とにかくこんなところに生えてるものがこんなに甘いとは思わなかった。

甘柿だ。

これ甘柿くらい甘い。


「まみー、おいしーねー」

思わず二人で顔を見合わせ、ニッコリ笑顔が重なる。

有理も気に入ったのかむしゃむしゃと食べる。

それなりに摘んでいたぐりの実は、あっという間になくなった。



「なくなっちゃったねー。でもおいしかった、またたべたいなー」

「そうだね、美味しかったね。また見つけたら食べようね。」

「うん!」



それからしばらく座って休憩し、有理に保育園での話を聞きつつこれからどうしようか考えていると、少し離れたところから茂みをかき分けて近づいてくる音がかすかに聞こえた気がした。

咄嗟に有理を背後に隠し、音が聞こえる方に集中する。


「まみー、、、」


なんとなく警戒している雰囲気を感じ取ったのか、有理も私の背中でパーカー握りしめて緊張しているみたい。


「大丈夫、まみーがついてる、大丈夫。」


全然大丈夫じゃない。

ホントは全然大丈夫じゃない。

何かよくわからんけど、近づいてくる。

もしかしたら凶暴な肉食獣とかかもしれない。

もしかしたら山賊とかの、悪い奴かもしれない。

怖い。

怖い。

怖い。

怖い。


――――――――――でも、有理は守らなきゃ。


だんだんと音が大きくなる。


怖い。

怖い。

怖い。

怖い。


――――――――――この子は、守らなきゃ。


茂みが動くのが見える。


怖い。

怖い。

怖い。

怖い。


――――――――――でも私、お母さんだし!


もうすぐそこまで近づいて来ている。

あと数歩分進めば茂みをかき分けて出てくるだろう。


怖い。

怖い。

怖い。

怖い。

怖い。

怖い。

怖い。

怖い。


怖い~~~~~!!!


ガサガサガサッ ガササッッ


「やっと川に出た~~~!~~~~~~??

 あれ?

 誰?」








――――――――――――――― ッッッビビったーーーーーーーーー!!!!!!!







小川の畔で、

後ろにチビッ子隠した(丸見えだけど)三十路女と、

20代前半くらいの男の子二人が、

出会った~~~(ウルルン滞在記風)






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